野良のハナ

無計画に日本を出て十年、欧州4カ国で生息、スペインの島に漂着。集団や組織になじめずノラ…

野良のハナ

無計画に日本を出て十年、欧州4カ国で生息、スペインの島に漂着。集団や組織になじめずノラ犬のように生き、犬のケツばかり追っている人。強烈な認知の歪みの泥水の中ほふく前進中。要点を端的に話すことが壊滅的で、路上で全所持品を広げて裸で勝手に蚤の市状態の会話力で、人様を困らせています。

記事一覧

日本人だから知ってるでしょ?偉大なる二次元の力

なんでもない無名のアジア人が、時に日本代表の存在になることがあります。海外で生きていますと、初対面の人が、私が日本人だとわかると、自分が持っている日本関連ネタを…

野良のハナ
20時間前
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最も重要な法律 〜由々しき言い間違い〜

間違うことで人は学ぶ、恥をかくことを恐れるな、と言われますよね。 私は外国語の読み書きはなんとなくできるけど喋れない、という典型的な日本人です。かつ、そもそも母…

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ツヤ髪のナスと粋なサハラのお兄さん

レストランは料理がおいしくても、ウエイターさんが残念だと、割り切れない気持ちになります。口に入れて舌で感じる風味と取り込む栄養分は変わらないのだから、素晴らしい…

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ポメさんの人生と平行線が交わる点

最近は、ワイヤレスのイヤフォンを耳につけたまま通話をしている人が珍しくありませんから、そばで誰かが1人で喋っていても、まあ誰かと通話中かな、くらいに思って、あま…

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世界はもっと適当で融通がきく

私はとっさの機転とか、不測の事態にパッと対応するということが不得手な人間でして、もし私がアクション映画の主人公だったら、最初の爆発とかアクシデントですぐに死んで…

野良のハナ
12日前
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アーティスト桃太郎と仲間たち、カエルの背中革命

アーティストという人たちと話をすると、世間の常識や一般的な安定とかけ離れた生活をしていて、いろんな生き方があるのだな、と興味深くききます。 世の中には、どうやっ…

野良のハナ
2週間前
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日本人だから知ってるでしょ?あの街って今大丈夫なの

たびたび、日本について聞かれて、なんて言ったらいいのだろうと、私は考えてしまうことがあります。 外国の方が投げてくる日本に関する質問ボールは、通常ぼんやり生きて…

野良のハナ
2週間前
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壁の脱腸と気にしすぎのポリス

最近、私が住んでいるアパートの階下の部屋に、エアコンの取り付け工事をするため業者がやってきました。階下の住人は、工事に立ち会いません。 なぜなら、彼らはイギリス…

野良のハナ
2週間前
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チップどろんこ相撲

日本には飲食店でチップ文化がないので、アメリカみたいに最低15とか20%はチップをあげないといけないというプレッシャーにおののく必要がないですから、利用者としては気…

野良のハナ
3週間前
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犬撫でアジア人のトゥルーマン・ショー

知らない人から、「前に会ったことがある」と言われるのは、ひやっとするものです。自分にとっては見覚えがない人なのに、相手は自分を知っている、とても奇妙なミステリー…

野良のハナ
3週間前
17

アーティストという人:汗ばむ陽気の日に、クールにジャケットを着続ける画家

私はあまり自分を信じることができない人間なので、アーティストという人たちに会うと、自分を信じていてすごいなと、いつも感服してしまいます。 安定や低リスクを求める…

野良のハナ
4週間前
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船長と妄想の羊追い

近所のカフェのマスター(船長)は、山奥に住む仙人のごとく静かに、テラスの定位置でパソコンを見ながらコカコーラを飲んでいます。定位置は端っこなのですが、入口が見わ…

野良のハナ
1か月前
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花粉症のない島のある春の出来事

花粉症の人にとって春は、鼻が玉ねぎの薄皮のようにむけ、目も耳も喉の奥も全ての顔の穴がかゆく、唐突に湧き出した井戸のような鼻水に睡眠を遮られ、もはや何が原因で体調…

野良のハナ
1か月前
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不思議なものを見る日

不思議なものを見る日、というのが時々あります。妖精や幽霊が見えるとかそういうことではないのですが、私が不思議だなと思うことは、みんなは不思議に思っていないなら、…

野良のハナ
1か月前
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バベルの塔的アイスカフェラテの乱

バベルの塔の神話をご存知でしょうか。そんなの常識だと言われればそれまでなのですが、犬サイズの脳しか持たない私は、割と大人になって知り、その解釈までは理解していな…

野良のハナ
1か月前
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日本人だから知ってるでしょ?聖地巡礼、お隣の国

