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2021年創作活動ふりかえり
「創作TALK」という年末年始に創作活動を振り返る記事のまとめ企画というものがあることを最近知って、今年の振り返りついでに私も参加してみようかなと思い、この記事を書いています。
企画概要ツイートはこちら↓
月別振り返りのフォーマット表を使わせていただいて、まずは一年の概要をご覧ください。
自分の所感として今年を振り返ると、序盤からサイトの特集に選出していただいたり、新作を何作か公募に応募でき
【改稿版】カレーの事情《4》「僕に救いをくれる人たち」
目の前で光が散って、ざあと風が吹き抜ける。途端、充満していたカレーの味が一掃され、喉の奥に押しやられる。それがつんと気管を刺激した反動で小さく咳が出て、記憶の底から我に返ったことを自覚した。
「広?」
呼び掛けに顔を上げると、竹本たちが心配そうに僕の顔を覗き込んでいた。
「どうした? どっか痛いのか?」
その言葉に思わず目元を拭う。見ると指先が濡れていて、僕は泣いていたのだと気付かさ
【改稿版】カレーの事情《3》「僕とカレー(真実編)」
それから中学をなんとか卒業し、高校に入学すると、僕は髪色も少し明るくして、一人称も「俺」と言い換えて、別人のように振る舞おうとした。けれどやっぱり思うようにはいかなくて、発作を起こして倒れてしまった時に、竹本と出会った。その繋がりで梅沢とも仲良くなり、今では気の置けない友達として共に学校生活を過ごしている。けれど、竹本たちには過去のことは話せないでいた。なんとなく、あの頃の惨めで情けない自分を、
もっとみる【改稿版】カレーの事情《2》「カレーと僕(過去編)」
僕は昔から臆病者だった。自分から話しかけて友達を作ったことが生涯一度もないし、話しかけて失敗するくらいなら一人でいることを選ぶ。そんな内向的な性格だったから、中学校に入った頃は友達がいなかった。周りがどんどんグループを確立していく中で、僕はどこの輪に入ることもできず、当たり前のように一人になった。こうなってくると、暗い奴なんだと周りに認識され、誰も話しかけようとはしてくれなくなった。休み時間はい
もっとみる【改稿版】カレーの事情《1》「僕が記憶をなくした理由」
鼻孔に香ばしい匂いが広がった。ターメリック、レッドチリ、クミン、コリアンダー。さまざまなスパイスが混ざり合った中に少しだけ香るトマトの匂い。これは我が家のカレーの匂いだ。今朝もカレーか。そう思いつつ、僕は重い瞼を開く。
目の前には見慣れない天井の色があった。僕の家ではない。目を開けるまで家の自室で寝ているものとばかり思っていたのに。今いる場所を確認しようと慌てて起き上がる。途端、体の節々が鈍
私はなぜ小説なんだろう
私はなんで小説というジャンルを選んでしまったんだろう。昔から別にそんなに本を読むのも好きだったわけじゃなかったし、むしろ昔はお絵かきをする方が好きで、親にも絵が上手いねとさんざん言われた。絵の道に行くと思ったと言われたこともある。でも、私は言われるほどそこまで上手くはなくて、ただ見たものをそのままに近い状態で描けるだけだった。頭の中だけで描いたものは描けず、理想とは程遠いかたちで紙の上に具現化さ
もっとみるプロフィールに固定してある「作品紹介まとめ」のページに5作品の紹介を追加しました。よろしければ覗いてみてくださいね。
https://note.com/htm753/n/nf387219b64ea
今年のおすすめ作品3選
今年は近年で一番書いた年なのでは?と個人的に思っている大晦日です。なので、この記事では今年書いた作品のおすすめをご紹介をしていきたいと思います。あくまで自薦なので、どの作品も絶大な評価は得ていない短編ですが、お付き合いいただける方はどうぞよろしくお願いします。
1.shape of カクヨム
エブリスタ
サッカーを通して描かれる交通事故に遭い、下半身不随になってしまった兄と、それを支える
ふがいない僕が捧げるメリークリスマス
※。.:*:・'°☆
書きかけの小説が、腕のなかで暗がりに横たえている。渡せなかった一節は、時間に託つけて踏み出さなかった罰なのだと云わんばかりに素知らぬ顔してクリスマスイブの聖歌を歌っていた。完璧なきみには似合わないほど不恰好で、不器用すぎる僕の物語を、きみは知るよしもない。
※。.:*:・'°☆
『しゃんしゃんという音は、トナカイの足音だと思っていた。』
デスクライトのオレンジ色が
ムーンライト・メロウ
夕紅とレモン味 ークラン・ドゥイユー
行き合いの空に少しだけ、欠けた月が夜空に浮かんでいた。ほとんどまるいかたちをしたそれは満月と言っていいのかもしれない。
ふと手元に視線を落とす。ティーカップに注がれた紅茶が月明かりに照らされてもなお、夕空を閉じ込めたような橙色に輝いていた。沈殿した茶葉が濃い色層となって、いっそうどこかの夕暮れ時の風景に見える。
そっと、華奢な取っ手をつまんで、カッ
森山満穂のバックボーンpart2 読書遍歴(漫画編)
だいたいの人がそうだと思うけど、私は小説よりも漫画を読む。
読書家の方は小さい頃から本を読んで育ってきたとよくいうが、私ははっきり言って小説より漫画を読んで育ってきた方だと思う。人生の一番多感な時に漫画に触れたことで、多くの場面で漫画に救われてきたと言っても過言ではない。
少女漫画雑誌期初めて漫画に触れたのは、おそらく小学生の頃。毎月、姉と二人分、少女漫画雑誌「ちゃお」と「なかよし」を買ってもら