鉄兜被りの助

すごい小説を連載しています。

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  • アジ・ダハーカの箱

    滅び行く人類とその天敵ドラゴンとの戦い。終末世界を放浪する者はその瞳にいったい何を映すのか。 逆噴射小説大賞ノミネート作品として始まった小説です。1900の作品の中から二次選考通過!ありがとうございました。また、すべてのエピソードを無料公開中のワンス・アポン・ア・タイム・イン・シズオカの応援窓口としてもよろしくお願い致します。

  • ワンス・アポン・ア・タイム・イン・シズオカ

    実在の自治体とは関係ありません。

記事一覧

ロストスペル

□私はロボットではありません チェックを入れるための手が止まる。たった一文で心臓を直接握られたかのような感覚を覚えた。目の前のモニターに映し出されるのはどうって…

27

人間を壊す毒

「ただいま」  僕は玄関で呟いた。  返事はない。  ふう、とため息をつき、重たいリュックサックを置いた。持っていた泥だらけのシャベルを壁に立てかけ、ブーツの紐…

9

ナイト・ブレード・百物語

ズゥゥゥゥン……! ズゥゥゥゥン……! ズゥゥゥゥゥゥゥン! 「畜生ーッ!サイアスが踏まれて死んだっぽいぞ!」 「バカ野郎!奴を見上げるな!奴のことを見上げるん…

26

眠らぬ鉄の魔女:設定集

魔女アウロラ: 主人公。虚無の魔女。魔女は生まれつき強い魔力を持って生まれる。それは魔女特有の臓器、魔導器と呼ばれるものの恩恵によるものだが、彼女にはそれが体の…

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眠らぬ鉄の魔女

「ここ、テストに出るぞ」 教師が黒板を小突いた。 僕は窓の外を眺める。青い空、白い雲。台風が過ぎた後の晴天が清々しい。 「こら!授業に集中しろ!」 国語教師のユ…

8

サイファイ・パンデモニウム

「幽霊って本当にいるのでしょうか?」 カドワキが後ろでアホなことを言った。 「何言ってんだ。仕事中だぞ」 俺は振り返らずに答えた。しゃがんだまま作業を続ける。あ…

26

アジ・ダハーカの箱 第10話:罪なき罰

「ま、待ってくれ!俺が悪かった!やめてくれ!やめろッ!やめ」 無視だ。俺はクソ野郎の口に鉄板入りのブーツをブチ込んだ。加減の無いサッカーボールキック!歯が何本も…

100
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アジ・ダハーカの箱 特別編:ボーイ・ミーツ・ガール

俺は目の前にいる女の胸を揉んだ。 「ちょっと、やだ、うふふ、人が見てるよ」 若い女……よく知ってる女だ。俺の幼なじみ。佐田理央(さだりお)はそう言いながらも満更…

10

アジ・ダハーカの箱 第9話:死都編 【結】黄昏と暁

蜘蛛の糸……! 男がひとり、曇天から垂れ下がる蜘蛛の糸に掴まり、せっせと上っている。 そのすぐ下には、おびただしい数の亡者たち。亡者たちはいびつな組体操のよう…

100
3

夜を泳ぐものたち

もうすぐ僕の時間だ。 この世界はクソだ。だが、美しい。僕はそれを知っている。 窓に腰掛け、夕暮れが沈むのを眺めながら物思いにふける。 僕には友達がいない。…

21

デッド・デッド・リローデッド

「お前の番だぜ。ほらよ」 俺は古臭いリボルバーを対面で座ってる男に投げる。まるで奢った酒をテーブルに滑らせるバーテンダーのような気軽さ。ポーカーじゃあるまいし…

23

ネイキッド・チャーチ

おはよう! 青い空、白い雲。 朝の太陽の柔らかな光が木々を輝かせ、俺の白い服を照らしていた。今日も心地良い風が吹いている。 「おはようございます」 エドワー…

57

アジ・ダハーカの箱 第8話:死都編 【転】ライブ・リビング・デッド

…… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… …… ………

100
3

アジ・ダハーカの箱 第7話:死都編 【転】竜喰い

「まいったな。これはどうにもならん」 気だるげに傭兵が呟いた。彼女は竜喰いの賞金稼ぎと呼ばれた兵士。トレードマークのトレンチコートを羽織り、両手に構えたリボル…

2

アジ・ダハーカの箱 第6話:死都編 【転】ロッカバイ・ベイビー

「はははは!これで!これでやっと死ねる!やっと!やっ、と、あばばばばばッ!」 狂気めいた歓喜の叫びが空港ターミナルにこだまする! そこでは地獄が如き光景が繰り…

4

アジ・ダハーカの箱 第5話:死都編 【承】

"……それにしても、噂通りだな" "ああ、驚いた。信じられん" "本当に……犬属性のドラゴンどもが寄って来ない。一度も襲われてない。このまま目的地まで到着できるんじ…

