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2020.1よんだ

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最愛の母に「死んでもいいよ」と言った日

最愛の母に「死んでもいいよ」と言った日

「ママ、死にたいなら死んでもいいよ」

大好きな母に、私が放った言葉です。
高校2年生の時でした。

ひどい娘だと思いますよね。
私もそう思います。
でも、母を救う唯一の言葉でした。
それしか見つからなかった。

話は少しさかのぼりまして。

私が中学2年生の時、父が突然死しました。
働きすぎによる、心筋梗塞でした。

父は建築系ベンチャー企業の経営者で、めちゃくちゃカッコいい存在でした。めちゃく

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先見の明を持ちすぎる父がくれた、移民ファービーとボンダイブルーiMac

先見の明を持ちすぎる父がくれた、移民ファービーとボンダイブルーiMac

先見の明を持つ人って言うと。
うん。
織田信長だよね。

なんてったって、火縄銃を大量導入してっから。
戦国大名が「無理やがな」って匙投げてんのに、モリモリ導入してっから。
騎馬隊、木っ端微塵にしてっから。

でもね。
先見の明を持ってたのは、信長だけではねえのよ。

そう。

私の父、浩二。

岸田家の信長と言っても、過言ではない。

信長は兵に、火縄銃を与えた。
父は私に、火縄銃に匹敵するブツ

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早稲田大学で、ズンドコベロンチョの話をしなくて済んだ

早稲田大学で、ズンドコベロンチョの話をしなくて済んだ

会社から頼まれ、早稲田大学の大隈塾で、講義をする機会をもらった。

大隈塾ってなんぞやと思って夜にインターネッツで調べたら、過去の講師に、田原総一朗さん、石破茂さん、堀江貴文さんなどの名前が並んでいて、すぐに閉じた。すぐに閉じて、ブックマークの一番上にあった、フジテレビオンデマンドを開いた。世にも奇妙な物語が面白かった。

与えられた時間は、180分。

180分って……。

90分程度であれば、

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平成最後の年に成人する娘が、親にしてもらえてよかったと思っていること

平成最後の年に成人する娘が、親にしてもらえてよかったと思っていること

私は、平成11年、西暦1999年に山梨県で生まれました。

自営業を営む両親に妹とともに育てられ、平成最後の今年度、成人します。

ここまで20年間育てられてられる側だった私は、まだ子育てをしたことがありません。

しかし周りを見渡せば、子供の将来を考えて一生懸命子育てをしている家庭が、たくさんあると思います。

私の両親も、小さい頃から運動に勉強にと、私の将来を考えていろいろなことをしてくれまし

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女性は、何かを手に入れるために何かを諦めなくてはいけないのだろうか

女性は、何かを手に入れるために何かを諦めなくてはいけないのだろうか

甘糟 りり子さんの「産まなくても、産めなくても」の解説を書かせていただきました。

解説
はあちゅう

「人生は、若くない女にどこまで意地悪なんだろう」
 本文中(第三話「ターコイズ」)に出てくるこの言葉が、読後もトゲのように胸に刺さっていた。この短編集は、卵子凍結や男性不妊など妊娠、出産にまつわるテーマを扱った七作品から成り立っている。

 驚いたのは、体験していないことがまるで全て自分の身に

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もう、キレイはたくさんだ。

もう、キレイはたくさんだ。

あなたは道を歩いていて、見知らぬ人に「ブス」「デブ」と、笑われたことがあるだろうか。
お土産のお菓子を「キモイ」と、蹴飛ばされ捨てられたことがあるだろうか。
陰で侮辱的なあだ名を付けられたことがあるだろうか。

私はある。
それも一度や二度ではない。
学生時代の話だけではない。

私は物心がつくと同時に、自分の容姿が悪いのだと気付いた。
丸顔の大顔で目つきが悪く鼻は低

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弟が万引きを疑われ、そして母は赤べこになった

弟が万引きを疑われ、そして母は赤べこになった

高校から帰ったら、母が大騒ぎしていた。
なんだなんだ、一体どうした。

「良太が万引きしたかも」

良太とは、私の3歳下の弟だ。

生まれつき、ダウン症という病気で、知的障害がある。
大人になった今も、良太の知能レベルは2歳児と同じだ。

ヒトの細胞の染色体が一本多いと、ダウン症になるらしい。
一本得してるはずなのに、不思議ね。

「良太が万引き?あるわけないやろ」

ヒヤリハットを、そういう帽子

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車いすの母とミャンマーに行ったら、異国の王様だと思われた

