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信じる者と刺客の対話
スピリチュアリティとか信仰の話が、もうちょっとふつうに、株式市場や心理学や年金の話と同じようにされるようになってもいいのにな、と思う。
スピリチュアリティというのは、うまい訳語がないのだけれど、自分とセカイのありかたをどう考えるか、精神をどこに置くか、といった方面の話題だ。
神様や魂の存在を信じるかどうか、という話でもある。
「信じる」側と「信じない」側が出会うと、もう宿命的に、どちらかが正
わたしがわたしに気づくには
前回、ちょっとながながと『意識と自己』を読んでの要点と感想を書いてみたのだけど、意識がどこから生じるかっていう部分の仮説についてはスルーしてしまったので、その部分だけもう一回まとめてみました。
進化の中で生まれた意識:チェシャ猫の笑い
意識はどこに宿るのか。
大昔からいろんな賢人たちが頭を悩ましてきた問題だけど、脳神経学者のアントニオ・ダマシオ教授が『意識と自己』(講談社、Kindle版、20
時間のなかの動的な存在&まとめ (『意識と自己』その5)
ダマシオ教授は、「原自己」が生まれるのに必要なシステムは、脳幹核、視床下部と前脳基底部、島皮質、S2皮質、内側頭頂皮質などだと考えているが、ただし、これらの箇所に原自己が宿っているのではなく、原自己は「脳幹から大脳皮質までの多くのレベルに、神経経路により相互に結ばれたいくつもの構造の中で」多種多様の信号から、「動的に、継続的に生み出されている」と考える。(『意識と自己』Kindle の位置2674
もっとみるわたしの中のわたしの雛形(『意識と自己』その4)
人間の身体には、細胞内の化学的特性と変化を感知してホルモンを分泌したり、腸、心臓、皮膚、血管などの平滑筋を収縮させたりして、身体を生存に適した一定の状態に保つための無数のシステムがあり、絶えず微細に連係しあっている。
ひとつひとつは「ほとんどがゲノムにより先天的にさだめられた」はたらきをする部品からなる、いわば複雑な交通システムみたいなものだ。
そしてその全体が脳と連絡をとりあっていて、脳内に
意識の三層。 (「意識と自己」その2)
ダマシオ教授は、人間の意識は大きく分けて
原自己(proto-self)
中核意識(core consciousness)
【ここに中核自己(core-self)と
自伝的自己(autobiographical self) がある】
拡張意識(extended consciousness)
にわかれている、という説を提唱している。
「私は、意識も注意もさまざまなレベルで起きていて、一枚岩で
認識が感情? (『意識と自己』その3)
ダマシオ教授の説で一番面白いのは「認識は感情である」と喝破しているところだと思う。
そもそも情動・感情とは何か。
ダーウィンやフロイトは19世紀に情動を進化の文脈でとらえ、基本的な情動がいろんな生物のあいだに共通して見られることを指摘したが、それ以降、哲学でも科学でも情動はまともな研究対象として見られてこなかった、とダマシオ教授は指摘する。
哲学の世界でも神経学や認知科学の世界でも、情動とい
わたくしという現象:アントニオ・ダマシオの「意識と自己」(その1)
意識や思考は重箱構造
意識や思考というのは、ミルフィーユみたいに、何重にも重なった構造になっている。
自分で自分の状態に気づいていなかったことに気づく、ってことは誰にでもわりとよくあるのではないかと思う。
イライラしたり急に不安になったとき、その原因を正確に特定できないのはふつうだし、自分が何かの強い感情に圧倒されているのにぜんぜん気づかずに生活していることだって珍しくない。
自分の感情や、
シュタイナーの神智学
スピリチュアル系で安直に引用されてる感の大きい、シュタイナーの神智学。
古書店でふと目にとまったので、この際読んでみようと思った。
ちくま学芸文庫、高橋巌訳。
原書の初版は1904年に書かれ、ヨーロッパで版を重ねたもの。1922年の「第9版のまえがき」もこの文庫版に掲載されている。
もっと難解な本なのかと思っていたが、意外にとても読みやすかった。
前半は「人間の体の本性」「人間の魂の本性