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小説「真夜中に目が覚めた」

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「真夜中に目が覚めた」で始まる、結婚とは、夫婦とは、家族とは、幸せとはを綴った短編連作。
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#家族

【第七夜】澱

【第七夜】澱

 真夜中に目が覚めた。

 家の中に漂う空気は明らかに昨日までのそれとは違っていた。昨日まであった美優の気配が、今はもうない。あの子の存在が私を支えてきたことを改めて実感する。

 後にも先にも一度だけ……忠幸さんの葬儀の時、これが最初で最後だと言って、奥さんから私に連絡がきた。

 正直、悲しいという感情は湧かなかった。余命半年と聞かされた時、彼の最期を受け止めるだけの情は私にはなかった

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【第八夜】ひとり

【第八夜】ひとり

 真夜中に目が覚めた。

 「ひとり」だということが、こんなにも心許なくて、不安でさみしいことだなんて知らなかった。

 もう立派な大人で、小さな子どもがいてもおかしくないぐらい年を重ねているのに……私は今、迷子になった子どもみたいに不安で押しつぶされそうになっていた。

「洋二さん」

「ああ、美幸ちゃん」

「ちゃんはないでしょう、私明日で25だよ」

「しょうがな

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【第十夜】原動力

【第十夜】原動力

 真夜中に目が覚めた。

 ふとん争奪戦で敗北した結果、寒さに目を覚ましてしまう。他人だった二人が一緒に暮らし出すといろんな発見があるものだ。美優がこんなに寝相が悪いとは知らなかった。

 結婚する前、よく一緒に旅行にいっていたけど、ホテルの予約は必ず美優がしてくれて、段取りいいやつだなと思っていたけど、思えばいつもツインルームだった。

 もちろん結婚して新居に引っ越す際、布団を敷いて別

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【第十一夜】半分こ

【第十一夜】半分こ

 真夜中に目が覚めた。

 暗闇で寝返りを打つと、ふとんから追い出されて少し冷たくなってしまった喬の手の平が指先にふれた。ぎゅっと掴むと寝ているはずの手が握り返してきて、思わず顔がにやける。寝相の悪さで丸めとってしまったふとんを元に戻して、喬の肩にかけ直した。

「いってきまーす」

「いってらっしゃい」

 まだ半分眠ったままの頭で喬を送り出すと、私は湯呑に注がれたばかりのあ

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【第十二夜】泣き笑い

【第十二夜】泣き笑い

 真夜中に目が覚めた。

 手を伸ばすとそこには温かい小さな手がある。私は暗闇の中その先にある小さな塊を優しく抱きしめ、また眠りについた。

「ようじぃ、今日くる?」

「さあ、どうかなあ?」

「ねえ、ようじぃ、まだ?」

「幸子は、ほんとにようじぃが好きだねえ」

 日曜の朝、目を覚ました瞬間から、幸子はようじぃはまだかとうるさい。確かにようじぃは毎週日曜にやってきて、

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【第十三夜】気の利かない男

【第十三夜】気の利かない男

真夜中に目が覚めた。

昨日寝る前、かーちゃんが具合悪くて寝てるのをいいことに、内緒で冷蔵庫を開けてジュースを飲んだからだ。

暗い中、ちょっと怖いけどトイレに行く。おねしょしなくてよかった。明日、かーちゃんが元気になってますように。

「とーちゃん、ケーキ買いに行こうぜ」

かーちゃんの誕生日がやってきた。ちょうど日曜日だから、とーちゃんと3人でディズニーに行く約束をしてた。なのに、肝心のかーち

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【第十四夜】幸せの温度

【第十四夜】幸せの温度

真夜中に目が覚めた。

暗闇の中で、ママの手を探してぎゅってしたら、ママがぎゅって握り返してくれた。ママは体温が低い。いつも触られるとヒヤッとする。サチコは体温が高いから、冬はいつもママがサチコにくっついてあったまって、夏はサチコがママでひんやりする。サチコとママの手のひらの体温が一緒になる頃にはまた眠りについていた。

「いってきます!今日は絶対7時には帰るからね!」

ママはいつもお仕事が忙し

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