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  • 2023インド旅行記

    初めてインドに行ってきたので、その顛末を書きました。

記事一覧

インド旅行記⑨(エピローグ:日本に帰るまで)

2023インド旅行記:目次はこちら バラナシの、そしてインド滞在の最終日。朝6時頃に目が覚める。昨日の夜は、明日早く起きられたら最後に夜明けのガンガーでも見に行こう…

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5か月前
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インド旅行記⑧(ガンガーを眺めただけの一日、旅をどう終えるのか)

2023インド旅行記:目次はこちら 今日も朝ごはんを食べに街に大通りに出ると、今日もまた日本語のうまい客引きのムケシュに声をかけられる。やはりお土産屋に来いとのこと…

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5か月前
9

インド旅行記⑦(アールティ・プージャで感じた孤独)

2023インド旅行記:目次はこちら (前回のあらすじ:この日は午前中に散髪でボられて、午後にタブラ工房でタブラを購入。その後タブラを持ち帰る際にリクシャーでまたボラ…

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5か月前
4

インド旅行記⑥(散髪して、タブラを買った話)

2023インド旅行記:目次はこちら この日の朝はそんなにお腹も空いていなかったので、朝食を食べずにシャワーを浴び、洗濯を済ませて、散髪に行く。 ホテル近くで気になっ…

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5か月前
7

インド旅行記⑤(ガート散策と憧れのサンカト・モーチャン寺院)

2023インド旅行記:目次はこちら この日もまた朝食を探して大通りまで出て、今日は親子でやっている屋台のサモサチャートを食べることにする。 注文していると急に腕をガ…

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5か月前
10

『降霊』:日本のお化けは慎ましい

1999年にTV用に制作された、日本ホラー映画界の巨匠 黒沢清の長編作品。現在は各種サブスクでも見ることができず、ソフトも廃盤で中古市場でも高値がついている。本作は彼…

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6か月前
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インド旅行記④(タブラレッスン:Are you happy now?)

2023インド旅行記:目次はこちら この日は早く目が覚めたので、まずは水シャワーを浴びる。インドのシャワーは水が基本のようで、私の部屋にも給湯器のようなものは付いて…

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6か月前
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インド旅行記③(BHU訪問、インドの神に何を祈るのか)

2023インド旅行記:目次はこちら (前回までのあらすじ) 必死のパッチでバラナシの路地を抜けて、ゲストハウスに到着。最初はちょっと不安だったが、受け付けをしてくれ…

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6か月前
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インド旅行記②(デリー→バラナシ)

2023インド旅行記:目次はこちら ヘトヘトになっていつの間にか眠ったはずのニューデリーのホテルで、朝5時には目が覚めてしまう。疲れは取れたのか?そんなことすらもよ…

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6か月前
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インド旅行記①(成田→デリー)

2023インド旅行記:目次はこちら ついにインドに行ってきた。 私はもともと、あまり進んで旅行に行きたがる性分ではなく、特定の土地に対するイメージが充分すぎるくらい…

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6か月前
17

『チ。-地球の運動について-』:知(血)を紡ぐこと

季節の変わり目、特に肌寒くなってくる秋口になると、私はしばしばよく分からなくなってくる。この世界は何のためにあるのか。私は何のために生きているのか。この世界のど…

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6か月前
4

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』:喧嘩するところから始めよう。

飛行機の中で時間が有り余っていたため、一番軽そうなやつを、と思って軽い気持ちで見始めたが、無茶苦茶に良い映画だった。マーベルものはあまり好きじゃなくて触れずにい…

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7か月前
4

さよなら国立劇場

映画好きなら割りとあることだと思うが、一時期、小津(安二郎)映画を片っ端から観ていた時期があった。流れるようにテンポの良い昨今の映画のカット割りとは真逆の、登場…

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7か月前
5

令和4年2月文楽公演見聞録

陽性者が出てしばらく休演していたが、この日の公演はなんとか開催。朝一の第一部と昼からの第二部を続けて鑑賞。久々の国立劇場。 第一部は「ニ人禿」「御所桜堀川夜討 …

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7か月前
2

『響け!情熱のムリガンダム』を見たが

私自身インド古典音楽は好きだし、南のカルナータカ音楽も好きなので、南インドの代表的な太鼓であるムリダンガムをモチーフにした映画、ということで観に行った。 ムリダ…

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11か月前
3

バッハ『マタイ受難曲』:とびきりやさしい誇大妄想は罪か?

