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【読書感想文】 52ヘルツのクジラたち
本日は、『52ヘルツのクジラたち』(町田そのこ 著)をご紹介します。
2021年本屋大賞受賞作
壮絶な人生を生きてきた女性が、すべてを捨てて移住した海辺にある田舎の町で、母親に虐待されている少年と出逢い、自らの過去の痛みと向き合う物語。
ふと、今の私は52ヘルツの声を聴くことができるだろうか、私が52ヘルツの声を上げたならば、その声に気づいてくれる人がいるのだろうか、と思ったら泣けてきました
【読書感想文】 本日は、お日柄もよく
本日は、『本日は、お日柄もよく』(原田マハ 著)をご紹介します。
密かに片思いをしていた幼なじみの結婚披露宴で伝説のスピーチライターと出逢い、衝撃を受けて弟子入りした普通のOLがその仕事を通して成長していく物語。
この本を手にした時に想像したストーリーとは違う展開で驚かされました。
もし私がほんの数ヶ月でこんなに人生が劇的になったなら、戸惑うどころじゃないだろうな、と思わずにはいられません。
【読書感想文】 猫のお告げは樹の下で
本日は、『猫のお告げは樹の下で』(青山美智子 著)をご紹介します。
神社で出逢った不思議な猫から葉っぱの「お告げ」を受け取った7人の連作短編集。
この作品自体が私に授けられたお告げのように感じ、登場する主人公たちとは境遇がまったく違うのですが、それぞれの物語に気づかされるものがありました。
もしかしたら、私だけではなく、誰もが抱いている絶望感や悩み、望みをこの7人が体現しているのかもしれませ
【読書感想文】 夜は短し歩けよ乙女
本日は、『夜は短し歩けよ乙女』(森見登美彦 著)をご紹介します。
第20回山本周五郎賞受賞作
京都を舞台に、後輩である意中の彼女を振り向かせたい大学生が、偶然の出逢いを装って彼女を追いかけるその先々で、2人それぞれに珍妙な事態を巻き起こしたり、遭遇したりする恋愛ファンタジー。
久しぶりに奇人変人しか出てこない小説を読みました。
これぞ本当のファンタジーなのではないでしょうか。
古風で独特
【読書感想文】 たゆたえども沈まず
本日は、『たゆたえども沈まず』(原田マハ 著)をご紹介します。
19世紀末のパリ。
まだ無名の画家だったフィンセント・ファン・ゴッホとその兄を献身的に支え続けた弟、テオドロス(テオ)、そして、彼らと親交を深め、寄り添った2人の日本人画商の物語。
別々のようで一心同体だったゴッホ兄弟の、お互いを強く愛するが故の激しい苦悩が哀しく、胸が痛みました。
フィンセントが命と心をすり減らし、それを叩き
【読書感想文】 息づかいが聴こえてきそうな描写と後半の伏線回収が見事 『グラスホッパー』
私は虫が苦手です。
夏の夜に窓を開けるとたまに飛び込んでくる謎の虫に何度絶叫したか知れません。
別に何の悪さもしないと言われても、同じ空間に居るのは恐怖です。
子供の頃はカブトムシを飼っていたことがあるのですが、今となってはよく飼えたものだと不思議に思えます。
克服するのはもうとっくに諦めているので、せめて害がないものとは、なんとか上手く交わしながら共存していけたら良いと考える今日この頃で