100
4
ロストスペル

ロストスペル

□私はロボットではありません

チェックを入れるための手が止まる。たった一文で心臓を直接握られたかのような感覚を覚えた。目の前のモニターに映し出されるのはどうってことのないセキュリティ認証機能。ただクリックするだけだ。何も問題ない。

……俺が本当に人間なら。

手を動かす。ログインした。何も起こらない。このくだらない心配は杞憂に終わった。

「バカバカしい」

ふう、とため息をつき、椅子に背を預

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人間を壊す毒

人間を壊す毒

「ただいま」

 僕は玄関で呟いた。

 返事はない。

 ふう、とため息をつき、重たいリュックサックを置いた。持っていた泥だらけのシャベルを壁に立てかけ、ブーツの紐を解く。

(もう一人じゃないんだ。こういう挨拶からちゃんとしないとな)

 体に付いた泥を払い、風呂場へ向かう。

 みし、みし……

 安っぽいアパート特有の床のきしみ。気にせず一枚扉の浴室ドアに手をかける。僕は覚悟を決めるように

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ナイト・ブレード・百物語

ナイト・ブレード・百物語

ズゥゥゥゥン……!

ズゥゥゥゥン……!

ズゥゥゥゥゥゥゥン!

「畜生ーッ!サイアスが踏まれて死んだっぽいぞ!」

「バカ野郎!奴を見上げるな!奴のことを見上げるんじゃないッ!」

「グオォォォォーン!」

地響き、悲鳴、咆哮。

巨人が振り向いた。

見上げサイクロプスは山の如き巨体を震わせ、その奈落のような一つ目の視線をこちらに向けている。

俺たちは奴らを呼んでしまったことを……百物語に

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眠らぬ鉄の魔女:設定集

眠らぬ鉄の魔女:設定集

魔女アウロラ:
主人公。虚無の魔女。魔女は生まれつき強い魔力を持って生まれる。それは魔女特有の臓器、魔導器と呼ばれるものの恩恵によるものだが、彼女にはそれが体のどこにも存在しなかった。空の器である自分をコンプレックスに思い、姉に隠れて密かに対聖騎士の訓練を続けていた。下級魔術を駆使して戦い、聖騎士たちの聖剣の力と身体を奪って行く。

魔女スノウホワイト:
人間の国語教師として生活していた。氷結の魔

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眠らぬ鉄の魔女

眠らぬ鉄の魔女

「ここ、テストに出るぞ」

教師が黒板を小突いた。

僕は窓の外を眺める。青い空、白い雲。台風が過ぎた後の晴天が清々しい。

「こら!授業に集中しろ!」

国語教師のユキちゃんが僕を指す。教室で笑いが起こった。仕方ない。妄想でもして過ごそう。例えば、テロリストが襲ってきて……

僕は再び空を見た。そして目を疑った。

窓の外に甲冑を着た機械がいる。緑色に光る筋を走らせた仮面、刺々しい武者鎧……大柄

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サイファイ・パンデモニウム

サイファイ・パンデモニウム

「幽霊って本当にいるのでしょうか?」

カドワキが後ろでアホなことを言った。

「何言ってんだ。仕事中だぞ」

俺は振り返らずに答えた。しゃがんだまま作業を続ける。ああ、カドワキってのは俺の助手だ。

「でも、ここって目撃証言もたくさんあるんですよ。集団ヒステリーにしたって……あるいは、義眼の故障のせいだとしても、おかしくないですか?」

俺はため息をついた。

「なあ、カドワキ。今が西暦何年か知

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アジ・ダハーカの箱 第10話:罪なき罰

アジ・ダハーカの箱 第10話:罪なき罰

「ま、待ってくれ!俺が悪かった!やめてくれ!やめろッ!やめ」

無視だ。俺はクソ野郎の口に鉄板入りのブーツをブチ込んだ。加減の無いサッカーボールキック!歯が何本も砕け、飛び散り、口唇がちぎれ飛んだ。

「ぐわッ!がッ!ああああッ!」

嗚咽、悲鳴。振り子のように揺れる芋虫。無様な姿だ。だが俺の心は冷えている。気を失われると面倒なので、次はそのたるんだ腹に一撃おみまいしてやった!全裸で縛られたクソ野

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アジ・ダハーカの箱 特別編:ボーイ・ミーツ・ガール

アジ・ダハーカの箱 特別編:ボーイ・ミーツ・ガール

俺は目の前にいる女の胸を揉んだ。

「ちょっと、やだ、うふふ、人が見てるよ」

若い女……よく知ってる女だ。俺の幼なじみ。佐田理央(さだりお)はそう言いながらも満更でもない様子だ。

「はは、誰も見てなかったら良いのか?」

俺は微笑みかける。理央は俺の手を振り払い、柔らかく笑った。

「うふふ、うふふふふふ。じゃあ、これが終わったら続きをしましょう」

「そうだな。そうしよう」

絶望的な約束を

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アジ・ダハーカの箱 第9話:死都編 【結】黄昏と暁

アジ・ダハーカの箱 第9話:死都編 【結】黄昏と暁

蜘蛛の糸……!

