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短歌連作七首「サマー・ソルジャー」
カーラジオから響くサニーデイ・サービス
雨を弾いて窓に七色
焦げついた気持ち火照(ほて)った魂に
生温い風、君に会いたい
そっちはどう?って聞かずとも
知ってる君は君のまんまだ
炭酸のペットボトルを開けるとき
弾け飛ぶ泡くらいの青春
僕たちはサマー・ソルジャー
あの夏の心はいまも火照ったままさ
空はどこからどこまでが空色で
僕らいつまで若者なんだ
夏がくる。にはまだ早く春雨の
ペトリコ
自選短歌「はないちもんめ」
みんな寝ている教室の窓辺から
見る夏雲とプールの匂い
ベランダに閉じ込められて笑ってる
十四の俺のあだ名〈スマイル〉
長過ぎた変声期まだ覚えてる
声にならない吾の悲鳴を
遊戯王カードだったら強いのに
俺のターンが来ないババ抜き
担任が仲良くしろと皆に言う
吾だけいないホームルームで
軟骨のピアスもパーマ金髪も
中二の俺を守るシールド
夏休み明けに刈られて丸坊主
ピアスの痕がやけにまぶし
自選短歌・其の三 「黄昏をとめたい」
月曜の朝からぜんぶやめちまえ
それができたら誰も死なない
朝晩と中島みゆきで励まされ
ユーミン聴いて泣いてる馬鹿だ
「難しい問題ですね」そうですね
予定調和が居心地いいね
チラシだけやたら過剰な映画見て
B級の意味噛み締めている
「ショーシャンクの空に」を見てから思うこと
ビールの美味さはロケーションだと
西洋人のフリした東洋人たちが
大口開けてチップをねだる
「正解」があちらこちらに