車いすの母とミャンマーに行ったら、異国の王様だと思われた

2016年11月。
土埃と魚醤の匂いがするミャンマーの市場で。
私は立ち尽くしていた。

車いすに乗る母の背後には、何人ものちびっ子托鉢僧たちが、連なっていた。
逃げようとすれば、ついてきて。
そしていつの間にか、増えていて。

君たちは、あれか。ピクミンか。

母・ひろ実は困り果てた顔で「どうしよう」と、私に助けを求めた。
私は、見て見ぬフリをした。

私という人間は、理解できない状況に遭遇した

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家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった

家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった

私が住んでいる東京という大都会に、母と弟が来た。
ひろ実と良太が来たとも言う。

母からのリークによると、新幹線の中で、弟は何度も「奈美ちゃんは?奈美ちゃんは?」と、母に聞いていたそうだ。

なるほど、なるほど。
それはそれは猛烈な歓迎を受けるに違いないと、相応の準備をしていたら。

弟に真顔で「よう」と言われた。
ちょっとちょっと。話が違うじゃないか。

弟心は、秋の空ほど移り変わる。

さて、

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一時間かけてブラジャーを試着したら、黄泉の国から戦士たちが戻ってきた

一時間かけてブラジャーを試着したら、黄泉の国から戦士たちが戻ってきた

※下着のお話なので、苦手な方はご注意ください。

わりと、こだわりの強いタイプです。
でも、これだけは決めているんです。

「モテている女」のアドバイスにだけは、一切のプライドをかなぐり捨て、従うことを。

東にパーソナルトレーニングジムがあると聞けば、私財を投じて馳せ参じ。
西に3kg痩せ見えパンツがあると聞けば、半月間もやしをすすることになろうと手に入れる。

情報に振り回されすぎて、5日間絶

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言葉と思考、言葉と感覚(「言語学の教室」) | きのう、なに読んだ?

言葉と思考、言葉と感覚(「言語学の教室」) | きのう、なに読んだ?

「認知言語学とか、どう?」

数ヶ月前の同窓会で会った先輩に、言われた。私が仕事を辞めて数ヶ月、もうしばらくぶらぶらしようと思っていた時期だ。「大学院とか行かないの?」と先輩にきかれ、いやー、特に追求したいテーマもないので、と答えたら、「認知言語学とか、どう?」と言われたのだ。

なんすか、それ?
「人間の感じ方と言語の関係とかを研究するんだよ。シノダさん、そういうの好きでしょ。」

はい、好きで

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容姿が誰かの好みじゃないと終わりな世界の終わり

容姿が誰かの好みじゃないと終わりな世界の終わり

私に似ていると言われて複雑な思いにある人を「二重に整形してずっと小顔に整形したら似ているかも(つまりあまり似てない)」という言葉で慰める人を見た

誰も悪くないけれど、私が傷ついた
ただ、私は似てないと思うだけでいいのに
結局、話した結果、気持ちの良い人で言葉選びを間違えていたと謝ってくれたから今気にしてはいない

なんなら一番悪いのは私に似てると言って奴だと思った
でも、これも難しい
その人が本

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小泉進次郎さんの育休取得と、私の中の固定概念

小泉進次郎さんの育休取得と、私の中の固定概念

小泉進次郎さんがお父さんになり育児休暇を取ると決めた、というニュースがテレビやネットで取り上げられている。賛否両論、かなり賑やかなようだ。

私は、現職大臣が何はともあれ「2週間取得」することを、良い前進だと喜んでいる。理由をいくつか書いておこう。

まず、UNICEFの調査によると、日本の男性の育休制度は、世界でも最も手厚い。にも関わらず、男性の育休取得率は、2018年度は6.16%で、先進国の

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内発的動機はどこから生まれるのか? (篠田真貴子さんインタビュー)

内発的動機はどこから生まれるのか? (篠田真貴子さんインタビュー)

2018年11月に取締役CFOを10年務めた「ほぼ日」を退任した篠田真貴子さん。現在は次の予定を決めず、余白の時間を大切にしながら、様々な人との対話を楽しむ毎日を過ごされています。過去には様々な規模・業種の企業を経験された篠田さんに、日本の組織と働く個人が直面している課題と、これから見込まれる変化について伺いました。
(聞き手:下田理・なかむらアサミ、執筆:やつづか えり、写真:上村悠也、カバー写

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