綿原 衣都

こんにちは、綿原 衣都(わたはら いと)です。 北海道に暮らす主婦です。精神疾患と…

綿原 衣都

こんにちは、綿原 衣都(わたはら いと)です。 北海道に暮らす主婦です。精神疾患と腎臓の病気と甲状腺の病気をもっています。でも、たいていはあかるく暮らしています。毎日の暮らしに美しさを見いだせる、そんな精神でいたいです。

メンバーシップに加入する

絵本作家でもある、綿原衣都が自分の想いを書き綴ってゆく。だれにも普遍的なものの話や、身近な出来事、絵のこと、仕事のこと、普通に生きることについて、真正直に人生を生きている尊い人たちと、分かち合いたい。人生の意味を問うている人たちに言葉を届けたい。

  • 生きること、生活すること

    ¥500 / 月

記事一覧

「短歌」海と想いと

海は泣く悲しみの記憶揺り返し 無数の死体ここに眠れば 波しぶき白いレースの綾模様 まとって歩けばこの海になる 濃い青の海を見ながら泣いていた そんな日もある深い生…

4

「短歌」いとしいコタ

わたしはコタという黒ねこを飼っていました。 コタは2007年8月30日にうちに来て、2016年9月5日に、原因不明の病のため、この世を去りました。 コタはとてもいい子で、「コ…

5

「短歌」春のなかに

春のなか 手をつないでいく二人見て わたしの君はどうしているか 遅くとも花はまた咲く札幌の 街にも薄着のスカート増えて 精神をあかるく染める夢をみた 鈴鳴るような…

4

生きていく目標

21歳のとき、わたしは生きていく目標をたてました。 当時は高校中退のアルバイト、という地盤のぐらぐらした、頼るなにもない(学歴がない、資格がない、職歴もない、もち…

9

童話 「聖夜」

美月と瑞樹はおたがいに一目惚れでした。出会った瞬間に恋におちました。 星ひとつない真っ暗な夜でも、2人はその気持ち故に、おたがいの白い整った顔を見分けることができ…

3

「短歌」夜の恋

ここ数日で書いた短歌です。   別れるは決まっていたこと縁はない いっしょに歩くと そっと下がって 10年後あなたといないきっとそう 道は分かたれ 夕暮れふたつ 野…

5

おしゃれという矜持

わたしは、よくおしゃれだと言われます。 わたしの年からいうと驚くかもしれませんが、お嬢さんぽい服が好きです。 このあいだ、友人とコンサートに出かけたときは、オレン…

11

質のよさがわかりますか

この頃、わたしがなんとなく感じているのは、ものの質というものと、評価は正当に釣り合ってはいないということだ。 質というものは、語るのが難しい。 価格が高ければ、質…

綿原 衣都
10日前
6

「短歌」恋唄

恋の歌を集めてみました。 風かおる5月をひとつつかみけり 花ここに咲き 吾と同じ恋 この恋は実らずにあれ道ふさぎ 目も耳もなき野仏になる 金色の妖精の舞う夢のなか …

綿原 衣都
11日前
4

「短歌」早春日記

これまでに書いた短歌を載せてみます。 花を見て切ないとつぶやく真昼の日 語らぬベゴニア一鉢の孤独 右耳を撫ぜられている肌寒さ 分け合う夜のもの言わぬ雪 二人分洗濯…

綿原 衣都
11日前
9

Without baby

いま、必要があって、赤ちゃんの写真を見ながら、赤ちゃんの絵を描いています。 ネットって、便利で、たくさんの赤ちゃんの写真がすぐ集まり、いろいろな子のかわいい姿が…

綿原 衣都
2週間前
5

童話 5歳の貝がら

たぶん、赤ちゃんのときから、夏休みと冬休みはママの故郷の島へ家族で帰っていた。 だから、島の子どもたちともいっしょに大きくなったようなものだった。 咲智(さち)は…

綿原 衣都
2週間前
3

だめだめちゃんの襲撃

最近のわたしは、自己肯定感もたぶん、ちゃんとあり、自信もとりあえずあるみたいな顔をしていますが。 ほんの、7、8年前は、わたしにはだめだめちゃんという存在が憑り…

綿原 衣都
2週間前
6

闇夜を越えて、優しい自己になる

孤独のなかで 2歳のときには、もう死を知っていた。 母が台所で魚を調理しようとしている。魚はまな板の上に寝て、その赤い目をぱっちりあけたまま、わたしを見ていた。 …

綿原 衣都
2週間前
37

パン屋さん

パン屋さんはいい匂い お腹に届く おいしい匂い どれにしようかな バゲットが好き ジャムパン チョココロネ アップルパイ みんな好き 早くおうちに帰ってみんなで食べ…

