葉月Lエンデ
人を喰う詩らしいので、閲覧注意です
軽快でドタバタな一ノ瀬たちの活躍をぜひ!【全18話】
この記事は「死ンダ君モ愛オシイ」を読み終えた方のみ、お読みください。なんとなく綴ってみた、「あとがき的なやつ」です。 最初から最後まで、一貫して問題作として仕上…
Prev……前回のお話 んなわけねぇだろ!! 一矢は大声で叫びながら、K町のゴミ溜め通りを抜けた。周囲のゾンビ達がチラッと振り向くが、彼らにとっては日常のことな…
Prev……前回のお話 まだ午前中。今からホワイトメールにカチ込むか? 押し掛けたとして、どうすればいいだろう。茅野栞を尋問、脅迫。なんだか気が進まない。でもこれ…
Prev……前回のお話 それは間違いなく、金魚だった。 ある日、金欠の男は、トレカを売るために女とカードショップに出向いた。「高額買取」で検索して見つけた店で、…
Prev……前回のお話 亜季の父親、今野を何かしらの方法でアズサが救ったのは、恐らく間違いない。亜季の写真を眺めていたと言っていたから、アズサは亜季のことを覚えて…
Prev……前回のお話 金魚は何も言わない。この金魚を、アズサは「栞さん」と呼んでいた。そして今日、俺は「栞さん」という女性に出会った。無神経で品がない、横暴な女…
Prev……前回のお話 雑に散らかった、埃っぽく狭い応接室に似つかわしくないような、いや、逆に似つかわしいような、その派手な女性は、名刺を片手で差し出してきた。社…
Prev……前回のお話 「じゃあ、俺帰るけど……ほんとに大丈夫?」 「大丈夫だから」 「うーん……」 玄関まで来て、静流はまだ躊躇っていた。 「ねえ、ほんとに食べ物あ…
Prev……前回のお話 「俺が昔、知宏の家にお世話になってたことは知ってるんだよね?」 「ん……聞いた」 「柚希が来たのは、俺が出てった後だった。思えば、こないだ一矢…
Prev……前回のお話 はっ、はぁ、はあ、はあ、はぁぁ、はあぁ……。畜生、この階段はどこまで続いているんだ。赤いペンキで足が滑り、大きくバランスを崩した。もう力が…
Prev……前回のお話 「あいつが死んだのは、お前のせいなのか……?」 「そんなわけ……! お前、俺のことなんだと思ってんだよ!」 「どの口が言うんだ。お前は俺の知…
Prev……前回のお話 右手にだらしなく青い傘をぶら下げたまま、一矢は狭い玄関の壁に寄りかかって虚空を見つめていた。ショックを受けているわけではない。何のショック…
Prev……前回のお話 「前言撤回、間に合うかな」 一矢は着替えもせず、水槽の中の金魚に向かって躊躇いがちに語りかけた。 「佐倉がなにかを隠してる気がするって言った…
Prev……前回のお話 昼間は蕎麦を食ったし、奈津美はどうせ飲む気満々だろうから、安めの居酒屋にした。こいつが相手なら特別いい店を選ぶ必要もない。オフィスから少し…
Prev……前回のお話 なぜ佐倉への不信感が募ってしまうのだろう。ほんの些細なことだったはずだ。アズサがホワイトメールに拾われたのが二十歳だと、佐倉が勘違いしただ…
2024年5月12日 17:00
この記事は「死ンダ君モ愛オシイ」を読み終えた方のみ、お読みください。なんとなく綴ってみた、「あとがき的なやつ」です。最初から最後まで、一貫して問題作として仕上がりました。だいぶ尖っていましたね。途中で丸くならずに、尖ったまま終えることができて、そこは満足です。なかなか伝えたいことが伝わらなかったようで、悔いが残る部分もありますが、魂を込めて丁寧に練り上げた作品なので、思い残すことはありません。
2024年5月5日 17:00
Prev……前回のお話 んなわけねぇだろ!! 一矢は大声で叫びながら、K町のゴミ溜め通りを抜けた。周囲のゾンビ達がチラッと振り向くが、彼らにとっては日常のことなので、驚きはしない。それどころか、ぼったくりバーの案内人が声を掛けてくる。うるさい。うるさい、うるさい! お前らもアズサの話で惑わせるつもりか? 知らないくせに。なにも知らないくせに! なんでこんなことになったんだ。あの女に会っ
2024年5月1日 17:00
Prev……前回のお話 まだ午前中。今からホワイトメールにカチ込むか? 押し掛けたとして、どうすればいいだろう。茅野栞を尋問、脅迫。なんだか気が進まない。でもこれがアズサの意趣返しになるのなら、暗い手段に手を染めることも厭わない。あいつの駒になってもいい。今更、あいつのためにできることなんて残っていないのに、このUSBメモリーはそのチャンスを与えてくれたのだ。 とはいっても、茅野と一緒に写っ
2024年4月28日 17:00
Prev……前回のお話 それは間違いなく、金魚だった。 ある日、金欠の男は、トレカを売るために女とカードショップに出向いた。「高額買取」で検索して見つけた店で、そのために電車賃410円もかかったのに、カードは大した額にならなかった。クソが。まあ、それはいい。駅までの帰り道、歩道橋の階段を上り切った瞬間、男は激写を狙っているカメラに気づいた。おいおい、プライベートなんだけど? 彼女は写さないで
2024年4月24日 17:00
Prev……前回のお話 亜季の父親、今野を何かしらの方法でアズサが救ったのは、恐らく間違いない。亜季の写真を眺めていたと言っていたから、アズサは亜季のことを覚えていたのだ。だからといって、他人を救うアズサは一矢の中でどうも想像できない。それも自分の知っているアズサではなく、知らない「柚希」なのか? でも、反社風の人間とアズサの繋がりなんて、あるだろうか。あってほしくないけれど。ホワイトメールの
2024年4月21日 17:06
Prev……前回のお話 金魚は何も言わない。この金魚を、アズサは「栞さん」と呼んでいた。そして今日、俺は「栞さん」という女性に出会った。無神経で品がない、横暴な女性だった。俺の知っているアズサが、あの女性を慕って、金魚に名前を付けるなんて思えない。思いたくない。 ――私が、間違いかもしれない、とは考えませんか? この言葉の意味を考える。考えるんだ。どうにか、都合のいいように。納得できる
2024年4月21日 06:17
連載中の死ンダ君モ愛オシイ(略して死ン君)は全28話となります。今週から最終話まで日曜と水曜、週2の投稿に切り替えますので、お見逃しのないようご注意ください。引き続き最後までおつき合い頂けると幸いです🌟🌟いつもありがとう!!
