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三十路、恥ずかしげもなく宝
人生ではじめて、朝ドラを観ている。
「おちょやん」
大阪に生まれたコメディエンヌの生涯を描いた、杉咲花さんがヒロインの連続テレビ小説だ。
先週(2/22〜2/26)放送分のメインテーマとなったのが、金にも女にもだらしなくどうしようもない父・テルヲのせいで幼いうちから奉公に出された主人公・千代と、離ればなれで育った弟・ヨシヲとの10数年ぶりの再会を描いた一幕だった。
野垂れ死にそうになりながら
コンパスで刻んだ呪いと誓いのアイノカケラ
その日の夕食はカレーで、食後には藍色の器にこんもりと盛られたイチゴが出てきた。
ひとつひとつ丁寧にヘタが取られたその赤い宝石は、じゅわっとみずみずしい春の味がした。
口いっぱいにそれをほおばりながら、「家庭訪問のお知らせ」を渡し忘れていることに気がついて二階の自室へと取りに向かう。
階段を三段昇ったところで、母の声がした。
「あんな、大事な話あるねん。」
ーーー来た、と思った。
「家庭
Gift / また乾杯しよう後書き
2年前のちょうど今頃。
息苦しい夏の終わり。しずかな秋の始まり。
わたしは、ウェディングプランナーを辞めた。
大きな理由は、体調不良によるものだった。
もうすこし正式に言うと、この時点で体調を崩してしまったのでプランナーの職を卒業して同じ会社の別部署に異動したのだが、その1年後に、今度は完全に身体を壊してしまった。
会社が悪かった訳ではない。
わたしが、自分の限界に気付けなかったのだ。
そして私はいつまでも、消えないキャンプファイヤーを眺めていた
あれは、10年前のちょうど今頃。
高校最後の体育祭が終わった。
私の通っていた高校は直線で80メートルしか引けないような狭いグラウンドの、運動にはあまり優れていない文化系の少し変わった高校だった。
だから体育祭は、全校を4つの応援団に分けた応援合戦が最大の見どころで、リレーも綱引きもまぁ一応は盛り上がるけれど、有志が行うフィナーレの応援団の全体ダンスにとにかく全力を懸けている、というスタンスのも