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ハイデガー:『「ヒューマニズム」について』
私の中で特定の条件を満たしたので大物ハイデガーを扱うことにします。ハイデガーについては様々な媒体で過剰なほど情報を得ることができるので、紹介記事としては目新しい内容は多くないと思いますが、ひとまずいつもの形式で書いていきます。
はじめに 「特定の条件」というのは、現代的水準に(よい意味での)偏らせつつ、ある程度の距離を持ってその哲学的意義を評価できること。およびそれを感じることのできる一冊を限
番外編:イタリアのポストモダンにおける「共同体」についての3つのテクスト
文字数が多いながらも言葉足らずのタイトルになりました。その説明もしますが、3つのテクストとは――ジャン=リュック・ナンシー「無為の共同体」(1983年)をキッカケにして数カ月後に書かれたモーリス・ブランショ『明かしえぬ共同体』、そしてアガンベンの「到来する共同体」(1990年)です。
記事の位置づけ「哲学者の紹介」における「番外編」
これらのテクストは、イタリアン・セオリーの前史にあたる「
番外編:イタリアン・セオリー(アガンベンとネグリの間)
イタリアン・セオリーとは まずは文字通り、イタリアの諸理論のことです。もちろん哲学に限定されないんですが、私の記事では哲学にフォーカスすることになります。その哲学界隈(特に英語圏)で、いわゆるフランス現代思想ですね――「フレンチ・セオリー」に代わって「イタリアン・セオリー」が台頭してきた……といった使われ方をされてきた言葉です。文脈的にポスト構造主義「以後」の思想潮流という意味合いを持っているとい
もっとみるローティ:『プラグマティズムの帰結』
現代における哲学の頂点であるローティの紹介です。
はじめに哲学者紹介の記事では、取り上げる人物をしばしばアニメのキャラクターでたとえてきました。ローティの政治的側面の場合、それはアムロ・レイですが、哲学的側面の場合――ファントムブラッドのディオです。
時代背景・どんな人物哲学との出合い〜修士号
両親ともアメリカ人で、いわゆるニューヨーク知識人(反スターリン主義左翼グループ)でした。ニューヨ
ポストモダンの逆襲(リチャード・ローティ補遺):『連帯と自由の哲学』
ローティの「哲学でない」部分について、ポストモダンという言葉について、およびローティの現代的意義と、私なりの整理をします。その際には、若干の哲学的側面に触れることはご了承ください。
フライング記事です
えー、ローティ本人の紹介の前に補遺を出すことになりました。今、哲学者紹介の記事のために、フーコーやローティ辺りの著作を読んでいるのですが、過去を含め、私の読書量という点では圧倒的にフーコーの文
哲学と自殺(実存主義/構造主義)
今回は雑記に近いものとしてお読みください。さっそく雑談から始めましょう。
個人的な思い出
私が大学で哲学を学ぶことを母親に伝えたときの反応が、記憶に残っています。人間の記憶とはかなり柔軟なもの(反芻されるうちに脚色されるもの)ですが、「自殺だけはせんといてよ!」と言われたとそれなりに鮮明に覚えています。一方で、それを言われた自分の反応は不鮮明です。ただ単純に、哲学と自殺がなぜ関係するのか分か