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極私的ジャズ銘盤選2021秋DXⅢ

本編の前にまずは、今週の二郎系のコーナー!!

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2021年度、食べ納めか。阪神国道「これが好きだから」ギョポン350ニンニク少なめ全マシ一味。さすがは最終週、気合が入った今季イチエッジの効いた味わい。それでいてスルスル食べられて、齢30にして危うくスープまで完飲する勢い。このバランス感覚に魅了されるファンは後を立たない、主宰のことです。日々進化を続ける銘店、来年も楽しみにしてます。ごち。

以下、本編。

延長戦第3ラウンド。8月リリース残分が2割弱、残り8割強で9月盤をご紹介する段取りとなっております。前回同様に部別毎の簡素なコメントに留め、省エネモードで最大出力を目指す所存。そして今回こそは曲数が膨れ上がり過ぎぬよう細心の注意を払いつつ、溢れちゃったらごめんなさい。本連載で一番ボリューミーになった秋編ようやく完結。それでは始めてまいります。

※一気読み困難につき、部別で少しずつどうぞ。

~第一部~

基本軸は8月盤を堅持、たまーに7月盤が紛れ込んだ第一部。The InvisibleのフロントマンDave Okumu、Mackwoodに学ぶ最先端のUKジャズサウンド。Soundscape OrchestraはスウェーデンのJAMバンド、要警戒人物確定です。ダラス出身LA在住のシンガー/プロデューサーLiv.eの不思議なループの虜になってるとMuito Kaballa Power Ensembleの分厚いループが更に追い打ち。

一聴してわかるロンドンサウンドCarrie Baxterも20年代のアイコンなるか。カリフォルニア州モントレー生まれのNajiに息づく、根深いジャズの作法。ジャケ写を見るだに名曲の予感しかないThe Cookers。そして何と言ってもCleo Solの新譜ですよ『Mother』これはもうグラミー間違いなし。例えばCarole Kingをリアルタイムに味わえていたらこんな幸せだったのかも。

~第二部~

若干ハタチのトラックメイカーquickly, quickly皆様どうか寛大な心で見守り育てて参りましょうねの気持ち、対照的にDonald Edwards Quintetは堂々の立ち回りで安定感抜群。米カリフォルニアのサイケポップバンドMild High Clubが纏うジャズの質感をこの耳で感じ取った、主宰が大学ジャズ研でやり残した編成をRuben Ferreroがパーフェクトに再現してくれました。

UKの新星Lola Youngはシックでマットで超コンセプチュアルな作品でした。ドラム分析不可避のTelemakusも今年21歳の逸材、ああ恐ろしや恐ろしや。Yakulは前もご紹介しましたがあまりの清涼感開放感に問答無用の重ね打ち。長谷川白紙の次は松木美定の時代が必ずやって来ると主宰は信じてやまず。初期の星野源好きにはたまらない質感のはず、アポンタイム。等々。

~第三部~

祝・日本デビュー決定のサウスロンドン勢、edbl重ね打ち。93年ブライトン生まれのElli Ingram、NY在住のGt奏者兼コンポーザーRotem Sivanの永久に白飯が食らえるループと令和版「Part Time Lover」との呼び声高い新時代シンガーMarie Darlstrom。80sフィールをアップデートし続ける逸材Gabriel Sayerに、南ア出身ロンドン移住勢M Fieldの隠しきれぬエスニック料理感。

ハタチの英SSW・Maya Delilahが魅せた底知れぬ可能性、客演Michael Mayoの文字に思わず重ね打ちを決めたNate Smith。今年一体幾つスマッシュヒットを飛ばすつもりなのかというAnderson.Paak参加、88risingの新譜。そして昨今のサウスロンドンブームによって苦節8年、ようやく日の目を浴びた天才Rosie Loweの最新シングルまで網羅した第三部。

~第四部~

Mcbrideヴォーカルデュオで幕開け。じわじわと人気高まる通称・パジャ海と、もっと人気高まってよいはずの実力派Allen Stone。TENDREのメジャーデビュー盤皆買おうな、20年代ブルーノートを占う重要盤となるかMacaya McCraven。近年ジャズへの接近が顕著なインディR&B界隈からイチオシBLK ODYSSY、Gerald Claytonの怪演光るsajeと共にどうぞ。

Hayden Calninが指し示すのはミクスチャー音楽の新航路、敢えてど真ん中を往くAdelineの姿勢もまた魅力的に映った。一転エヴァークリーンなサウンドを聞かせてくれたのはRachel Chinouriri、とまだまだ9月上旬リリースをうろうろしている状況。これは嫌な予感、しかし良作ラッシュで当方嬉しい悲鳴。秋の陣を早く終わらせねばvs終わってほしくない、のせめぎ合い。

ここで小休止。

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最終週、意地の駆け込みで阪神国道「これが好きだから」和えポン350ニンニクアリ全マシマシ。抜群の茹で加減で着丼、やはりこの麺は界隈でも随一の味わい。主宰は7、8年来の常連ですからスクナメコールでもマシに匹敵する配膳をお見舞いされた経験を持ち。これもひとえに愛情の裏返し、無碍に返す訳にはいかぬと無言で完食するのが業界のマナー。ごち。

