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凍結した12年間ー共感が人を救う

先日、12年間精神疾患による闘病生活を経験された当事者の方のお話を聴講した。
講演会で話された男性Iさんは、東京の大手の会社でバリバリのサラリーマンとして働かれていたが、ある時からうつ病などの精神疾患を発症し、12回の入院(医療保護入院などを含む)を繰り返し、12年間、社会と孤立しながら闘病生活を送られたそうだ。
脱力、食欲低下、パーキーソン的歩行、思考力の低下、五感の喪失、過呼吸、視覚異常、妄想、そして、うつ病。
社会に復帰したいと病と葛藤しながらも、闘病生活を送っている間に、家族と警察により、知らぬ間に眠らされ、精神科の閉鎖病棟に送られ、地獄を味わったという。机も無い、和式便所のみの部屋。壁には血痕。患者同士のいじめ。閉鎖病棟に入ると、精神疾患が悪化する...。本当に思い出したくもない出来事だったという。

「幸福や命の尊厳は、どこにあるんだ」
閉鎖病棟での生活は、この疑問を感じさせずにはいられない経験だった。

Iさんは現在、ピアサポーターとして活動している。ピアサポーターとは、同じような立場の人がサポートする人のこと。いわゆる、ピアサポートを行うことであり、専門家によるサポートではなく、同じ境遇の人がサポートするというところに特徴がある。
れいわ新選組から当選されたALS患者の船後靖彦氏もピアサポーターとして尽力された方の一人だ。

Iさんは、ピアサポートを行う上で大事なことは、「相手との会話の中で感情を探り、相手に寄り添うこと。そして、一緒に考える姿勢を持つことだ」と語る。
そして、当事者であるからこそ、共感が人を救うのだと言う。

私自身は、当事者ではないが、当事者から語られる話はどの現場においても、貴重なものではないだろうか。当事者が語る話には出来るだけ耳を傾ける必要があるだろう。
それは、福祉や医療だけの現場に限らず、政治の中でも重要だ。当事者の話を聞き、寄り添い、生きづらさを感じることのない社会にしていくためにも。
当事者の視点を生かし、社会に良い変化を起こすためにも、今の自分のできることを探り、少しでも前進していきたいと思う。


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