マガジンのカバー画像

映画感想ブログ「とまどいと偏見」

49
2018年に劇場で観た映画の感想です。
運営しているクリエイター

記事一覧

【PODCAST】映画雑談 その65前編 「今どきの女の子は…なんて雑なカテゴライズは許さない!殺す!『グリーンバレット』」

【PODCAST】映画雑談 その65前編 「今どきの女の子は…なんて雑なカテゴライズは許さない!殺す!『グリーンバレット』」

『映画雑談』です。今回取り上げるのは、『ベイビー・わるきゅーれ』、『ある用務員』などの阪元祐悟監督の最新作『最強殺し屋伝説国岡』のスピンオフ作品『グリーン・バレット』です。今、日本で生きる若者のリアルな心情を描かせたら最強なんじゃないかという坂元監督が6人のミスマガ受賞者の女の子を殺し屋に仕立て上げるモキュメンタリーです。相変わらず裏切らない面白さです。まずは前編。

※『映画/雑談』では今年も皆

もっとみる
ア・ゴースト・ストーリー

ア・ゴースト・ストーリー

"不慮の事故で亡くなった夫が幽霊となり残された妻を見守る。"なんてベタそうな話どうやって面白くするんだろうって思ってたんです。そしたら、想像してた道筋から大きく逸れて、アクロバティックな経路である人生(というか人にあって人に非ずなんですけど。)が描かれて、それでも用意されたゴールによりとても普遍的(ある意味ベタ)な結末に行き着くという。ベタさと斬新さとか、マンガっぽさとリアルさとか、ホラーとラブ・

もっとみる
ハード・コア

ハード・コア

社会の底辺ではみ出しながら生きる人達をずっと描いて来た狩撫麻礼さんの原作を、そこで生きる人達の哀しさとかかわいさとかバカさ加減を絵一発で(キャッチーに)見せる事が出来る漫画家いましろたかしさんが描いた「ハード・コア」。僕は2000年に上下巻でエンターブレインから出た版を買って読んだんですが、両先生の漫画をそれまでいくつか読んでいた印象から比べると、その軽さというかゆるさに魅力を感じてたんじゃないか

もっとみる
「来る」

「来る」

ホラー映画に対しての"怖い"か"怖くない"か論。この映画も「ホラーなのに怖くない。」という声が多いんですが、そういえば、そもそも、僕がホラー映画を観る条件に"怖い"かどうかはあんまり関係なかったなということに気付きました。「告白」、「渇き」の中島哲也監督による(正しく)ホラー映画「来る」の感想です。

個人的にホラーは大好きで数もそれなりに観てるんですが、好きだと思うホラー映画の要素の中に必ずしも

もっとみる
斬、

斬、

2016年の「シン・ゴジラ」、去年の「沈黙-サイレンス-」と役者として観ていた(更に今年は朝ドラにも出てましたね。)のであんまり久しぶりな感じがしてなかったんですが、監督作としては2015年の「野火」以来ということで。「野火」のメッセージ性を踏まえながらも、「野火」以前の塚本節も感じさせる小品といった感じの塚本晋也監督初の時代劇「斬、」の感想です。

えー、塚本映画の特徴として、"人が人じゃなくな

もっとみる
ヘレディタリー 継承

ヘレディタリー 継承

ネタバレが出来ないので感覚の話をしようと思うんですが、えー、なんだろうなぁ、これ。えーと、怖い怖いと言われてますが、怖さにもいろいろありますよね。で、この映画は間違いなく怖いんですけど、その、よく言われているいわゆる「怖い」というのとはちょっと違うところの怖さ(いや、本来の意味ではこうゆうのこそを「怖い」って言うんだと思うんですけど。)なんじゃないかなと思うんですね。ただ、哲学的な意味での、よく考

もっとみる
ボヘミアン・ラプソディ

ボヘミアン・ラプソディ

今朝起きてテレビをつけたらワイドショーでQUEENの特集していて、この映画をきっかけにした第何次目かのブームの到来を感じました。ボーカリスト、フレディ・マーキュリーの人生を中心に、'85年のライブ・エイド出演までを描いた音楽青春映画「ボヘミアン・ラプソディ」の感想です。

