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【小林さんちのメイドラゴンS】やはり安定の”トーこば”、そして関係性の描写が最高でした

「小林さんちのメイドラゴンS」(以下、2期)の最終話を視聴したので、さくっと感想を書いていきましょう。

2期トータルの感想

知らない方に軽く本作シリーズの概要を自分なりに一言でまとめると、主人公の小林さんが人間関係を始めとする数々の疑問に対しての解釈の仕方を優しい言葉で教え諭してくれる心地いい作品なんです。2017年頃に放送された1期ではドラゴンのトールと小林さんとの関係性の構築がメインに描かれました。自分にとっては2010年代で心に残っている数少ない作品で、このふたりの関係性を ”トーこば” と呼ぶくらいに好きだったりします。

1期ではこの ”トーこば” を軸にして話が展開していたわけですが、2期では新たなキャラクター、イルルと会田タケトが加わりました。そして、 ”トーイル” や ”イルこば”、”イルタケ” などの新しい関係性の描写がなされた他、1期ではさほど描かれていなかった ”トーエル” の過去回想と並行して ”カンリコ” の深掘りもなされました。2期は ”トーこば” を含めた関係性描写の詰め合わせ満足セットといった感じでしょうか。

その影響で、小林さんは主人公だった1期とは打って変わって、それらのカップリングを見ていなかったり見守ったりする立ち位置になっていました。なので、小林さんの解釈するセリフに関しては少し説明的で、説教くさく感じるところもあったんです。対象が小林さん自身ではなくなって、人間観察のようになってしまったからかもしれません。

原作をなぞっているセリフであるにも関わらず、そのような違和感を感じる原因は自分の中にあります。おそらく、1期を視聴した時に小林さん=聖人君子のイメージが固定されてしまったためでしょう。そう感じる程に、1期の多幸感はずっと心の中に残っていましたからね。

もちろん、2期もそれぞれのカップリングに見合った関係性を楽しむことができましたけれど、広く浅く描写するシーズンになっていたために1期のような濃い多幸感は残念ながら得ることはできなかったです。強いて挙げれば、2期のベストカップリングは ”トーエル” だったのではないでしょうか。

あと、本編とは関係ありませんが、京都アニメーション独特の線と作風、流麗な画、鮮やかで繊細な配色はあの事件を経てもなお健在で、控えめに言って神懸っていました。恐れ入りました。1期の監督さんもどこかで見守ってくださっていると思います。

PrayForKyoani (はる筆線屋 書)

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なんやかんやで最後は安定の ”トーこば” なんですよ

さて、小林さんは聖人君子な面ばかりに目が行きがちですが、一応人間キャラですからね。十中八九トールのことを好きだと分かっていながらも、自分のその気持ちに自信が持てないし、どう表現していいかイマイチ分からない人間臭さというか不器用さも持っているんです。

また、トールもトールで小林さんが好きすぎるゆえに、周りが見えなくなったり、空回りしてしまう不器用さを持っています。1期ではこれらがシンクロしていく様子が丁寧に描かれていて、2期開幕時には不思議で絶妙な関係性 ”トーこば” はある程度出来上がっているんです。

2期最終話のお祭りのパートは確か原作では5巻の方にあったはずです。小林さんが自分の気持ちを確かめて吹っ切れるところが印象的でしたね。小林さんも小林さんなりに少しずつ変化し始めているということでしょう。でもそこは、感覚的にはまだ新芽が芽吹いた程度のものなのです。

おそらく小林さんは自分からトールにもじもじと言いだすことができるレベルにはあるけれど、トールがいつもの超ハイテンションで迫ってきたら小林さんは恥ずかしくなって自分の気持ちをさっと引っ込めてしまうようなシーンが作品の余白の中にぽっと浮かぶんですよね。

もしこれを小林さんが乗り越えてしまったら、微妙なバランスを保っていた関係性が崩れて小林さんがトールを飼いならしてしまうでしょう。それが面白いかどうかは別にして見てみたいところですが、それだと自分が見たい ”トーこば” ではなくなってしまう気もします。建築の逆柱と同じように、ふたりの関係性は未完成のままにしておくのがベストなのではないでしょうか。

( 'ω' ).。oO( その方が間違いなく尊いからね

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