最近、保険会社のがん保障は支払いの幅が
広がっています。

昔はがんの「診断」や「入院」が支払事由となる
ことが一般的でした。

しかし、現在は「所定の外来治療」なども支払
事由に組み込まれてきています。

皆さんはがんの治療をどれくらいご存知ですか？

過去記事でがんの治療について記載しています
ので、よかったらご参考にしてみてください。

ご自身やご家族、ご友人ががんに罹患しない
限りは、多くの場合がんの治療実態などを知る
機会などはなかなかないでしょう。

しかし、治療の種類を知っておくことは、
万が一の際の初動や選択肢は大きく変わってくる
と思います。

また、その治療が医療保険やがん保険の支払いに
該当するのかどうかまでしっかり押さえておく
ことが大切です。

本日は、いくつかの保険会社で支払事由にもなり
始めている「がんゲノム医療」についてお伝え
します。

そもそも「ゲノム」とは

ゲノムとは遺伝情報の全体を意味します。

さらに詳しく言うと、人間の体内にある細胞
の中には「核」と呼ばれる部分があり、
その中の「染色体」に含まれるすべての遺伝子
情報を指します。

染色体を構成する重要な成分には、皆さんも
よく聞く「DNA」も挙げられます。

がん細胞の発生は、この遺伝子の突然変異が原因
とされています。
正常な遺伝子の変異であれば自然に修復しますが、
その突然変異を修復できなかった細胞ががん細胞化
していきます。

そこで、がん細胞中の上記遺伝子情報を調べ、
遺伝子変異等を明らかにし、その人の体質や病状
に合った治療などを行う医療を「がんゲノム医療」
と呼ばれます。

また、この遺伝子情報を調べる検査を

・がん遺伝子パネル検査
・がんゲノムプロファイリング検査

と呼ばれます。

では、このがんゲノム医療を保険適用で受ける
となった場合に、どういった条件が必要なのか
押さえておきましょう。

保険適用の条件

がんゲノム医療が公的医療保険適用となるには、
下記の通りいくつかの条件があります。


・標準的治療が終了しているがん
・標準的治療がないがん
・原発不明のがん
・希少ながん
・小児がん


そのため、健康な方が保険適用で受けることは
まず難しい状況であり、一定のがんでない限り
「標準的治療」が終了していないと受けられない
検査となります。


なお、受ける際には今までの治療経過を記載した
紹介状や、検査のための病理組織検体などが必要
となるため、主治医との相談のうえ、最終検査が
可能かどうかは、中核拠点病院や連携病院の担当
医が判断することとなるため、多くの段階を踏ま
なければ検査が受けられないのが実態です。

標準的治療とは

上記条件で出てきた「標準的治療」という言葉を
ご存知でしょうか。

臨床試験により治療効果の可能性があり、かつ
安全性が保障されている最も現在において推奨
される治療法全体を指す言葉です。

支払事由で多く目にするであろう、

手術などの「外科治療」
X線などの「放射線治療」
抗がん剤などの「化学療法」

などが当てはまります。

また、これらを組み合わせて治療を行うことを
「集学治療」とも言います。

受けられる場所

このがんゲノム医療ですが、近くの医療機関
どこでも受けられるというものではありません。

現在は、全国12施設のがんゲノム医療中核拠点
病院、33施設のがんゲノム医療拠点病院、
もしくは全国185施設のがんゲノム医療連携病院
で受診可能です。

検査費用目安と精度

保険適用の遺伝子パネル検査は56万円とされて
おり、3割負担として16万8,000円ほどかかり
ます。

検査費用のみですのでその他費用を加味すると
20万円は超えてくるものです。

そのため、高額療養費制度を利用する必要も
あるかと思います。

また保険適用での検査は1回しか使えません。

保険適用の条件に当てはまらない、待っていられ
ない、今すぐ受けたいという方については、
検査費用56万円を全額自己負担すれば受けること
は可能です。

また、気になる検査精度ですが、がん遺伝子
パネル検査で自分に合う薬が見つかる確立は
現在、約10%程度と言われているためまだまだ
課題の多い検査となっています。

いかがでしたでしょうか。

今後はさらなる先進的ながん治療も世の中に
出てくるかと思います。

がんの治療も昔は「手術」がメジャーでした。

しかし、今は「放射線」や「抗がん剤」など
様々な治療が出てきています。

そういったその時代のがん治療に合った保険に
なっているかもあわせて確認してみてください。

それでは。