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取材者の心絵(ココロエ)

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東洋経済オンラインやOCEANS、AlpenGroupMagazine、キングギア などの媒体に寄稿しているスポーツライター、瀬川泰祐が取材・執筆活動の中で、日々感じている取材か… もっと読む
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#記者

BTS騒動にみる報道の役割と日本人としての行動

BTS騒動にみる報道の役割と日本人としての行動

一連のBTS騒動。

前提として、僕は親韓でも反韓でもない。だが、これらの騒動は決して、気持ちの良いものではないと感じる。

この騒動自体が、だ。

僕には、韓国人の友人も、もちろん、いる。一方で、剥き出しの反日感情を示された行動がニュース番組で流れると、大勢の韓国人の姿勢に対しては、嫌気がさしている自分も、いる。

まずはこちらの記事を読んでみてほしい。一連のBTS騒動のことが書かれたものだ。

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ライター業界の現実

ライター業界の現実

ライターという職業。

これは、自分で選択した肩書きであり、自分で掴み取ったものだ。

だが、僕にとっては誇り高き職業であっても、一般的にライターの価値は著しく低い。これは、ライターとして活動してきたこの何年間かで痛感してきた事実だ。

ライターと解説者の共通点先日、サッカー解説者の戸田和幸さんとお会いして、深く話をしていくうちに、解説者という職業は、多くの点でライターと似通った性質があることがわ

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キッカケは突然に

キッカケは突然に

「モデルの女の子のトレーニング風景を取材するんだけど、瀬川さん、カメラお願いできますか?」

僕がはじめて、ある媒体の編集者から依頼を受けた時の言葉だ。

それまで僕がやってきたことは、その編集者には事前に伝えていた。おおよそ以下のような内容を伝えていたと思う。

・ヤフーで企画職に就いていた頃、ウェブマガジンを立ち上げて編集業務も行っていたこと
・プライベートワークとして、地元のローカル媒体を立

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マスメディアで書くということ

マスメディアで書くということ

「あぁ。瀬川さんも、その課題にぶつかりましたか」

僕が、このところずっと感じていたライターとしての課題を話したところ、編集者のAさんはこう言った。

なるほど、いま僕が持っている課題はマスメディアで書く多くの書き手がぶつかる課題なのかと、すぐに悟った。

僕は、せっかく書いた記事は、多くの方々に読んでもらいたいし、次にまた読んでもらうためにも、一人でも多くの人に認められたいと願う。

だけど、い

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爪痕を残す

爪痕を残す

「めちゃくちゃいいピヴォだね」

僕の隣で観戦していたスポーツライターの仲間が、ある選手に視線を向けながら、こう言った。

その視線の先にいた選手の名は、岡村康平(31)。現在、フウガドール すみだに所属するフットサル選手だ。

岡村は、30歳の時に初めて日本代表合宿に呼ばれたが、それまでFリーグでの出場試合数も決して多くはなく、下積みがとても長い選手だった。

この日、僕は友人たちとFリーグの

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信じる

信じる

「よしっ、今日も自信をつけていこう!」

フットサル元日本代表の諸江剣語選手は、フィジカルトレーニングを始める前に、自分自身を奮い立たせるかのように、こう言った。

僕は、いつの間にか、「正解」が大好きになり、いつの間にか、「間違い」を悪と捉えるようになり、間違いを嫌う大人になった。今では、「正解」だけを信じ、「正解」を求め続けて生きている。

だが、アスリート達を見ていると、間違っていてもいいん

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プロカメラマンから学ぶ表現者としての覚悟

プロカメラマンから学ぶ表現者としての覚悟

「俺がシャッターをきって、それを誰かが買ってくれる。俺の仕事は、そういうことだ」

あるアーティストのライブの現場で一緒になった、プロカメラマンの方が、開演前に僕に話してくれた言葉だ。

僕は過去に一度だけその方に、写真を撮ってもらったことがある。

MOMO CUPという百瀬俊介さん主催の大会に「キングギア フレンズ」の一員として参加した時に、大会のオフィシャルカメラマンとして参加していたその方

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「好き」が引き寄せるもの

「好き」が引き寄せるもの

「書くの楽しい?」

つい先日、僕にこんな質問をして来た男がいる。2年前、僕をスポーツライターの世界に引き込んだ友人のAさんだ。なんで急にこんなことを聞くのだろうと疑問に思っていたが、彼は、最近の僕にどんな変化が起きているかを見抜いていた。

憧れを行動に変えるAさんAさんはいつも僕に、明るい未来へのアドバイスをくれる。実は、僕にnoteで書くよう最初にアドバイスをくれたのもAさんだ。

Aさんは

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ガチのぶつかり合いで生まれる熱

ガチのぶつかり合いで生まれる熱

「今の文章では読者を置いてきぼりにしている。このままの文章ならむしろ他の媒体に出した方が良い」

ある原稿を入稿した時に、編集担当者が僕に言ってくれた言葉だ。

また、別の原稿では、

「いま〇〇が世間の話題になっているのに、そのことを書かない理由がわからない」

などと指摘されることもある。

執筆活動をしていると、時として、周りが見えなくなることがある。僕自身の「伝えたい」が先行しすぎてしまう

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記者が追いかけるべきものって?

記者が追いかけるべきものって?

記者が追いかけるものって何?

こんな質問をすると、

「スクープでしょ。スクープを狙って、取材対象者を張り込みして・・・」

と言う人がいるかどうかはわからないが、その事実、スクープを取った数が、記者の価値に繋がっているという話をよく耳にする。

でも、週刊誌の特命記者ではない僕には、スクープなど、なんの興味もない。むしろ、取材対象者から警戒されてしまっては、話の真実や本音を聞き

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積み重ねるべきもの

積み重ねるべきもの

先日、ヴァンフォーレ甲府などで活躍した元Jリーガーの長谷川太郎さんとお会いしたときに、「ハッ」とさせられる話を伺った。

「僕は試合に出るために、監督に合わせてプレーしていた。でもそれだけじゃ、監督が変わるたびに、毎回ゼロに戻っていることに気づいた」

ゼロに戻るという感覚は、「評価を受ける」自分の立場をイメージすると分かりやすい。サッカー選手なら、監督やコーチ、強化部長らが選手を評価する。サラリ

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書くだけでいいのか?

書くだけでいいのか?

「ライターって何かを書くのが仕事なのに、なんだ、このタイトルは。」

そう思った方がいるかどうかは定かではないが、実は、この「書くだけでいいのか?」という問いは、僕が記事を書く上で、いつも自分に投げかけている事だ。

こう考えるようになったきっかけは、僕が東洋経済オンラインで書かせてもらった一つの記事にある。

フットサル「Fリーグ」の何とも厳しい現実

このタイトルで掲載された記事は、数多

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たった一行の重み

たった一行の重み

「あの一行が僕の人生を変えてくれた」

日本を代表する俳優の阿部寛さんは、俳優として生き残りをかけてもがいていた若かりし日を振り返りながら、こう語ったそうだ。

その一行とは、『この舞台に出ている阿部寛を評価しないわけにはいかない』と書かれた週刊誌の記事だったとのこと。

モデルとして華々しくデビューし、俳優に転身するも、しばらく俳優として評価されたことがなかった阿部寛さんが、初めて受けた評価

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