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郷酒 厨房 日記

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東京九段下/神保町にある小さな居酒屋『郷土料理と日本酒のお店 郷酒』 食べること飲むこと大好き!な料理人でもある女将が、季節の食材のストーリーと、こだわりのお酒、旬のおつまみレシ… もっと読む
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#エッセイ

【365日の魚介レシピ】Ca va bien.merci !〜秋サバの味噌煮〜『鯖、威張る』

【365日の魚介レシピ】Ca va bien.merci !〜秋サバの味噌煮〜『鯖、威張る』

今日も元気だ!ご飯が美味しい!

新米の季節ですね。郷酒にもうちの弟が作ったひとめぼれの新米が届いてます。(お米の中の緑のお米、それは未熟なお米ではないそうです。緑米がちょっとあるほうが香り良く炊き上がるのだとか。絶妙なタイミングで刈られたから、だそう。一方、黒いのは、カメ(コメムシ)なので、良くないです。)

焼き魚や野菜、納豆などとともに食べる白いご飯の定食は最高です!!

お米の美味しい国に

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【365日の魚介レシピ】〜鮭の味噌ガーリックバター焼き〜カムイ・チェプ(神の魚)をありがたく食べる

【365日の魚介レシピ】〜鮭の味噌ガーリックバター焼き〜カムイ・チェプ(神の魚)をありがたく食べる

先日の郷酒ランチは秋鮭の味噌バター焼きでした。

いくらも使いたかったので、岩手産のメスの秋鮭を仕入れました。

地元では今の時期、北上川などで鮭の遡上が見られます。遊具も公園もなく、ボーッと川を眺めるくらいしかやることないな〜という帰り道も、いま思えば豊かな時間でした。

さて、秋鮭は脂がさっぱりしていて、塩焼きやフライにすると淡白になりがちです。なので、ちゃんちゃん焼き風の味噌バター焼きにしま

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いつの間にか高級品になってしまった魚たち〜おまけレシピはサンマ〜

いつの間にか高級品になってしまった魚たち〜おまけレシピはサンマ〜

写真はある日のランチ定食。銀ダラの照り焼き鬼おろしと春菊のおひたしを添えて。ご飯が進むように、自家製の照り焼きダレで丁寧に焼く。

銀だらはスーパーで西京漬なんかになっているのをみると、小さいの一切れ680円とか良いやつだと1000円とかして目玉飛び出ちゃう。

いつのまにかどんどん値段の上がる魚たち。

でも、決してぼったくりとか、漁師さんがめっちゃ稼いでるわけではなく、漁獲量の大幅な減少とか貝

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【酒肴レシピ】するめいかの肝バター焼き&ホヤアヒージョ

【酒肴レシピ】するめいかの肝バター焼き&ホヤアヒージョ

ある日のメニューより。ワタまで立派なするめいかを入手したので、胴体はお刺身、塩辛にして、ゲソとエンペラは肝バター焼きに仕立てました。

☆するめいか肝バター焼きの作り方☆①するめいかの肝は周りについている内臓などをとり、薄皮のみにして、塩をまぶして半日から一晩置く。炒めるまえに、さっと酒で洗う。

②するめいかのエンペラとゲソは食べやすく細切りにする。ニンニクのみじん切り、長ネギは笹打ち切り、大葉

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美味しいのシチュエーション

美味しいのシチュエーション

【和風わさび冷麺始めました。】

いやぁ、暑いですね。マスクしながら味見しようとしたり、焼き台に炎が上がった時にマスク越しに吹いて消そうとしてしまったり、洗い場で汗だくになったり、ヤレヤレな日々が続いている。

依然として変わらない社会の不穏な空気、豪雨被害には胸が痛むし、梅雨の低気圧による体調不良、考え感じ過ぎてすっかりくたびれてしまった。

つい一年前、いやわずか半年前の雰囲気が遠い昔のよう。

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たかが、されど

たかが、されど

料理は煮る、揚げる、焼く、混ぜるなどの化学反応の積み重ねとともに、切るだけ、焼くだけなどシンプルな調理でも成り立っている。

刺身は切り方一つで味わいがだいぶ変わる。鮮度などや味付けを何にするかも、もちろんあるけど。美味しい切り方、厚さなどは追求したら果てしなく奥が深く、正解なんてなく、常に問われている。割烹と寿司屋と魚屋でも、切り方、扱い方の基本、常識が全然違う。だから、刺身切るだけと言えどもと

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雲の上はいつも晴れ。

雲の上はいつも晴れ。

故郷の駅に新幹線から降り立つと、ピーンと寒い冬の空気に包まれた。

外に出ると、手が届きそうな満天の星空と雪景色。

そうそう、これこれ。この美しい風景を待っていた。そして、そんな景色を心に持てるというのはなんて幸せなことだろう。

どんよりと曇って見える空の上はいつも晴れている、という。困難を乗り越えた先にきっと見える素晴らしい景色があると信じたい。

昼には今年一年頑張ったご褒美に鰻をいただい

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最低にして最高の道

最低にして最高の道

昨夜は愛読している【東北食べる通信】さんの貸し切りご宴会でした✨

岩手県釜石市の佐々木洋裕さんの鮮魚、二戸市久慈ファームさんの佐助豚、山形県真室川町の高橋伸一さんの伝承野菜、鶴岡市の五十嵐大輔さんの庄内柿、福島県西会津町の高久さんの椎茸、秋田県大仙市の田口康平さんの沼山大根などなど、
東北全域から、生産者さんが真心込めて育てた、荒れる冬の海で獲ってきた食財を使わせていただき、料理を仕立てました。

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さよならだけが人生ならば

さよならだけが人生ならば

悪い予感が当たってしまった。

noteを始めて少し経ち、とりあえずのんびり継続して書いてみようと思っていた矢先、一緒に働いてきた料理人が辞めることになって、メニューやオペレーションの練り直しに追われることとなり、呑気に構えていられなくなった。

うすうす、そんな気がしていたけど。

幸い、替わりに入ってくれる子が見つかり、一安心。私一人じゃ何も出来ないから。

人の入れ替わりの多い仕事だ。出逢い

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おばあちゃんの手 〜山菜の話〜

おばあちゃんの手 〜山菜の話〜

山菜の季節なので、張り切って山菜を故郷から取り寄せてはせっせと料理している。

山菜は、買うと結構いい値段するけど、田舎ではそこら辺に生えているご馳走だ。旬の時期に小一時間も沢や山、林の中を歩くとカゴ何個分も取れたりする。

さらには、各地区に山菜採り名人がいて、いただくことも結構ある。もらってばかりでは悪いので、代わりに畑でとれた野菜や、これもいただきものなんだけどの食べもの、沢山作った郷土菓子

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結局は好きこそものの上手なれ、だ。〜美味しがりの効果〜

結局は好きこそものの上手なれ、だ。〜美味しがりの効果〜

今年も就活の時期が来た。4年生の子は早々と内定が決まり、一安心。3年生の子はインターンが始まるので、何がしたいのか、どういう働き方がしたいのかなど大いに悩んでいる。

そうだよね、迷うよね、わからないよね。

郷酒のアルバイトちゃん達は大学生が多いので、毎年、卒業と共に送り出すことになる。長く続けてくれるのはありがたいけど、毎年恒例のお別れはちょっと寂しい。そして、おかげ様で毎年初心を思い出させて

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