初対面の人と立ち話というのは、俊敏性と柔軟性が求められ、私にとって非常にハードルの高い種目です。知らない人同士のちょっとした会話は、軽く当たり障りなくお互いに共…

野良のハナ
1か月前
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日本人だから知ってるでしょ?偉大なる二次元の力

日本人だから知ってるでしょ?偉大なる二次元の力

なんでもない無名のアジア人が、時に日本代表の存在になることがあります。海外で生きていますと、初対面の人が、私が日本人だとわかると、自分が持っている日本関連ネタを、「日本人なら知ってるでしょ」と豪速球で投げてきます。

私はぼんやり生きており、何にも詳しくない人間でして、その日本関連ネタに反応する筋肉を持ち合わせていません。そのため、豪速球を受け損ない、だいたい小指を折ったり鼻血を出したりするのが常

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最も重要な法律 〜由々しき言い間違い〜

最も重要な法律 〜由々しき言い間違い〜

間違うことで人は学ぶ、恥をかくことを恐れるな、と言われますよね。

私は外国語の読み書きはなんとなくできるけど喋れない、という典型的な日本人です。かつ、そもそも母国語でも喋るのがあまり得意でもなく、お世辞にも会話が上手な人間ではありません。

ただ外へふらふら1人で出かけるのは苦ではないので、バーやカフェの隅っこで黙ってビールを飲むという行為をよくしていました。

私が出かけるのは、客がいなくて、

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ツヤ髪のナスと粋なサハラのお兄さん

ツヤ髪のナスと粋なサハラのお兄さん

レストランは料理がおいしくても、ウエイターさんが残念だと、割り切れない気持ちになります。口に入れて舌で感じる風味と取り込む栄養分は変わらないのだから、素晴らしい料理が味わえるならウエイターは関係ないじゃないか、とはならず、やはり自分は感情的な生き物なので、全体的な体験として記憶に残ってしまいます。

飲食店の店員さんには、心が氷点下になっているのかなという人もいれば、善意でがんばってるのだろうけど

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ポメさんの人生と平行線が交わる点

ポメさんの人生と平行線が交わる点

最近は、ワイヤレスのイヤフォンを耳につけたまま通話をしている人が珍しくありませんから、そばで誰かが1人で喋っていても、まあ誰かと通話中かな、くらいに思って、あまり気にとめませんが、以前であれば、あれ?独り言かな、それともイマジナリーフレンドと会話中かな?と、意識を向けたものです。

先日、おや?これは、独り言かと思ってたけど、もしかして私に話しかけている?となったことがありました。

ある晩、近所

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世界はもっと適当で融通がきく

世界はもっと適当で融通がきく

私はとっさの機転とか、不測の事態にパッと対応するということが不得手な人間でして、もし私がアクション映画の主人公だったら、最初の爆発とかアクシデントですぐに死んでしまうので、物語は10分くらいで終わってしまいます。そんな映画、つまらなすぎて、きっと観客が返金を求めてチケット売り場に殺到しますね。

世界というものは、もっとフレキシブルで、適当で、しなやかなのだと、私は最近になり学んでいます。

アジ

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アーティスト桃太郎と仲間たち、カエルの背中革命

アーティスト桃太郎と仲間たち、カエルの背中革命

アーティストという人たちと話をすると、世間の常識や一般的な安定とかけ離れた生活をしていて、いろんな生き方があるのだな、と興味深くききます。

世の中には、どうやって成り立っているのかよくわからない商売や、どうやってそこまで到達するのかよくわからない職業があると思います。スズメの交尾は見たことがなくても(見たことありますか?)、スズメの繁栄が成立しているように、プロセスがわからなくてもいろんなことが

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日本人だから知ってるでしょ?あの街って今大丈夫なの

日本人だから知ってるでしょ?あの街って今大丈夫なの

たびたび、日本について聞かれて、なんて言ったらいいのだろうと、私は考えてしまうことがあります。

外国の方が投げてくる日本に関する質問ボールは、通常ぼんやり生きていると予想しないような方向から飛んできたりするので、だいたいデッドボール。私は横腹で受け、拾い損ねて、あたふたと四つん這いで玉を追いかけます。

よくあるのは、出身地にまつわる小話についてです。

出会った人にどこ出身?と聞かれて、私は「

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壁の脱腸と気にしすぎのポリス

壁の脱腸と気にしすぎのポリス

最近、私が住んでいるアパートの階下の部屋に、エアコンの取り付け工事をするため業者がやってきました。階下の住人は、工事に立ち会いません。

なぜなら、彼らはイギリス人で、ここ(スペインの島)には年に2〜3度来る程度、普段は住んでいないからです。我々は賃貸で常時くらしていますが、彼らにとってはホリデーハウス、つまり別荘であり、年間の9割以上はただの無人の空間として鎮座しています。

