旅 中東欧

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ノート

ヨーグルトがピンク色にそまるときの味

白いまちと白いヨーグルト

春の気配がないままに3月のビリニュス(リトアニア)には真白な世界が広がっていた。そんななか、朝食に眼前の景色のような真白なヨーグルトをたっぷりいただく。

リトアニアは酪農国。そして古くから日本同様に発酵文化をもつ国。

ヨーグルトといえばギリシアと思われるが、ご多聞にもれず東欧もヨーグルト国家なのだ。そのひとつにヤギ皮の袋に乳と菌を入れて発酵させていたケフィアヨーグル

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旅する土鍋 リトアニア⑧ 「ウジュピュス共和国の憲法と作家」

昨日の建国記念日、ふと先日訪れたリトアニアのウジュピュス共和国のことを思い出したので記録に残しておこう。

ウジュピュス共和国

1997年4月1日(エイプリルフール)リトアニアからの独立を宣言した国(国連否認可)であり、独自の憲法・大統領・国旗を持っているという非常にユーモアあるエリア。あくまでもリトアニアとは仲良く暮らしながらの国。ある晴れた日、パスポートなしで旧市街から川を渡ってウジュピュ

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旅する土鍋 リトアニア⑦「謎めく食材」

「これはなんですか?」

目の前の食材をゆびさして、英語教科書の最初のページのような会話をする。「ネー」「ニェ」「ニエット」など、NOにあたる音が聞こえてきたら、もうどうしようもないのだ。「(英語が)わからない」という意味。それなのに彼らのはにかんだ笑顔をみると、あきらめられない。好奇心のボルテージが上がってきて寒さにふるえる足を意味もなくばたばたさせる。

リトアニアの首都ビリニュスという町のお

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旅する土鍋「リトアニア⑥」東京で見つけた瓶のなかのリトアニア

舌のうえにのこる記憶

旅先にご縁がのこる場合は、意識していなくとも、帰国後もかの地のあれこれが舞い込んでくるもので。

写真の瓶づめインスタント「ボルシチ」は、徒歩3分のところにあるスーパーで家族がみつけて買ってきてくれた。旅した者の余韻が、家族にも興味関心として伝わることはとてもうれしいことだ。

ボルシチ:ロシアの伝統的な料理で、鮮やかな深紅色をした煮込みスープで、ベラルーシ、ポーラン

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「旅する土鍋 リトアニア⑤」ライ麦パンのスープに想う

静かな誇り

彼らの顔はもはや満足気であり、静かな誇りに満ちている。

陶、籐、鉄、木、麻、綿、毛など、素朴な素材をつかった工芸品・民芸品が数えられないほどのテント下にならぶ3日間。リトアニアの守護人カジミエラスの命日を祝うためのカジューカス祭り。

厳しい冬のあいだに職人やアーティストがつくり溜めた工芸品や伝統食材のお披露目の3日間であり、寄せる復活祭の飾りを入手する機会でもあるようだ。

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「旅する土鍋 リトアニア④」屋台料理を食べながら

前回は独立国家の成り立ちについてかいつまんだが、同時にナチスによる悲劇も忘れてはならない。そんな歴史があるのに、人々はおだやかな歩みで未来を見ている。

リトアニアの首都ビリニュスの街中いっぱいに華やかな工芸品がならぶマーケット(カジューカスのお祭り)を歩きながら、さまざまな歴史が人間性をつくるのかとふと思う。静かで穏やかな人々。そして日本人以上にシャイである印象を受けた。アジア人であるわたしの顔

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「旅する土鍋 リトアニア③」東欧の歴史とスープに想う

1.「宗」と「史」

前回は、宗教と食、工芸は切り離せないということを書いたが、さらには統治や戦争、人種問題など歴史的な事柄も根強く食や工芸に残っているということ。宗教にならび、残念ながら歴史にも疎いゆえに、今回の訪欧ではるかに勉強不足を感じた。食と工芸を結びつけた仕事をするには、まだまだ知り得るべきことがたくさんある。知りたいことが倍増して、これからの興味と好奇心が広がったことは旅先のリトアニア

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「旅する土鍋 ポーランド編①」ポンチキな脂の木曜日

「脂の木曜日」
ぎょっとするような木曜日、今年は2/28日であったようで。復活祭前のポーランドでの行いのひとつで、断食前に脂っぽいものを食べる=「ポンチキ」を食べる習慣となっているそうだが、この「コンチクショウ」でも「ポン吉」でも「ファミチキ」でもない「ポンチキ」(Pączki ポンチュキとも聞こえる)というお菓子のネーミングが、宗教色に反してどうにも陽気だし、お菓子もお店もかわいらしい。

「ポ

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「旅する土鍋 リトアニア編②」まず温かいスープを飲もう きっとかならずすべてうまくいく

直行便がない国リトアニアへ。

ワルシャワ(ポーランド)のイミグレーションの制服がちょっぴり軍服っぽくて、パスポートのページを念入りにチェックする目も厳しい。

搭乗チェックの厳しさは、国によっても異なるし、年々厳重になっていることは否めないし、ありがたいと思うが。上着にベルト、靴の必脱は承知。みなさん寒いのにTシャツ姿とかになってるのが滑稽だ。セーター静電気ばちばち脱いでもピーピーとセンサーにぎ

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「旅する土鍋 リトアニア①」世界でおなじように手を動かしている喜びを分かち合いたいだけなのかもしれない

イタリアを大土鍋とまわる自己のプロジェクトは、ときに研究の旅にも出る。これまでに、どれだけの陶芸家と握手をかわしてきただろう。

その国の新聞にひとつひとつ包まれた器と真っ黒になった手。梱包をといて器をひとつずつ台に並べてゆく疲れた笑顔。かたい粘土をさわる無骨な指。乾いた唇としゃがれる声。流通でない言葉のネックレス。

40代以上の職人とはなかなか英語が通じない。けれど単語によって伊語(ラテン系)

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