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2作目の骨組みまで書き終え、3作目の構想も組み立ちました。早く書きたい!
初小説「背に生えた刃」を書き終えました
初めての連載小説
「背に生えた刃」
無事に書き終えることができました。
お読みいただいた皆様
本当にありがとうございました!
「背に生えた刃」は
それぞれに悩みを抱えながらも、自分の意志で自分らしく生きようともがく人々の対話劇というかたちで
3人の女性を描きました。
生き様を見せる、という意味で
「背中を見せる」とか
「背中で語る」など、背中という表現が
意志を語る上で使われますが
その
背に生えた刃 4-3 【最終回】
社会が長い年月をかけて醸成してきた固定観念が、人々に「結婚こそ幸せ」「男女の恋愛こそ自然」と暗示をかけてくる。それはマジョリティであればやすやすと乗ることが出来る、身の丈に合った幸せのかたち。多くの人々が、それに添えばある程度の幸せを享受できる、基本のかたちだ。
社会が、そして友人の多くが望む幸せのかたちとは、マジョリティの描く理想であり、生まれたときから知らず知らずのうちに植えつけられたもの
背に生えた刃 4-2
「独身になって、初めて気付いたんだけど、わたしの友達っていつのまにかほとんど結婚してたの。やっと遊べるようになったと思ったら、遊んでくれる友達がいなくなってたの!驚いたよ、もう、嫌になっちゃう」
手酌でスパークリングワインを注ぎながら、彼女は苦笑いして言った。ビールを飲む気分じゃないと言って、彼女がさっさとボトルを入れたのだ。ふたりでは飲みきれないと制止したのだが、「大丈夫、大丈夫」と全く聞く耳
背に生えた刃 4-1
いつの間にか、季節は冬から春へ、春から夏へと移り変わっていた。
彼女を自宅に招いた日のことは、自分の中で静かに尾を引いていた。ふとした瞬間に、彼女の耳にかかる栗色の髪を思い出す。斜め下を向いて、一気に語り終えた彼女の。
彼女を傷つけていたのは、自分だけではないと分かっていた。彼女にカミングアウトした友人もまた然りだ。マイノリティなのに恋人と幸せを生きる友人が、マジョリティなのに母親となる望み
背に生えた刃 3-3
三十路を過ぎた女たちには、決して相容れない組み合わせがある。
子育てに悩みながらも充実した生活を送る女性と、毎月生理がくるたびに肩を落とす、授かり待ちの女性。新婚で何の疑いもなき幸せいっぱいの女性と、一向に成果をみない婚活に疲れ始めた女性。
二十代までどんなに仲が良かったとしても、境遇によって関係が変わってしまうのが常だ。これは人間性の問題ではなく、互いの人生グラフの調和の問題なのだと、長
背に生えた刃 3-2
問い返す言葉も出なかった。自分が受けているのは「友人がレズビアン」という単純な衝撃だと思ったのだろう、彼女は続けた。
「三年くらい前、言われたの。女同士で付き合ってるって。わたし、やめなよって言ったんだけど、すっかりはまっちゃってて、聞く耳持たずで」彼女はそう言いながら、大袈裟にしかめた顔の前で手を振った。
「ほら、あの子美人だけど、これまでひとりかふたりくらいしか彼氏がいたことないし、恋愛経験
背に生えた刃 3-1
駅に着くころ、雪がちらつき始めた。
道理で底冷えすると思った、とぼんやりしていると、カラフルだが寒そうなミニスカートのユニフォームを着た若い女性に「お願いしまーす」と小さなパッケージを差し出された。女性向けのスキンケア用品の新商品サンプルキットだった。
今日は負けか、と心の中でつぶやく。
ごくたまに、男性と間違われてか、それとも男女の判断に迷われてか、女性用のサンプリング商品を自分には渡さ
背に生えた刃 2-3
最も厄介なことは、彼女が、どこに問題があるのかを正確に分かっているということだった。彼女が、自分が悪いということをはっきりと分かっていることが何よりの問題だった。相手にもきっと非があるのだろうが、彼女にもまた非があることは確かなのだ。
「ねぇ、つばさの初恋の相手ってどんな子?」
和食屋を出ると、自分の行きつけのバーに場所を移した。
重く長い話のあと、一向にビールを呑む気にならなかったくせに