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タイさんの取材ヨレヨレ日記⑲ 記者は社内結婚が多め
社内やライバル紙の記者と結婚する例は多いですね。みんな忙しすぎて、同業者や取材先以外とは話す機会がないためです。
同業者同士での結婚は、お互いの事情や苦労を良く理解しているので、夫婦喧嘩が少なくなるという説があります。記者の場合は、二人とも仕事でへとへとで、喧嘩をする余力が残っていない、というのが実情かもしれません。
私が働いていた新聞社には、特別に関係が深い信用組合がありました。給料の振込先
タイさんの取材ヨレヨレ日記⑰ 記者は短命?
今年も多くの先輩記者の訃報が届きました。古希を迎える前に亡くなった先輩も複数います。秋には、大学で同期だった社会部の記者も、長い闘病の末、亡くなりました。
これまで書いてきたように、記者の日常はハードです。睡眠時間は短いし、ストレスも多い。体力に自信がないと、長くは続けられない仕事です。
私の後輩が、結婚式を数日後に控えていた時のことです。すでに社宅へ二人の荷物を運びこんでいたのですが、い
タイさんの取材ヨレヨレ日記⑯ 年末年始はパーティーの連続
年末年始はパーティーの季節。様々な業界団体や企業が「年末懇親会」や「賀詞交歓会」といった名目で、ホテルの大広間を借り切ってのパーティーを開催します。
最も有名なのは、年明け早々に開催される「経済3団体賀詞交歓会」でしょう。日本経団連、経済同友会、日本商工会議所の「財界3団体」が主催し、主要な経済人や政治家を数多く招いて、とても規模の大きなパーティーを開催します。会場の出入り口には多くのテレビカ
タイさんの取材ヨレヨレ日記⑮ 広報部は出世コース
経済記者をしていると、広報部の方々との付き合いが多くなります。取材のたびに顔を合わせます。
私が記者として現場を回っている頃は、新人社員や就職希望の学生にとって、広報部は人気の職場でした。企画部門、国際部門の頭文字と合わせて、「人気の3K職場」と言われたものです。
人気になるのも当然です。広報部のメンバーは若いころから、記者会見やインタビュー対応の場などで、会社のトップたちと接する機会が数多
タイさんの取材ヨレヨレ日記⑭ 大物政治家の殺し文句
ある官庁記者クラブのキャップをしていた時のお話です。香港で数日間にわたって開催される大きな国際会議へ出席する大臣の同行取材をしました。
取材の利便性を考え、大臣と記者団は同じホテルに宿泊するのが原則です。この出張では、会議場に近いホテルが宿泊施設となりました。
ある日、朝食をとろうとホテル内のレストランに向かった私は、大きなテーブルに座っている大臣を見つけました。秘書官とSPを連れて、3人で静
タイさんの取材ヨレヨレ日記⑬ 記者ほど面白い仕事はありません
新聞業界の地盤沈下が止まりません。
部数は急減。通勤電車の中で新聞を読んでいる人をまったく見かけなくなりました。ある小学校で、「工作に使うので、古新聞を家から持ってきてください」と呼びかけたら、自宅で新聞を取っている児童が一人もいなかった、という笑えない話も聞こえてきます。インターネットとスマホの普及が、市場を急速に奪っています。
テレビだって安泰ではありません。CMはインターネットに奪われ、
タイさんの取材ヨレヨレ日記⑫ サリンで吹っ飛んだスクープ
「戦後50年」となった1995年は、いろいろな事件が起きた年でした。1月には阪神・淡路大震災。この連載で以前に書いた「東京銀行、三菱銀行の大合併」。そして、オウム真理教による地下鉄サリン事件。年明けから途切れなく、大ニュースが相次ぎました。
地下鉄サリン事件という超ど級の大事件が起きたちょうどその日の夕刊で、私は金融関係のスクープを放っていました。ある銀行が傘下のノンバンクへの支援を打ち切って破
タイさんの取材ヨレヨレ日記⑪ 検察といえば思い出す
この原稿を書いている時点では、安倍派の「裏金問題」が大きなニュースになっています。世間の期待はズバリ、地検特捜部がどこまで政界の闇に迫ることができるのか、そしてどんな世直しをしてくれるのか。検察が一種の「ヒーロー」のように持ち上げられています。
