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スキした作品

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色々読んでスキをしていく中で素敵な作品が埋もれていくのでまとめました/不定期更新
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記事一覧

じぶんまでばくぜんとして冬霧よ

じぶんまでばくぜんとして冬霧よ

季語:ふゆぎり( 三冬 ) 現代俳句
ばくぜん=漠然

冬霧は、冬にかかる霧のこと

気温が極端に下って、河や湖などの
水の温度が高いときに発生しやすいそうです

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息が

息が

過去の自分に嫉妬して
未来の自分を期待している
訪れなかった明日が
他愛もない昨日だと気付けずに

愛情の穴を愛情で埋めても
穴は広がるばかりで
蕩けていく脳内は
とてもおバカさんみたいだ

結局、寂しさから逃れられないと
知っていても
耐えられない

ここではないどこかへ
なんて
ずっとずっと逃げ続けても
逃げ切れないのは
その悪魔は僕自身だからではないのか

【詩】 魔法の言葉

【詩】 魔法の言葉

「待ってね」って言われるとうれしかった。
君を待つ時間が好きだったから。

いつも単純な言葉の中にいた。
君がくれる写真や文章や歌が、「今」の君であることがうれしかった。
君の中身だと考えるとうれしかった。
それをくれることが本当にうれしかった。

君を待つ間に、私は小説を書いたり、読んだりした。
好きな歌を聴いていることもあった。

いろんな無駄話を、いつまでもしたい。
君の言葉が、声が、いちば

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自分が自分じゃないみたいな感覚で。

今日は昼前には起きたような気がする。もう少しだけ、と布団にこもっていたら昼過ぎになったからそろそろ外に出るために起きた。

外を見ると曇っていて、天気予報によると時々雨だった。降るなら一気に降って欲しい。小雨を繰り返すから買い物へ行くタイミングが掴めない。

長縄に入れない子供みたいな気持ちになった。社会はぐるぐる回っていて、いつまで経っても入れない自分が見えた。子供の頃は上手く入っていけたのにな

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好きに勿論さ《詩》

好きに勿論さ《詩》

蠢く獣 澱んだ空の日を選ぶ
動けば最後 息を潜めて
微かな変化を見破られないように
徘徊するな狙われるぞ
言うことを聞かない体になっている
鼓動がしたのは君のワードにだけ
魂ごと持っていかれそう
鼓動がしたのは君のハートにだけ
ああ もう手遅れ
今ここで
好きにして好きにして好きにして
こだまするトンネル内
勿論さ勿論さ勿論さ
響く音に酔いしれるが幻聴
欲を言えば言葉を被せて
好きに勿論さ

冠雪か目ほそめて見るいしづち山

冠雪か目ほそめて見るいしづち山

季語:ゆき( 晩冬 ) 現代俳句
冠雪=かんせつ

雪は、冬に降ってくる白い氷の結晶のこと

西日本最高峰の石鎚山の初冠雪、
今年は10月末ごろだったそうです

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虫のこえだんだんうたに星の夜よ

虫のこえだんだんうたに星の夜よ

季語:虫の声( 三秋 ) 現代俳句

虫のこえは、秋に鳴く虫のこえのこと

たくさんの虫のこえ、
だんだんうたごえに聞こえてくる夜もあります

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4 9 5爆発《詩》

4 9 5爆発《詩》

400に…
90を足して…
5を乗せたら…

500円玉を取り出す
残りの5は何
それは余白

私はそっと箱に夢を詰め込む

やがてエネルギーが膨張し



爆発で超新星誕生

太陽は燃えているように見えるが
燃えていない
そして私も燃えていない
じゃあ何

ただあなたの影を愛しているだけ、495爆発

【詩】ここで

【詩】ここで

みんな明るすぎる虹を持って
生きてるわけじゃない

そこにいてはいけない訳じゃない
ただどうしようもなく
居心地が悪いけどそこにいる

流れつくのは
辿り着くのは
同じ思いをしてる人が居る
そんな場所

傷を舐めあうわけじゃない
ただ同じ空気を感じる
背中に言えない何かがある

そんなこと聞かなくても
笑い話で零れてくる
それが笑い話じゃなくても

想像して欲しい

ここが居場所

気が合う者が集

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詩人なら

詩人なら

詩人なら好きと言わずに堕とし込む

一刺し
棘の後の甘美な言葉

二刺し
ご褒美後の不埒の時間

三刺し
不毛な恋の爪痕を仕留める
確実に誠実に

そんな事も出来ない詩はなんて退屈な詩なの

嗚呼 退屈

【詩のようなもの】ハロウィーン

【詩のようなもの】ハロウィーン

駅から家までの間
寒暖差に耐えきれず
疲れきって歩く

ただでさえ暗い道
雑木林の横を通りすぎると
怖ささえおぼえる

足早に暗い中を
通りすぎようとすると
奇妙な音が林の中から
聞こえた

くわぁーくわぁーと子供の声のような
何かを呼ぶ声でもあり

恐ろし過ぎるその状態は
背筋を凍りつかせた
止まるも地獄
歩くも地獄

ゆっくりと一歩一歩進む
気のせいだ
きっと気のせいだ

よくよく耳を近づける

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賽の河原 【幻想詩】

賽の河原 【幻想詩】

僕のからだは
いつのまにか薄い布になって
ふわふわただよっていた

空から見ると
灰色の荒野の中を
一筋の川が流れている
銀色の砂利が光っていて
鉱物の擦れ合う音が響いていた

川のほとりの風は
灰色の土を巻き上げた
丸い透明なものが
あちらこちらに浮いている
風に吹かれるままに
散ったり 集まったり

その 透明な
しゃぼん玉のなかに
坊さまが棲んでいた
しゃぼん玉のなかで
坊さまの弾く琵琶は

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【詩】楽園

【詩】楽園

アラベスクの流麗に見とれて 冷たい彩色タイルに凭れると 微熱がひいて 中に吸い込まれていく

アラベスクの中には 空も水も 空気も花もある 食むための唐草も 読むための書もある 青の壮麗の中で 時間を忘れて過ごしていると もう外には戻れない 人を描くことを 禁じられたアラベスクには 人が抜け出す出口がない 香り立つ文様に酔うように 旋回して舞い始めたら 目が回り 視界がターコイズ色になって 私はタ

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【詩】線路わき

【詩】線路わき

冬の風は体を氷に変える
マフラーを何重にも巻いて
黄昏を見ながら
家路へと向かう

線路脇の小径
明と暗の繰り返し
感じながら
ゆっくりと歩を進める

人混みに慣れた
空気にも慣れた
町には帰りそうにない

星はどこから見ても
同じじゃない
街で鈍く光る星は
いつも靄がかかっている

八百屋の店先の野菜は
いつも大きさがバラバラだった
スーパーの野菜はきれいに
整えられている

気が付けば整えられ

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