『マタイ受難曲』濱田芳通+アントネッロ @川口総合文化センター リリア 私にとっての『新約聖書』の位置づけについて 私は神を信じていない。いや、未だに信じることが…

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11か月前
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インド旅行記⑨(エピローグ:日本に帰るまで)

インド旅行記⑨(エピローグ:日本に帰るまで)

2023インド旅行記:目次はこちら

バラナシの、そしてインド滞在の最終日。朝6時頃に目が覚める。昨日の夜は、明日早く起きられたら最後に夜明けのガンガーでも見に行こうかなと思っていたが、もう日は昇ってしまっている。まぁこれはこれでいいかな。昔読んだ福永武彦の小説に、行くかどうか決めかねていた大事な待ち合わせを寝過ごしてしまった主人公が『ひとつの決定が無意識のうちに為されてしまったことにある種の心地

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インド旅行記⑧(ガンガーを眺めただけの一日、旅をどう終えるのか)

インド旅行記⑧(ガンガーを眺めただけの一日、旅をどう終えるのか)

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今日も朝ごはんを食べに街に大通りに出ると、今日もまた日本語のうまい客引きのムケシュに声をかけられる。やはりお土産屋に来いとのこと。まぁ行かないのだが、しかし彼の日本語はほんとに上手い。ここまで習得するにはさぞ時間がかかっただろうと思う。今日は一日ゆっくりできる最後の日なので、落ち着いて朝食を食べられるレストランがないか聞いてみると、うってつけの場所がある、と教

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インド旅行記⑦(アールティ・プージャで感じた孤独)

インド旅行記⑦(アールティ・プージャで感じた孤独)

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(前回のあらすじ:この日は午前中に散髪でボられて、午後にタブラ工房でタブラを購入。その後タブラを持ち帰る際にリクシャーでまたボラれかけたけど、何とか回避。無事タブラを持ってゲストハウスに帰ってきた。)

とりあえずタブラを部屋に入れて、少し触って喜びを噛み締めたら、また外に出る。その辺りをブラブラして、お店の人と交渉してチロムを買ったり、後はタブラを練習する時

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インド旅行記⑥(散髪して、タブラを買った話)

インド旅行記⑥(散髪して、タブラを買った話)

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この日の朝はそんなにお腹も空いていなかったので、朝食を食べずにシャワーを浴び、洗濯を済ませて、散髪に行く。
ホテル近くで気になっていた「Siva Barbershop」。外から覗くと、無愛想そうな親父が一人でやっているようだ。入ると先にシェービングをしている客がいて、終わると紙幣数枚を渡している。これならカットはどんなに高くても数百ルピーくらいか?外人価格でも

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インド旅行記⑤(ガート散策と憧れのサンカト・モーチャン寺院)

インド旅行記⑤(ガート散策と憧れのサンカト・モーチャン寺院)

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この日もまた朝食を探して大通りまで出て、今日は親子でやっている屋台のサモサチャートを食べることにする。
注文していると急に腕をガッ!と掴まれ、何事かと見ると、昨日の朝食時にしつこく話し掛けてきた日本語が達者な兄ちゃん、ムケシュだった。

日本語はものすごく堪能だが、結局は土産物屋で何か買わせたいらしく、私が昨日熱意のあるミシン兄ちゃんから買った服を着ていたので

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『降霊』:日本のお化けは慎ましい

『降霊』:日本のお化けは慎ましい

1999年にTV用に制作された、日本ホラー映画界の巨匠 黒沢清の長編作品。現在は各種サブスクでも見ることができず、ソフトも廃盤で中古市場でも高値がついている。本作は彼の作品群の中でも、前後して制作されている『回路』(2000)や『アカルイミライ』(2003)に比べるとやや地味な作品であり、今回観てみても確かにストーリー展開がやや精彩を欠き、こじんまりと纏まってしまっていたように思うが、私が本作を観

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インド旅行記④(タブラレッスン:Are you happy now?)

インド旅行記④(タブラレッスン:Are you happy now?)

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この日は早く目が覚めたので、まずは水シャワーを浴びる。インドのシャワーは水が基本のようで、私の部屋にも給湯器のようなものは付いていたが、とうとう最後までお湯は出なかった。しかし温水を浴びたところでどうせまたすぐに暑いので、水でも何ら問題なし。

シャワーの後は、朝食を探して通りへ。
路地を抜けて少し歩くと栄えている通りがあり、そこここの屋台で様々な食事を出して

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インド旅行記③(BHU訪問、インドの神に何を祈るのか)

インド旅行記③(BHU訪問、インドの神に何を祈るのか)

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(前回までのあらすじ)
必死のパッチでバラナシの路地を抜けて、ゲストハウスに到着。最初はちょっと不安だったが、受け付けをしてくれたおじさんもどうやら良い人のようだ。

通された部屋も、古くてテレビこそないものの、綺麗に手入れされ静かで落ち着いていて、田舎の親戚の家に来たようなくつろぎ。壁は青く、かわいらしい黄色い花が描かれた陶器のプレートが付いたフックが備え付