男がひとり、曇天から垂れ下がる蜘蛛の糸に掴まり、せっせと上っている。

そのすぐ下には、おびただしい数の亡者たち。亡者たちはいびつな組体操のように各々を足蹴にして、蟻の行列めいて男に追い縋ろうとするが……

男は手に持ったオートマチック拳銃を連射する!火花と共に吐き出される薬莢!弾丸は亡者の頭部に命中!命中!破壊!破壊!飛び散る頭蓋のかけらと肉片が汚らしい花を咲かせる!屍た

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夜を泳ぐものたち

夜を泳ぐものたち

もうすぐ僕の時間だ。

この世界はクソだ。だが、美しい。僕はそれを知っている。

窓に腰掛け、夕暮れが沈むのを眺めながら物思いにふける。

僕には友達がいない。学校も行ってない。家では酔った父に殴られ、不機嫌な母にはいつも罵られている。尊敬できるところが一つもない大人たち。何の記憶もない日々。希望なんかない日々。でも、僕はこの世界が好きだ。

「きた、きた、きたぞ」

太陽が沈

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デッド・デッド・リローデッド

デッド・デッド・リローデッド

「お前の番だぜ。ほらよ」

俺は古臭いリボルバーを対面で座ってる男に投げる。まるで奢った酒をテーブルに滑らせるバーテンダーのような気軽さ。ポーカーじゃあるまいし、ブラフは意味がないことは知ってるが、まあ、気分だ。

男は無言でリボルバーに手を伸ばす。手が震えていない。怖気付いた様子は無い。どうせハッタリだ。俺が勝つに決まってるんだからな。

説明不要、これはロシアンルーレットだ。

自分の

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ネイキッド・チャーチ

ネイキッド・チャーチ

おはよう!

青い空、白い雲。

朝の太陽の柔らかな光が木々を輝かせ、俺の白い服を照らしていた。今日も心地良い風が吹いている。

「おはようございます」

エドワード神父がやって来た。

「神父様、おはようございます」

俺は挨拶を返す。エドワード神父は微笑み、朝日を眺めながら深呼吸した。俺もそれを真似る。美しい山の空気を肺いっぱいに吸い込む。すべてがきらめき、輝いて見える。なんて清々

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アジ・ダハーカの箱 第8話:死都編 【転】ライブ・リビング・デッド

アジ・ダハーカの箱 第8話:死都編 【転】ライブ・リビング・デッド

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……顔に……

……

……

俺の……顔、顔に、何か……

……

……

「……リア……ナ……パーガトリーの……」

……

……

「……を知って

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アジ・ダハーカの箱 第7話:死都編 【転】竜喰い

アジ・ダハーカの箱 第7話:死都編 【転】竜喰い

「まいったな。これはどうにもならん」

気だるげに傭兵が呟いた。彼女は竜喰いの賞金稼ぎと呼ばれた兵士。トレードマークのトレンチコートを羽織り、両手に構えたリボルバーの銃口の先、大型の倉庫の屋根の上には……呪属性ダムドゥドラゴン!

ここは国際空港より18マイルほど離れたロサンゼルス中心地、ダウンタウン。チャイナタウンやリトル・トーキョーなどの多様な地区で構成され、いくつものブティックやモダンな

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アジ・ダハーカの箱 第6話:死都編 【転】ロッカバイ・ベイビー

アジ・ダハーカの箱 第6話:死都編 【転】ロッカバイ・ベイビー

「はははは!これで!これでやっと死ねる!やっと!やっ、と、あばばばばばッ!」

狂気めいた歓喜の叫びが空港ターミナルにこだまする!

そこでは地獄が如き光景が繰り広げられていた。まるでペットボトルの蓋を取るように、人間の首が鷲掴みで捻られ、そのまま引きちぎられる!胴体から間欠泉のように噴き出す鮮血!

「ひっ、ひいいああ」

歴戦の傭兵の口から情けない悲鳴が漏れた。地獄だ。目の前の光景は本

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アジ・ダハーカの箱 第5話:死都編 【承】

アジ・ダハーカの箱 第5話:死都編 【承】

"……それにしても、噂通りだな"

"ああ、驚いた。信じられん"

"本当に……犬属性のドラゴンどもが寄って来ない。一度も襲われてない。このまま目的地まで到着できるんじゃないか"

"そうだな。車を走らせてけっこう経ってるが、こんなにど真ん中のルートを通ってもまったく襲ってくる気配がない。不思議なほどだ"

"見ろ。向こうにいるのは犬属性ハイエナドラゴンだ。目が光ってる。……こっちを見てる。何匹も

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