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別れの情景 その2 安部恭弘「MANHATTAN」
と、こんな感じで安部恭弘の「トパーズ色の月」の続編として安部恭弘の「MANHATTAN」を解釈してみました。
リリースは「MANHATTAN」の方が早く1983年3月で「トパーズ色の月」の1年前。しかし、この2曲を聴いていると、3月に日本からニューヨークへ旅立った女性(トパーズ色の月)を5月の連休あたりに追いかけて渡米した男(MANHATTAN)という構図が浮かんできてしまいます。
両者に共通
沈黙の闘い〜ありがとう007
今年の夏は暑かったので、いろんなところで影響が出ている。カメムシの大量発生もその一つ。
昨夜、シャワーを浴びてテーブルの前の椅子に座って一息ついていると、何やら右脚の付け根辺りがモゾモゾする。
ボクサーパンツの右の裾をゆっくりとめくる。
カメムシ…
私は何故かこの時ショーン・コネリー演じる初代007の映画のワンシーンが浮かんできた。
そのシーンとは…事件の調査で南国に赴いたボンド。ホテル
短編小説「思い出を盗んで」その7 十三夜
十三夜
彼の転帰はいきなりだった。
その夜。
消灯時間がきたので私は読みかけの本に栞を挟んで机に置いた。机の電気スタンドを消し、そのままベッドに入ろうとしたが思い直して本棚に本をしまった。
自分で片付けしないと片付かないのよね…
私はいつか彼から聞いたエントロピー増大の法則のことを思い出して独り言ちた。
部屋の灯りを消してベッドにもぐりこむ。
この療養所に来てもうすぐ一年
短編小説「思い出を盗んで」その6 蝉時雨
その6 蝉時雨
夏の昼下がり。
青い空に入道雲が湧き上がっていた。中庭の木々からは蝉たちの声が賑やかに響いている。
彼は二階の私の部屋の窓枠に腰を掛け手摺に体を預けて外の風景を眺めていた。
私はベッドに座って彼を見ていた。
「何をそんなに熱心に見てるの?」
彼は外を見ながら応えた。
「不思議だなって」
「何が不思議なの?」
「夏は暑いし蝉たちは一生懸命鳴い