ただ、私には検察に対して、根強いマイナスのイメージがあります。
90年代後半は、金融業界にとって激動の時代でした。銀行や証券会社の破綻が相次いだだけで
タイさんの取材ヨレヨレ日記⑩ 忘れられない海外取材
今回は海外取材の話をしますね。
経済記者は案外、海外取材の機会が多いんです。国際会議の取材や政治家、財界首脳による海外ミッションへの同行取材などです。私も何度も海外取材をしました。
1998年のことです。タイ、韓国など多くのアジア諸国は、前年から深刻な経済危機に見舞われました。自国の通貨が暴落し、インフレと不況、それに社会不安が急速に広がっていました。
独裁が長く続いていたインドネシアも例外
タイさんの取材ヨレヨレ日記⑨ たまには私もスクープ
スクープを抜かれた話、ライバルに大負けした話を書き連ねてきました。でも、私だって大きなスクープをした経験はあるんです。長く記者をやっていましたからね。
世界でもトップクラスの規模と売り上げを誇る某企業を取材していた時です。その会社が1世紀以上にわたって続けてきた主力部門とはまったく別の分野へ新たに乗り出すという情報をキャッチしました。事実ならば、日本の産業構造そのものの転換につながる大ニュースで
タイさんの取材ヨレヨレ日記⑧ 圧倒的に増えているプレスリリース
今回は趣向を変えて、メディアの現場で今、起きている変化についてお話しします。
後輩の記者たちと話していると、彼らが異口同音に強調するのは、「メディアに持ち込まれるプレスリリースの量がとても増えている」という点です。
一番の理由はプレスリリースを発信する側の手続きが簡単になったことです。
つい数年前までは、各社の広報の方々がプレスリリースを数十部もプリントアウト。霞が関や大手町などにある記者ク
タイさんの取材ヨレヨレ日記⑦ 銀行合併は大ニュース
私が金融業界の取材を始めた90年代半ば、都市銀行は13行ありました。覚えていますか?
大手行が三菱、富士、第一勧銀、三和、住友の5行。中位行が三井、東海、太陽神戸、大和の4行。このほかに協和、埼玉、東京、北海道拓殖の4行で、計13行です。
こんなにあった都市銀行も、90年代に始まった金融大再編によって、今はみずほ、三菱UFJ、三井住友のメガバンク3行に集約されました。私は飲み会の時、自分が酔っ
GPSSグループの一員であるみらい地域が認定農業者に。異例の全国認定!
GPSSグループの一員である株式会社みらい地域は、2023年12月に「認定農業者」となりました。狭き門を突破するために奔走した担当者に、苦心談やこれからの展望などをうかがいました。
――まず認定農業者について教えて下さい。
明確な経営ビジョンを持って一線で働く農業者・法人を選び、低利融資や補助金で支援する制度です。認定農業者は農業、農村の担い手として売り上げを伸ばし、全国の農業法人のモデルとな
タイさんの取材ヨレヨレ日記⑥ ライバルたちは戦友
スクープの抜き抜かれにしのぎを削る記者にとって、ほかのメディアは全員がライバルです。ある時は他メディアの記者たちのひそひそ話に耳を澄まし、ある時はライバル記者が破り捨てた原稿をひそかにゴミ箱から拾って、大切な情報が書かれていないか確認します。
ただ、ライバルたちは往々にして、無二の親友にもなります。
それは当然です。
早朝から深夜まで記者クラブに詰めている記者たちは、その狭い空間で、家族より
タイさんの取材ヨレヨレ日記⑤ デスクってなに?
はじめは、訳も分からずに現場を走り回るだけの記者たち。だんだん経験を積んでくると、記者クラブの責任者である「キャップ」になります。キャップは、いわば記者の現場監督。最前線で取材の指揮をとるだけでなく、部下たちから出てきた原稿を手直しし、本社にいるデスクに送ります。
「デスク」は、記事のチェック役兼プロデューサーです。連載のテーマを決めて、各クラブのキャップに指示。また、日々の紙面の責任者として、