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【小説】「天国のこえ」6章・駅ビルの占い(2)
「お疲れ様っしたー!」
「はい、お疲れ様です…」
時刻は十八時になるところだった。
定時から、三十分はオーバーしている。
それでも、今日は配送業者さんは早く来てくれた方だった。
「疲れた…」
私は配送業者の若い男性が去ったあと、ため息をついた。
荷物がごっそりなくなり、社内メール室自体が軽くなったような錯覚を覚える。
私は、ぐるりと歩き回り、指差し確認を行った。
「ここは、
【小説】「天国のこえ」5章・うつ病(1)
「あのおー…今日って空気薄くないですか」
ほぼ他人のパソコンのタイピング音しか聞こえないようなオフィスで、おずおずと私は真向かいの同僚に尋ねた。
「え?」
同僚のマナは目を丸くし、私の方を向いた。
「息苦しくないですか…?」
そっとオフィスに響かないように私はささやき声をあげた。
「いや…あ?そんなことないけどねえ?どうしたの、木村ちゃん」
「えっと…」
私が言い淀むと、マナは私