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インド旅行記②(デリー→バラナシ)

インド旅行記②(デリー→バラナシ)

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ヘトヘトになっていつの間にか眠ったはずのニューデリーのホテルで、朝5時には目が覚めてしまう。疲れは取れたのか?そんなことすらもよく分からない。冷水シャワーを浴びて、朝ごはんが買えないか外に出てみる。
この時間ではさすがに街もまだ充分に目覚めてはおらず、道端では昨日の露店の営業そのままに横になって眠ってしまった人だとか、何か良く分からないけど今そこで起きたような

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インド旅行記①(成田→デリー)

インド旅行記①(成田→デリー)

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ついにインドに行ってきた。
私はもともと、あまり進んで旅行に行きたがる性分ではなく、特定の土地に対するイメージが充分すぎるくらいに蓄積されたら、「そんならひとつ行って確かめてみるか」くらいのスタンスである。
今回も、物心ついた頃からのインドに対する蓄積が臨界に達し、巡り巡ってついにインドに行く時がきた。私にとっても初インドは大きなイベントだと思うので、記録とし

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『チ。-地球の運動について-』:知(血)を紡ぐこと

『チ。-地球の運動について-』:知(血)を紡ぐこと

季節の変わり目、特に肌寒くなってくる秋口になると、私はしばしばよく分からなくなってくる。この世界は何のためにあるのか。私は何のために生きているのか。この世界のどこに、こうして無意味の辛酸を嘗めながら生きるほどの価値があるというのか。世の中の見通しはとても暗く、空気は冷たい。私はこの世界のどこを愛しているのだろうか。どうして生きていこうなどという大それたことを受け入れたのか。
こうなると、自分で自分

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『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』:喧嘩するところから始めよう。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』:喧嘩するところから始めよう。

飛行機の中で時間が有り余っていたため、一番軽そうなやつを、と思って軽い気持ちで見始めたが、無茶苦茶に良い映画だった。マーベルものはあまり好きじゃなくて触れずにいたのですが、昨今の作品はこんなにクオリティが高いんですか?それとも監督:ジェームズ・ガンだからこそ為せる業なのか。何にせよ彼が過去の失言でキャンセルされなくて良かった。劇中の台詞にもあるように「誰にでも二度目のチャンスはあるべきだ」と思う。

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さよなら国立劇場

さよなら国立劇場

映画好きなら割りとあることだと思うが、一時期、小津(安二郎)映画を片っ端から観ていた時期があった。流れるようにテンポの良い昨今の映画のカット割りとは真逆の、登場人物の台詞の度に流れが滞るような、台詞がポツリポツリと不定期に置かれていくようなタイム感。あれに病みつきになり、『大人の見る繪本 生まれてはみたけれど』から『秋刀魚の味』まで、観られるものはできるだけ観た。

その中で、別の意味で衝撃を受け

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令和4年2月文楽公演見聞録

令和4年2月文楽公演見聞録

陽性者が出てしばらく休演していたが、この日の公演はなんとか開催。朝一の第一部と昼からの第二部を続けて鑑賞。久々の国立劇場。

第一部は「ニ人禿」「御所桜堀川夜討 弁慶上使の段」「艶姿女舞衣 上塩町酒屋の段」の三幕。文楽の演目は大体3種類に分かれると思っていて、言祝ぎの儀式のようなめでたもの、軍記もの、人情ものに大別できると思う。この部はそれを一つずつ楽しめるお得パックですね。私はバシコーン!!とキ

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『響け!情熱のムリガンダム』を見たが

『響け!情熱のムリガンダム』を見たが

私自身インド古典音楽は好きだし、南のカルナータカ音楽も好きなので、南インドの代表的な太鼓であるムリダンガムをモチーフにした映画、ということで観に行った。

ムリダンガムの演奏は映画の割にしっかりした尺で聞けたし、音楽も後付けでなく実際に演奏していたので、大変にダイナミックでした。またムリダンガム工房の様子なども知れたので、そこも良かった。

では映画としてはどうだったのか。私は、昔からあるスポ根も

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バッハ『マタイ受難曲』:とびきりやさしい誇大妄想は罪か?

バッハ『マタイ受難曲』:とびきりやさしい誇大妄想は罪か?

『マタイ受難曲』濱田芳通+アントネッロ @川口総合文化センター リリア

私にとっての『新約聖書』の位置づけについて

私は神を信じていない。いや、未だに信じることができていない、と言った方が正しいかもしれない。この世界を生きる上で、どんな形にせよ信仰を持つことができれば、それはどんなに力強い拠り所となるだろうか。新旧聖書やクルアーンをはじめ、マヤ神話の『ポポル・ヴフ』やオウム真理教の『STEP

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