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「きいろのまち」 #色のある風景

「きいろのまち」 #色のある風景

ニーナは黄色のまちで黄色のにんげんとして生まれそだちました。
黄色のにんげんのまちでは、まちもひとも、なにもかもが黄色でした。
そのなかでニーナは肌だけが黄色で目と髪が黒色だったのです。
そんなニーナを見て父と母はためいきをつきました。
まちをあるけば人々がニーナのすがたを見てはうわさをしたり、いじわるをするので、ニーナは毎日がたのしくありません。
年ごろになったニーナは黄色のペンキをじぶんにぬり

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ふれることば

ふれることば

おもい、つたえたいことば
はっしたものの
おもいのすべて

うけとったがわの
かいしゃくのことなり

こたばであるがために
りかいしようとする
ほんのうてきなよみとり

しょうじてしまう
てざわりのちがい

ことなりはひつぜん

ひとつのえをみて
かんじかたがちがうように

いちまいのしゃしんから
つむがれるうたがちがうように

ことばですらみんな
りかいはことなるもの

ことばのかたちがちがうか

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気づき傷つき解るまで

気づき傷つき解るまで

気づかないものに
大事なものはあって
気づけないことに
後で悔やむ思い

たしかなものを
はっきりとした形にして
周りを見渡す余裕を
感じ取れる心の余白

真実という偽りなき主観
事実という悲しき客観

気づきに含まれる毒を
毒と分かって飲み込めるか
そんな勇気が試されている

生きる術を手に入れる
一生忘れない気づきを
事実と分かって飲み込む

のたうち回りながら
時の重み、時のあり方を
知って

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今のうちに

今のうちに

今のうちに
会っておかないと
さよならは
突然訪れるから

今のうちに
伝えないと
本当の気持ち
分かり合えないから

今のうちに
抱き締めないと
あなたの温もり
わかれないままだから

みんなの1日は
同じじゃないから
今のうちに
出来ることを

この時の大切さ

まだ大丈夫
抱える不安を
ほんのちょっと
勇気に変えてみて

夜纏言葉/大和言葉

夜纏言葉/大和言葉

どうにもならない思い
夜に溶かし言葉を探す
たおやかな心映えをと
しののめの明るみへと
手を延ばしたまゆらに
月冴える空に霞が立つ
夜を纏いて浮舟の思い
まとまらぬつたい歩き
まだ朝は早いと陽炎へ
空蝉に浮かぶ言葉の光
#造語お題

掌編小説 | わたしの石

掌編小説 | わたしの石

 小さな船の冷たい床に寝転がり、空に浮かぶ男の人を見ていた。
 わたしは船に乗せている大きな石が、片方の足を潰してしまっていることも忘れて、スーツを着ているその人を目で追っていた。彼はサラリーマンなのかな、なんてのんきに思っていた。わたしの目に映るのは、青い空、白い雲、そしてサラリーマンだった。

いつだったか、わたしはこの船に乗り込んだ。着の身着のまま、後先を考えずに、この小船に身を隠す

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Yell《詩》

Yell《詩》

踏み出す一歩

不安や緊張
初めてには付き物

何もかもが真っ白の世界
これからその目は何色の景色を映すだろう

揺れる花の様に色とりどり

時にノイズが響いても
聞き流して

嫌味な奴
面倒な奴
底辺の奴ら

全て纏めてオールスルー

腹ん中で舌出し鼻で笑ってやれ

持ち前の真っ直ぐさ
粘り強さが武器

君色にその景色を染めて行け
掴む夢は必ず己の中
揺るがない想いが未来へ導く

君に贈る…

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まいせるふ

まいせるふ

何も決められない自分が好きで
何も決めない自分も好きで
何も決めないのに生きてる自分が好きで
何も決めないのに何もしてないわけじゃない
そんな自分が好き
嫌い、嫌いは好きの裏返し
やるせなさと許せなさは
相反して同居している
多少のギスギスは想定内
そうやって明日も穏やかになんて
ちょっと余裕をかましてみる
いろんな思いが
洗濯機の中のようにグルグルしてる
それでも考えて考えて考えたら
結局、自分

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挑み《詩》

挑み《詩》

時に挫折も味わう
それが経験に繋がる

くだらない野次

かったりぃ
頭悪いんじゃね?
そう受け流してOK

一歩、二歩前進

歩みが止まる日が来ても
焦るな

辛く暗いトンネル

時間がかかっても手探りで

いつもそうして
乗り越えてきた経験
背中を押す

『大丈夫』
そう、大丈夫

踏み出したら案外軽い足

重苦しい鉛の日は吐き出せ

幾らでも聞く

休みたい時無理に飛ぼうとするな
羽根を休め

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勝ち気《詩》

勝ち気《詩》

良いんじゃない?
そのプライドも

間違ってる訳じゃない

一度嘘も真実も食ってしまえ

よく味わい
味覚と嗅覚を研ぎ澄ませ

見た目だけ
瞞しに騙されるな

その曲げない根性

此処から這い上がる強気な姿勢

睨めつけて
鋭い眼光
毒は腹ん中にしまっとけ

今は吐き出す時じゃない

いつか来るべき時の為
溜めておけ

牙は隠せ

無闇に剥くな
荒っぽい真似は
損するだけ

いつか闘うその時に

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掌編小説 | 儀礼

掌編小説 | 儀礼

※暴力的な表現を含みます。

 平日の昼間だ。早朝から江の島観光をした帰り、新宿までの普通電車の車内は空いていた。座席のシート一列を二、三人で分け合い、それぞれが他人の空間に立ち入らない配慮をして座っている。

 わたしには晶の右側を半歩下がって歩く癖がある。彼の前に立とうと思ったことはない。それはわたしが彼と保つ、絶妙な角度と距離であって、彼の方でもおそらくそう感じている。そのことについて二人で

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桜の咲く頃に

桜の咲く頃に

明るい人を見ると俯くことが多くて
美しい景色を見ると走り出したくなった
言葉と心の寄せ方が違うのが顔でわかる
それを理解するのにだいぶ時間を要した
何となく素朴に引き寄せられる生き方
誰もいないところで空気のように
無機質になることで力を抜けられた
前髪は不規則なほうが好き
自撮りをしない人生を良しとしている
たぶん独特な考え方なのだろう
どうやれば笑えるのかを知らない
というより笑いたくないのに

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