綿原 衣都
4週間前
10

いろ衣都つむぎ ~押し入れのなかのわたし~

火曜日はお休みなので、押し入れのなかを整理することにしました。 ふとん類のところからは、40リットルのごみ袋いっぱいのいらないものが出てきました。 そして、わたしの…

綿原 衣都
4週間前
10
「短歌」海と想いと

「短歌」海と想いと

海は泣く悲しみの記憶揺り返し
無数の死体ここに眠れば

波しぶき白いレースの綾模様
まとって歩けばこの海になる

濃い青の海を見ながら泣いていた
そんな日もある深い生には

強い風揺れる葉音の音に似て
ひとりを楽しむわたしを笑う

いつか見た鯨は今はどこの海
また会えたならともに笑おう

光さす海流に乗りどこへ行く
今日も昨日も時のない魚

「短歌」いとしいコタ

「短歌」いとしいコタ

わたしはコタという黒ねこを飼っていました。
コタは2007年8月30日にうちに来て、2016年9月5日に、原因不明の病のため、この世を去りました。
コタはとてもいい子で、「コタ」と呼ぶと「にゃん」と返事をし、わたしが泣くと、膝にあがって、じっとしていました。
賢くて、明るくて、人見知りをしないコタ。
コタにはたしかに「にゃん徳」がありました。
そのコタを偲んで、書いた歌です。

答などわかるはずな

もっとみる
「短歌」春のなかに

「短歌」春のなかに

春のなか 手をつないでいく二人見て
わたしの君はどうしているか

遅くとも花はまた咲く札幌の
街にも薄着のスカート増えて

精神をあかるく染める夢をみた
鈴鳴るような星見える夜

安らかな寝顔ひとつがあればいい
夕べの諍い 影をなくして

やまないで あなたの傘で歩きたい
歩幅は合わない けれどふたりで

揺らぐのは心ではない見えるもの
我の笑顔や君のため息

生きていく目標

生きていく目標

21歳のとき、わたしは生きていく目標をたてました。
当時は高校中退のアルバイト、という地盤のぐらぐらした、頼るなにもない(学歴がない、資格がない、職歴もない、もちろん独身)状態でしたが、出した答は「霊的な成長」でした。
霊的、つまり魂的に成長したい、と思ったわけです。

こんなことを考えていたから、周囲からは浮きまくっていました。
わたしもこのとき、現実的な目標をたてて、資格のひとつでも取っておい

もっとみる
童話 「聖夜」

童話 「聖夜」

美月と瑞樹はおたがいに一目惚れでした。出会った瞬間に恋におちました。
星ひとつない真っ暗な夜でも、2人はその気持ち故に、おたがいの白い整った顔を見分けることができたのです。

美月は瑞樹をこの世のどんな男性よりも、雄々しく立派だと思いました。
瑞樹は時折、赤く熟したりんごをくれました。それは、とても甘くて瑞々しく、美月の喉を潤してくれました。

瑞樹は美月をこの世のどんな女性より、美しくて愛らしい

もっとみる
「短歌」夜の恋

「短歌」夜の恋

ここ数日で書いた短歌です。

 
別れるは決まっていたこと縁はない
いっしょに歩くと そっと下がって

10年後あなたといないきっとそう
道は分かたれ 夕暮れふたつ

野心など持ったことない夢もない
あなたといると未来が分かれる

君がいま育てる花壇を見てみたい
この真昼に強い花咲け

あなたへの気持ちは開かずの間に仕舞う
忘れた頃に笑んであげる

おしゃれという矜持

おしゃれという矜持

わたしは、よくおしゃれだと言われます。
わたしの年からいうと驚くかもしれませんが、お嬢さんぽい服が好きです。
このあいだ、友人とコンサートに出かけたときは、オレンジのレースのついたブラウスにオレンジのカーディガン、真っ白なロングスカートでした。
こんな感じでレースが大好きで、きれいなスカートが好きです。
いつも新しい服ではなく、何年も着ている服もたくさんあります。
なぜ、いつもおしゃれをしているの

もっとみる
質のよさがわかりますか

質のよさがわかりますか

この頃、わたしがなんとなく感じているのは、ものの質というものと、評価は正当に釣り合ってはいないということだ。
質というものは、語るのが難しい。
価格が高ければ、質がいいということは多くは当たっているのだが、必ずそうだというわけではない。同時に価格の安いものがすべて粗悪品ということもない。
世の中は雑多なものであふれているから、ほんとうに質のよいものを見つけるのは難しい。
わたしも貧乏なので、安いも