僕がQUEENを初めて知ったのは、ちょうどQUEEN第1期の節目くらいで、デヴィッド・ボウイとのコラボ曲の「アンダー・プレッシ

もっとみる
生きてるだけで、愛。

生きてるだけで、愛。

あー、と。この映画の感想で「泣けた。」って人が割と多くて、ちょっとビックリしたというか、「ああ、そうなんだ。」と思ったんですが、あの、個人的には、描かれているものが壮絶過ぎて泣くことも(こんなヌルい体験で共感と言っていいのか?って意味で)共感することも出来ませんでした!本谷有希子さん原作の小説を映画化した「生きてるだけで、愛。」の感想です。

もともと本谷有希子さんの小説は好きで何冊か読んでいて、

もっとみる
ヴェノム

ヴェノム

“これを書いている2018年11月12日、この人がいなければアベンジャーズもMCUもマーベルも、というか今のアメコミ・ヒーロー物のこの流れはなかったという。スパイダーマンを始め数々のマーベル・コミックの生みの親であるスタン・リー氏が亡くなられました。95歳。2000年の「X-MEN」以降マーベル映画には必ずカメオ出演していた氏ですが、もう、映画の中に姿を探すことが出来なくなると思うと寂しいですね。

もっとみる
デス・ウィッシュ

デス・ウィッシュ

「ホステル」シリーズ、「キャビン・フィーバー」、「グリーン・インフェルノ」、「ノック・ノック」と個人的に、今、一番追ってる監督、イーライ・ロスの最新作(ほぼ同時期に公開された「ルイスと不思議な時計」はまだ観れてないのですが、これまで、エグさとグロさとそれを笑い飛ばすユーモアで売って来たイーライ・ロスのファンタジー作品ということで、なんとか劇場公開中に観たいと思ってます。)で、1974年に公開された

もっとみる
アンダー・ザ・シルバーレイク

アンダー・ザ・シルバーレイク

(今回の感想、ストーリーに準ずることも書いてますが、その90%くらいは僕の妄想なので、基本的にネタバレにはなってないと思います。)映画関係者などのセレブが住む街ロサンゼルスのシルバーレイク。その土地で半ば夢破れている青年サムの自堕落な生活を、都市伝説を巡るミステリーとして構築した「アンダー・ザ・シルバーレイク」という、まあ、なんというか意味不明な映画の感想です。

今作の監督、デヴィッド・ロバート

もっとみる
イコライザー2

イコライザー2

ロバート・マッコールさん(ホームセンターで働くおじさん)にまた会えるのを楽しみにしていました。地味ながら渋い裏ヒーロー物の傑作だった「イコライザー」の続編、「イコライザー2」の感想です。

デンゼル・ワシントンが演じるロバート・マッコールさんというキャラクター、昼間はホームセンターで働き、深夜、毎晩同じダイナーに行って本を読み、きちんと片付けられた部屋でひとり暮らしをしている老紳士。知的でクールな

もっとみる
クワイエット・プレイス

クワイエット・プレイス

はい、賛否両論あるらしいですが、そりゃそうだろうというか、そもそもホラー映画というのは実際にはありえないシチュエーションを無理くり作っているので、そこに納得いかない設定が出て来るのは当然と言えば当然。僕は、それを気にさせないだけのエモーションがあればいいと思っているんですが、今作品の場合、気になるところはめちゃくちゃあったが、そういうとこも肯定的に見たくなるくらいには好きにさせてくれる要素も多いに

もっとみる
プーと大人になった僕

プーと大人になった僕

まー、とにかくひたすらプーたちがかわいい。ディズニーのアニメにならって声はちゃんとおっさんがやってますがそれでもひたすらにかわいい。映画冒頭は"大人になった僕"の話ではなく、原作小説の最終章最後のエピソードなんですけど、恐らく「くまのプーさん」を全く観たことがないという人でもこのかわいさにはやられるんじゃないでしょうか。それが何なのかというと、オツムの小さなかわいさ、欲求に忠実なかわいさ、ワガママ

もっとみる