2024年4月14日 17:00
Prev……前回のお話 雑に散らかった、埃っぽく狭い応接室に似つかわしくないような、いや、逆に似つかわしいような、その派手な女性は、名刺を片手で差し出してきた。社長のくせにマナーも知らないのか。悔しいから自分も片手で受け取り、こちらの名刺も片手で押し付けてやろうかと思いながら、一矢は丁寧に両手で受け取り、両手で差し出した。同じレベルに成り下がって品位を失うわけにはいかない。 しかし……この
2024年4月7日 17:00
Prev……前回のお話「じゃあ、俺帰るけど……ほんとに大丈夫?」「大丈夫だから」「うーん……」 玄関まで来て、静流はまだ躊躇っていた。「ねえ、ほんとに食べ物あるの? 俺買ってくるよ?」「あるって。大丈夫。ありがとな」「うーん……」 半ば追い出すように、さりげなく、強引に、ドアまで促した。 わざわざここまで来てくれたのは、とてもありがたかった。佐倉に頼まれたからとはいえ、親身に
2024年3月31日 17:00
Prev……前回のお話「俺が昔、知宏の家にお世話になってたことは知ってるんだよね?」「ん……聞いた」「柚希が来たのは、俺が出てった後だった。思えば、こないだ一矢から聞いた『アズサさん』の間違い探し、あれは柚希が知宏の家に来る前の話だったんだね……。勘当されたって話。俺たちは『なにか事情があって行き場のない子』ってことしか知らなかったけど」 名状しがたい気持ち。なにも知らずにアズサの話を聞
2024年3月24日 17:00
Prev……前回のお話 はっ、はぁ、はあ、はあ、はぁぁ、はあぁ……。畜生、この階段はどこまで続いているんだ。赤いペンキで足が滑り、大きくバランスを崩した。もう力が入らない足が、今にも縺れて転がり落ちそうなのに、立ち止まることもできず、只管階段を上り続ける。 どうやって帰ってきたのか覚えていないが、この階段は自宅マンションのものだと思う。だから早く、一刻も早く、い、家……おうちに帰りたいのに!
2024年3月17日 17:00
Prev……前回のお話「あいつが死んだのは、お前のせいなのか……?」「そんなわけ……! お前、俺のことなんだと思ってんだよ!」「どの口が言うんだ。お前は俺の知ってる佐倉じゃない。そんな膨大な情報を、よく隠していられたな。どんな思いで俺の隣にいたんだ?」「それは……」 ああ、親友を詰めるって、こういうことなのか。佐倉だって傷ついているのは十分理解しているのに、そしてそれに同情していたは
2024年3月10日 17:00
Prev……前回のお話 右手にだらしなく青い傘をぶら下げたまま、一矢は狭い玄関の壁に寄りかかって虚空を見つめていた。ショックを受けているわけではない。何のショックなのかわからないからだ。ああ、でも何かしらの衝撃は食らっているわけだから、ショックは受けていないというのは語弊があるか。ただ、それよりも理解が追い付かずに、謎の虚無感、それと喪失感。何を失ったのかも、わからずに。 アズサにプレゼント
2024年3月3日 17:00
Prev……前回のお話「前言撤回、間に合うかな」 一矢は着替えもせず、水槽の中の金魚に向かって躊躇いがちに語りかけた。「佐倉がなにかを隠してる気がするって言ったけど……、あれ、聞かなかったことにしてもらえるか?」 ゆらゆらと微かに揺れるだけの金魚は、一矢の話を聞いているのか、いないのか。それでも続ける。恐らく、自分のために。「実際、隠してはいたんだ。あいつの傷を。まあ、それは知っていた
2024年2月25日 17:00
Prev……前回のお話 昼間は蕎麦を食ったし、奈津美はどうせ飲む気満々だろうから、安めの居酒屋にした。こいつが相手なら特別いい店を選ぶ必要もない。オフィスから少しだけ離れたビルの二階にある、大衆居酒屋「ちょ、呑めよ」。ここは全席半個室で、店内は適度に賑やかだから、あまり改まった空気になることもなく話しやすいのでは、と考えたのだった。奈津美は初めて来た店だったようだが、カジュアルな雰囲気がお気に
2024年2月18日 17:00
Prev……前回のお話 なぜ佐倉への不信感が募ってしまうのだろう。ほんの些細なことだったはずだ。アズサがホワイトメールに拾われたのが二十歳だと、佐倉が勘違いしただけのことだった。なのにそれがきっかけで、アズサを紹介した時の佐倉を思い出してしまったり、その後のアズサへの執着が今更気になってしまったり、そう、今更だ。なぜこんなに不安に陥るのだろう。気にしても自分を苦しめるだけなのに。これでは誰も幸