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その81 日本語の下手な名医はいない
日本語が下手とは、文法も語彙も話し方も含めて伝える手段としての日本語が下手ということである。しゃべることも文章も含めて。名医は患者を感動させるし心を動かしていく。そもそもの日本語が下手な人がそのようなことができるわけがない。
伝わればいいと思っている医療者は伝えられない。日本語が下手な人は言葉が足りなくて伝えられない。知識を得てくると言葉が無駄に多くて伝えられない。そしてその先に、適切な語彙
その80 チームという名の個人戦
病院のNSTに代表されるように、施設などにも食や栄養を管理するチームが存在します。もちろんメンバーの多くは職員ですし、NSTのように完全固定されていることもあります。このような時のチーム力は、それぞれの連携のスムーズさであったり、全体としての高い目標だったり、チームとしての成長力であったりします。
しかし、残念ながら地域では食支援チームといっても他所属です。それぞれ足元が違う中で、足並みをそ
その79 プロフェッショナルの結果
地域食支援は地域住民と専門職のコラボレーションです。中でも専門職の連携を考えるとき、共通言語は1つです。「結果」。だから私たち新宿食支援研究会でも絶えずメンバーに結果を求めます。
さてプロフェッショナルの結果とは何でしょうか。一言で言うと期待を裏切る結果です。想像もつかないような結果を出すことが他の職種へのアピールであり、コミュニケーションツールでもあります。
歯医者に入れ歯の調整を頼ん
その78 成長しようと思う時しか成長しない
私たち医療の仕事もキャリアがものを言うと思われています。もちろんキャリアは重要です。しかし、キャリア(物理的な経験年数)が同じであっても大きな差が開いています。どこで差が出るのか。自ら成長しようと思っているかどうかです。
とても分かりやすい話です。毎日のように文字は書いていますが、年を経ればどんどん字がうまくなっていますか?「字がうまくなりたい」と思って努力をする、練習する、そして結果として
その3 変わる人間関係
どっぷり昭和の人間です。そして昭和世代の方ならわかる「新人類」は僕のすぐ下の世代です。バブルは学生時代に膨らみ、学生時代にはじけました。大学の体育会、医局に残ってもパワハラ当たり前。20歳前でも酒は飲まされ、先輩に酌をし、一気をし、道端で一夜を明かした世代。令和の世代には少し聞かせたくない過去。まさか町内会でそんな空気流れていませんよね…というお話。
現代社会で求められる、好まれる人間関係と
その2 町内会の外から町内会を見る
地域コミュニティといえば町内会!と思う人はどれくらいいるのでしょうか。自分自身は地方出身で文京区の学生寮から1人暮らしになり、平成元年新宿区民になりました。もちろんアパートの一人暮らしで「地域」とか「町内会」とか意識したこともありませんでした。結婚して高田馬場のマンションに移り住みました。そして平成15年、北新宿で診療室を開業することになりました。診療室では「地域ケアを実践する」ということを目標
もっとみるその1 新食研と町内会
最期まで口から食べられない人は多くいます。高齢な方が誤嚥性肺炎で入院すると「禁飲食」(口から食べたり飲んだりしてはいけない)という指示が出ます。ただでさえ体力のない方がそのような指示を受けてしまうと食べる能力はさらに低下し、食べ物を口にしてもむせて食べられなくなることが頻発します。そして医者に「もう食べられません。食べてはいけません」と言われて胃ろう(胃に穴をあけて直接栄養を入れる)などを作って
もっとみるその75 歯と高さの関係
歯は何のためにあるのか。もちろん物を噛み切り、噛み潰すことです。歯がないと困りますね。というのは1つの側面。実は、歯にはもう1つ大きな役割があります。お口の中の容積を維持という役割です。
ちょっとわかりにくいかもしれませんが、歯が全くない方だと上顎の土手と下顎の土手がくっつくくらいまで閉じることができます。クシャおじさん?(下)きんさん?両方わからない方もいるでしょうね。それだけ口の中の容積
「まいにち、くちビル」応援歌
世の中はコロナ騒ぎですが、そんなことよりも重要な案件が日本にはあります。高齢社会です。年単位で、ボディーブローのように日本社会はダメージを受けていきます。そんな中、立ち上がった若き女性軍団がいます。くちビルディング選手権を仕掛けるグッドネイバーズカンパニー(GNC)。そうでした!彼女たちの発想こそ日本社会を救ってくれます。
この自粛ムードで高齢者が自宅で過ごす時間が長くなり、心身ともに弱
その74 最期まで食べる
最期まで口から食べてもらいたい!いや、自分自身も最期まで口から食べたい!そう思って食支援の活動を続けています。しかし、そのものの意味で考えると少し間違ってとらえられるかもしれません。あくまでも「最後」ではなく「最期」までなのです。
以下は「はつかいち〈暮らしの中の看取り〉準備講座」の代表、大井裕子先生が提示されている”IMADOKO”です。はつかいち 暮らしと看取りのサポーターより転載
その73 マニュアルこそ進歩すべき
もちろん学生時代、教科書があってそれを基に勉強してきました。高校時代までは疑いもなく正しいことが書かれているものと思っていました。大学に入ってからいわゆる臨床科目の講義が始まって「?」と思うことが出てきました。そして実際の臨床実習が始まると、教科書だけでは役に立たないケースもしばしば。そこではじめて気づきました。ここにはわかっていることしか書いていないと。
医療にしろ何にしろ日々進化をして
その72 決断したらぶれない
小学生、中学生時代、ショートショートの星新一さんの文章が大好きで、自分が持っていない文庫本を見つけるとすぐに買って読み漁っていました。その中の1つの文章で、今でも忘れられないものがあります(作品名は忘れました)。ものすごく当たるコンピューターがあって、相談しに来た人が質問すると「それはこっち」「それはあっち」と即答するのです。しかも、その予言は的確に当たるというのです。あるとき、どうしてこんなに
もっとみるその70 認めること、認められること
もう40年以上前、私立小学校の6年生だった時の話です。教壇に向かって右側、後ろの方に座っていました。その日は卒業文集の編集委員を決めていました。当時、勉強の成績は悪く、運動神経も良い方ではなく、特に目立つ存在でもありませんでした。編集委員の名前が数人あがってきました。もちろん成績優秀者。自分でも文章を書いたりすることは好きだったので、やってみたいなぁとは思いましたが、候補者との差があり過ぎてじっ
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