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空飛ぶストレート【 ショートショート】
荒巻は頭とお尻がくっつく勢いで、天を見上げた。
宇宙人は言った、「たった一つだけ願い事を叶えよう」と。
「バカヤローッ!!」
と叫んでから、左利きから無理やり右利きに変えさせられた拳を雲一つない快晴の空に向かい、渾身の一撃を打ち放った。昨日出会った宇宙人の指示通り、約束の時間。一分の狂いもない。
荒巻正は無勝の4回戦ボクサー。次の試合に負けたら引退。独特の熱量が彼の背中を後押しする。まとわりつく
三つ葉のクロールオーバー【#2000字のドラマ】
【ある日の3人】
■土曜日13:00頃
約1年ぶりに3人は揃って顔を合わせた。渋谷駅前から見渡すセンター街入り口には陽炎が見え、交差点には人の魚群がうねる。交わす言葉は最低限に評判のイタリア料理店へ先を急いだ。
NHKの裏手、宮下公園にも人は散乱し、宿命に抗うようなセミの鳴き声、鬱憤を晴らすように太陽の光が容赦なく降り注ぐ。坂道を登りきると、店外には10人程度の行列ができていた。店先で予約名を伝え
【つぶやき】 存在の耐えられない軽さ
宇多田ヒカルが耳に届けていくれる歌声はU2よりもBEATLESよりも心地よく好きかもしれない。
年月を重ねた今の彼女が唄うAutomaticが1998年当時より胸に響くリズムが落ちついて、GoodbyeHappinessが最後で切ない。
彼女はミラン・クンデラの著作、「存在の耐えられない軽さ」について触れたことに更に好きになった。
登山家に言わせれば、朝飯前かもしれながい、そこそこハードな登