エアコンの取り付け

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チップどろんこ相撲

チップどろんこ相撲

日本には飲食店でチップ文化がないので、アメリカみたいに最低15とか20%はチップをあげないといけないというプレッシャーにおののく必要がないですから、利用者としては気がラクだと思っています。

逆に、チップ文化の人たちからしたら、日本でとっても素敵なサービスをしてくれたウエイターさんに、チップをあげたくなっちゃう衝動は一体どう処理したらいいの、この満足感この感謝はどう表現したらいいの、となるのではと

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犬撫でアジア人のトゥルーマン・ショー

犬撫でアジア人のトゥルーマン・ショー

知らない人から、「前に会ったことがある」と言われるのは、ひやっとするものです。自分にとっては見覚えがない人なのに、相手は自分を知っている、とても奇妙なミステリー小説のような展開です。いつどこで、どんな場面で会ったのか、子どもの乳歯のように抜け落ち、記憶から失われています。

異国の地で生きていると、どうせ誰も私のことなんて知らないし、気にもとめてないし、と、後先考えずに行動することがあるのですが、

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アーティストという人:汗ばむ陽気の日に、クールにジャケットを着続ける画家

アーティストという人:汗ばむ陽気の日に、クールにジャケットを着続ける画家

私はあまり自分を信じることができない人間なので、アーティストという人たちに会うと、自分を信じていてすごいなと、いつも感服してしまいます。

安定や低リスクを求める場合、通常人々は企業など何かしらの集団に属して働くことを選択するのが一般的ですが、アーティストたちは、始めは生活していけるかわからないリスクをとって、自分が創造するアートを信じて活動しているのですよね。

当然ながら、「自分としては全然良

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船長と妄想の羊追い

船長と妄想の羊追い

近所のカフェのマスター(船長)は、山奥に住む仙人のごとく静かに、テラスの定位置でパソコンを見ながらコカコーラを飲んでいます。定位置は端っこなのですが、入口が見わたせるので、全ては彼のコントロール下にあります。客が来れば立ち上がりカウンターにゆっくり歩いていく。

カフェは、週7日営業、平日は朝から夜まで、週末や祝日は昼から夜までです。毎日開いていて、閉まってることがありません。船長はだいたい一人で

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花粉症のない島のある春の出来事

花粉症のない島のある春の出来事

花粉症の人にとって春は、鼻が玉ねぎの薄皮のようにむけ、目も耳も喉の奥も全ての顔の穴がかゆく、唐突に湧き出した井戸のような鼻水に睡眠を遮られ、もはや何が原因で体調が悪いのかわけのわからない季節です。

花粉症がない人を、私は心から羨ましく思います。花粉症がある人には心から苦しさに共感します。

鈍い頭痛を感じながら、私は思い出したのですが、以前に南欧の島国マルタに住んでいたときは、花粉症から完全に解

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不思議なものを見る日

不思議なものを見る日

不思議なものを見る日、というのが時々あります。妖精や幽霊が見えるとかそういうことではないのですが、私が不思議だなと思うことは、みんなは不思議に思っていないなら、それは普通のことであって、ちっとも不思議ではないのかな、という類のことです。

トートバッグ朝、近所の路地を歩いていると、向かいから、スーツを着た男性が歩いてきた。40代か50代かと思われるスラッとした細身の黒人男性で、革靴を履いて、頭の先

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バベルの塔的アイスカフェラテの乱

バベルの塔的アイスカフェラテの乱

バベルの塔の神話をご存知でしょうか。そんなの常識だと言われればそれまでなのですが、犬サイズの脳しか持たない私は、割と大人になって知り、その解釈までは理解していなかったものの、印象に残っていました。

旧約聖書に出てくるバベルの塔は、天にまで届くような塔を建ていた人間を見て、神が怒り、それまで一つだった人間の言語をバラバラにして、人間が互いに意志疎通できないようにした、と言われます。神話ですが、もし

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日本人だから知ってるでしょ?聖地巡礼、お隣の国

日本人だから知ってるでしょ?聖地巡礼、お隣の国

初対面の人と立ち話というのは、俊敏性と柔軟性が求められ、私にとって非常にハードルの高い種目です。知らない人同士のちょっとした会話は、軽く当たり障りなくお互いに共有しやすいトピック、かつ限られた時間で終わるコンパクトな話題が適切と認識しています。

私は言わない方がいいことを口走ってしまううえに、話が冗長な人間なので、社交の場面は母国語であってもあたふたします。

海外ではそれに加えて、私が日本人だ

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