もっとみる
「短歌」恋唄

「短歌」恋唄

恋の歌を集めてみました。

風かおる5月をひとつつかみけり
花ここに咲き 吾と同じ恋

この恋は実らずにあれ道ふさぎ
目も耳もなき野仏になる

金色の妖精の舞う夢のなか
あなたのかけらを探し続ける

百を聴き千を聴いてもあの人の
声を聴きたいこの夜のなか

見えぬのは明日だけではないような
雲間に消える 届かぬ心

海鳴りの響き訪ねて浜を行く
脳裏にあるのは君一人だけ

 

「短歌」早春日記

「短歌」早春日記

これまでに書いた短歌を載せてみます。

花を見て切ないとつぶやく真昼の日
語らぬベゴニア一鉢の孤独

右耳を撫ぜられている肌寒さ
分け合う夜のもの言わぬ雪

二人分洗濯物を畳んでる
同じ匂いの君と生きてる

天空に光のピアノ鳴りだせば
まだ見ぬ未来手のなかに落つ

花もまだ咲かないけれど春はある
雪解け見える藻岩山裾

愛はもう 言葉としてはすり減って
好きと言うだけあなたに届け

ほんとは、短歌

もっとみる
Without  baby

Without baby

いま、必要があって、赤ちゃんの写真を見ながら、赤ちゃんの絵を描いています。
ネットって、便利で、たくさんの赤ちゃんの写真がすぐ集まり、いろいろな子のかわいい姿が見られます。
この子、かわいいなー、こっちの子もいいなー、と見ていると、どの子を選んで描いていいやら、わからなくなります。
ほんとに、表情も、目も髪もその子だけのもの。
この小さいときに、もう個性は出ています。
いつか、だれかが、赤ちゃんの

もっとみる
童話 5歳の貝がら

童話 5歳の貝がら

たぶん、赤ちゃんのときから、夏休みと冬休みはママの故郷の島へ家族で帰っていた。
だから、島の子どもたちともいっしょに大きくなったようなものだった。
咲智(さち)は、島の幼馴染のひとり、タニオカに言われたことで無性に腹をたてていた。
5歳のとき、咲智はタニオカと将来結婚すると約束したそうだ。
5歳のときのことなんて、覚えてないわよ。だって、子どもじゃない!
と、いってもまだ9歳なのではあったが。

もっとみる
だめだめちゃんの襲撃

だめだめちゃんの襲撃

最近のわたしは、自己肯定感もたぶん、ちゃんとあり、自信もとりあえずあるみたいな顔をしていますが。
ほんの、7、8年前は、わたしにはだめだめちゃんという存在が憑りついていて、わたしになにをしても、おまえはだめだと言ってきていました。
たとえば、しんどくて、そうじができないとすると、そうじができないなんてだめだ!そして、夫にそうじを頼むと、やってもらっているようじゃだめだ!だいたい主婦のくせに、家事や

もっとみる
闇夜を越えて、優しい自己になる

闇夜を越えて、優しい自己になる

孤独のなかで

2歳のときには、もう死を知っていた。
母が台所で魚を調理しようとしている。魚はまな板の上に寝て、その赤い目をぱっちりあけたまま、わたしを見ていた。
「おさかな、かわいそうやし、切らんといて」
わたしは母に懇願した。
涙が流れて号泣になった。
おさかなは、いまから切られて、血を流す。いやだ、かわいそうだ。
母は泣き叫ぶわたしを持てあまし、台所から連れ去った。そして、わたしに隠れて調理

もっとみる
パン屋さん

パン屋さん

パン屋さんはいい匂い
お腹に届く おいしい匂い

どれにしようかな
バゲットが好き
ジャムパン チョココロネ
アップルパイ
みんな好き

早くおうちに帰ってみんなで食べたいな
パパとママと ねこの小次郎と
みんなパンが大好き

みんなのお腹にパンがはいったら
幸せが生まれる
幸せを感じたわたしたちは
笑顔になる

幸せと笑顔になったわたしたちは
パンがふくらむように
愛を育てる

パン屋さんのパン

もっとみる
いろ衣都つむぎ ~押し入れのなかのわたし~

いろ衣都つむぎ ~押し入れのなかのわたし~

火曜日はお休みなので、押し入れのなかを整理することにしました。
ふとん類のところからは、40リットルのごみ袋いっぱいのいらないものが出てきました。
そして、わたしの趣味のものの棚からは、6箱ほどの裁縫用の生地、3箱ほどの毛糸、手芸用品が1箱、と、もう、これをすべて使いきるには、残りの人生が3倍ほどの長さがないとだめだなーと見ていました。
バッグやポーチなどの手作り品をつくるのが好きで、その材料がた

もっとみる