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短編ファンタジー

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短いおはなし。実話と交じり合っています。
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Present

Present

以前は、自分に魅力と価値があるとは思えなかった。
八つの時鏡に映って現れた私のアニムス、トカゲ(今年の初夢の龍の「レコンダ」なるものはのちにかれであると判明。「なんだよその変な名前。違う。ちゃんと聴いとけよもー」で、『レジー』と分かった。トカゲのほんとうの名前だと)によれば私はたいそう綺麗な女の子らしかったが、自分でそう思うのは難しかった。自分には生涯彼氏も出来ないし結婚も無理だろうとローティーン

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地続きのヘヴン トカゲシリーズ

地続きのヘヴン トカゲシリーズ

ボンジョルノ本日は、休日とします。
で、何しようかな?

BIGBANG賦活デーとします。つまみはゆっくり、コレ↓。
楽しみもおつまみチョイスも相変わらず、迷いゼロな俺。

とはいえ家事をダラダラやりながら。しかし聴いたり観たりたまにつまんで飲んだり、こんなしあわせな家事労働があるだろうか。てか労働じゃないじゃん遊んでるだけじゃんと言われればそうだが、おうちはちゃんと片付き洗濯物は気持ちよく干され

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スモークパイ

スモークパイ

究極のお菓子
わたしの煙のパイ
でも特別なコンビニで
特別ないつものお姉さんから買わなきゃだめで
うんと掃除してクタクタになったあと
クーと安いワインを飲む
その時にしか出来ない

最初にジャンルを選ぶ
アートかワークかファミリーかホビーかフード、その他
樹木の下で
どの枝にどれが実るか
一番分かるのは小さい頃
うんと下からだと全部見える
どれが好きかもすぐわかる

あれがいいな
その枝に遊ぶ可愛

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ロプノール日記 プライベート・アイズ

ロプノール日記 プライベート・アイズ

のし。
って誰も知らないだろう、のし泳ぎのことは。T兄に教えたら数ヶ月ツボっていたからね。アーユー昭和?おおやはりな😁

ここの所、この水宮がまさかの胃腸の不調。そんなバカな。
スズメの涙ほどのものをなんとか口にしては消化活動に半日近くかかる。吐きたい。
でも長年摂食障害を経験してきて、吐くのがどれほど体力を消耗するのかは体で知っている。耐えた。

上から声がした。

「だめ。今は動かないで休み

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水宮の夏休み🌻

水宮の夏休み🌻

Molt caldo❗️暑い〜😩💦 そしてタイフーン。だが心は↓。俺は世界を変えたくなんかないぜ。

なんとなく世間に合わせて夏休みにすることに。
水宮の夏休みといえば

な、朝から飲みだー😆🪭🎊
若き日のザック・ワイルドのチョーキング姿などもツマミに、やだもう何杯めとか数えてないしー。これぞ大人の特選街じゃなかった大人の夏休み。表はセミのシンフォニー。
おいで。みんなおいで。あたしのパ

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神さまとパーティ

神さまとパーティ

「今日、ちょっとパーティをやるよ。おいで」
朝起きたら神さまが言ったので、私は答えた。
「はーい、ちょっとまってて」

パーティというのでわくわくして、私は正装することにした。

鏡に向かい、髪を梳かして、呪文を言う。それは教えられない。
すると私の胴は細く短くなり、脚も腕も細く短くなり、大きなくちびるは小さくなり、はだは水蜜桃のようになり、梳かしていた髪は細くぽわぽわになった。
私は3歳のすがた

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光る子ども

光る子ども

「おまえさんは、家にいるときは、なんといわれているんだね。」
「あたしは、家にいるときは、名もない、つまらないものなの。でも、家の外にいるときは、だれにも、好きな人になれるのよ。おばあちゃん、おうちにいるとき、あなたはいったいどんなかたなの?」
「ああ、わたしかね。わたしは、家にいれば、ちょっとした人物さ。だが、外に出れば、なんにでもなれるのさ。」
(E.ファージョン『ガラスのくつ』岩波書店)

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In and out   (トカゲシリーズ 1)

In and out (トカゲシリーズ 1)

赤いビーズの首飾りがふと、棚から落ちた。
キラリ。
そこから現れた男を知っていた。初めて現れたのは8歳の時だ。私は驚いて眉を吊り上げた。
「トカゲ❗️」
男は笑いながら、斜に被ったベースボールキャップを脱いだ。
「んだよごアイサツだなー」

彼は私のつくり出したものかもしれない。でも、そうならば、幼くして知る由もないことを私が知っていたことの説明をつけることは難しくなる。
彼は私の中のアニムスであ

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夜長 (トカゲシリーズ 2)

夜長 (トカゲシリーズ 2)

「アンダルサイト。起きてたか?」
トカゲが赤いビーズのネックレスから現れてその辺にゆるりと座った。今夜は何故か正装している。ベースボールキャップは被っているが。

トカゲは私のアニムス兼教育係の男で、この世のものでも幽霊でもない。初見は8つの時。
アンダルサイトは私の名前の一つだ。

「なーんだシラフでガーランドなんかかけて。宵の口はKISSだのザック・ワイルドだのヌーノだのかけて踊って飲んでたく

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金色の魚

金色の魚

賢者は質素な麻の衣に手を隠して言った。
「いずれ恋など、子孫繁栄のための幻に過ぎぬ。考えねばならぬのは世の中全体のことだ」
彼の書物は遠き国まで知れ渡り尊いとされ、人々はそれを世の規範としてきた。

「いずれ恋など。相手は風か花か。どうすることもできぬもの」
物憂げに詩人は琴をかき鳴らして歌った。彼の美しい歌を聴いて皆がその通りだと涙するという。

「お可哀想に。私のところへおいでなさい。情念に傷

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明け方の夢

明け方の夢

明け方の夢の中。
いつもまどろむときそうしているように、私は夫の愛猫になってそのうでの中に丸められ、安心しきって眠っていた。
ああ大好き。
ああ安心。

もういくつか満月がめぐると帰って来る。

夢は、夢によくあるようにふわりと形を変える。

それまで私は私自身でいたはずなのに……。
まだ黎明の冷え切った部屋で、目を覚ます。朦朧としている。
体の痛み。いつもの痛み。
それまで「私自身」だった者が、

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めぐる夜桜

めぐる夜桜

たまに通る団地の公園に、一本の桜の木がある。
団地じたいが古いので、桜もなかなか立派な古樹だ。
季節にはわざと遠回りして寄る。

その四月、スーパーの帰りに通り掛かると、水銀燈に浮かび上がる夜桜の下で激しく泣いている子どもがいた。私は駆け寄りたい衝動にかられたが……

(急に知らない大人が走ってきたら怯えてしまう。何気なくゆっくり行くんだ。)

いかにものんきな買い物帰りに桜を見に寄った風でぶらぶ

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