~第五部~

4拍子のようで4拍子じゃないPetter Eldhは別稿で取り上げ確定、「Flylo以降」を強烈に感じるLNDFK、主宰10年来のファンRemy Le Boeufが待望のラージアンサンブル参戦。感涙必至のChick Coreaと、日本の新鋭luvis。童謡のリハモを鳴らし続ける孤高の集団キヲク座を折り返し地点に、後半ガラっと趣向を変えてまいります。ちなみにまだ9月前半。

Amp Fiddlerのオールドニューな音像、Stones ThrowフォロワーはマストなTaylor Narain。完全にゾーンに入っちゃったCory Henryの銘盤、そのオープニングナンバーから。IDMの転用も垣間見えるBnnyhunnaの新曲、これもなかなか渋い。てな訳で前回に迫る勢いの楽曲数に。まずいなー、これまずいなー。しかし足を一切止めない。

~第六部~

いつぞや以来の重ね打ち、Paul Grantと黒田卓也ファン必聴のTelemakus。異国情緒たっぷりなSteven Bamideleに、Bon Iverがお好きな貴方に是非どうぞなKinkajous。変わらず安定感ありますねえJordan Rakei、80sシャッフルで体揺らしちゃいましょ。程良い生感とラップトップ感の融合、CLUB OROはLAからの刺客。Moonchild登場以降、ますます面白くなる西海岸サウンド。

美味しそうな名前のDragonfruitはライブパフォーマンスも気になるところ、未だ謎多きプロジェクトB-ahweの動向にも今後要警戒。無限に聞いていられるのはOtis McDonaldのループ、第五部同様、こちらもIDMを下地としたポップサウンドが魅力のCool Companyで〆。ようやく9月中期盤到達。ペース鈍化に拍車がかかります。

~第七部~

人力とテクノロジーはここまで溶け合える時代に、をテーマとし選び取ったKaidi Tatham、Nala Sinephro。過去を照らし今を映し出すDave Liebmanのコルトレーントリビュート。国産ジャジーポップのトップランナーとなりつつあるkiki vivi lilyと、新顔Solmana。Future Bassもガラージも軽やかに調理してみせるJarreau Vandalは問答無用で重ね打ち。

Gabrielの包容力、今秋強烈にヘビロテした1曲。主宰ただ今、絶賛布教活動中のRotem Sivanと合わせてどぞ。TrijinteとGregory Porter珠玉のコラボに滂沱の涙、Jim Snideroの銘盤はこの度待望のSpotifyライブラリに仲間入り。「With Stringsモノ」としては21世紀代最強クラスの貫禄すらあります。さてまだまだ続く、9月中盤戦。

〜第八部〜

Theo Croker、Julius Rodriguez、Cisco Swankこの辺りは本企画の常連さん。daniel haynは是非クラブで爆音プレイしたいところです、David BinneyとGenevieveというのもなかなか危険な組み合わせで◎。ディアンジェロキッズにぶっ刺さるBenny Atlas。そしてFabiano Do Nascimentoの新譜もジャケ内容共にたいへん素晴らしい仕上がりでした。

インディ音楽とジャズのパイプ役として、Clear MortifeeやWAYNE SNOWといった存在は今後注視すべきかも。さらにミクスチャー界隈の深化も止まらない、Sam Gellaitryは一体レコード屋の何コーナーに陳列され得るサウンドなのか。そしてなんせ本稿を第八部まで間延びさせた最大の要因は、Hojeanの纏う強烈なノスタルジー、そしてメランコリーであります。

〜第九部〜

秋の陣最後の部。Madi Sipezの新曲3バージョンのうち最も甘美なデュオ編成のこちら、storiesの歌声もなかなか心に沁みる。UK発の注目バンドKansas Smitty'sに、泣く子も黙る名手Victor Gould。そして推しメンのFinding Neoを問答無用で重ね打ち。ミクスチャー音楽の新星Getaway Dogs、独リューネブルク発のハウスミュージックデュオSession Victimは今後台風の目となるか。

錚々たる面々を従えつつ1分20秒足らずの楽曲で強烈なインパクトを残したBruce Williamson、清水靖晃『無伴奏チェロ組曲』オマージュを感じずにはいられないトロンボーンソロ盤を届けてくれたNils Landgren。ラストを飾るのは、シカゴを拠点に活動するStones Throw勢Silas Short。これがデビュー盤という衝撃よ、将来が楽しみで仕方ありません。

銘盤選2021冬の陣、その展望。

前回を大幅に上回る90曲追加で、秋の陣ついにお開き。残すはウィンター編。10〜12月リリースを各月10曲前後までなんとか絞り込み、30曲+αくらいの重量感でもって年末アワードに流れ込む。一切守られた試しのないマニフェストが決算月に、見事なまでの着地を見せるのか。乞うご期待。これはもうフラグでしかありませんね。

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