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大学改革

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#大学

大学のスタンスが見えてくる?実践女子学園のサイトからひもとく、周年記念サイトに込められたメッセージ

大学のスタンスが見えてくる?実践女子学園のサイトからひもとく、周年記念サイトに込められたメッセージ

50周年、100周年、125周年など、大学が大きな節目を迎えるときに、よく周年記念サイトが立ち上げられます。この周年記念サイト、のぞくとその大学が何を大切にしているかが伝わってくるので、大学を知るうえで実はすごく有効なツールだと思うんですね。今回、実践女子学園の創立125周年記念サイトを見て、あらためてそんなことを感じました。

「125th Anniversary for Future」を伝える

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卒業生こそが大学の財産!3同窓会組織の連携協定から、同窓会がつながることのポテンシャルを考える。

卒業生こそが大学の財産!3同窓会組織の連携協定から、同窓会がつながることのポテンシャルを考える。

大学の広報活動における入試広報とブランディング活動の違いは何か?と聞かれると、重なっているところの方が少ないのですが、でもあえて一つを挙げるとするなら、“勝たなくていい”ことのように思います。この視点で考えたとき、今回、見つけたプレスリリースの内容は、すごくポテンシャルが高いように感じました。

3つの同窓会組織による連携協定の締結

では、どんなプレスリリースなのかというと、学習院桜友会、成蹊学

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新型コロナ収束でリスタートした大学の国際交流。今だからこそ増やしたい、留学エバンジェリストたち

新型コロナ収束でリスタートした大学の国際交流。今だからこそ増やしたい、留学エバンジェリストたち

新型コロナがほぼ収束したことで、大学も以前のにぎわいを取り戻したように思います。今回、見つけた大阪学院大学のイベントは、そんなコロナの収束を感じさせつつも、今だからこそより力を入れるべき取り組みなのだと、あらためて感じました。

英語授業体験ができる、在学生向け留学フェア

では、どんな取り組みなのかというと、「Study Abroad Fair 2023」という在学生に向けて留学の魅力を伝えるイ

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愛校心の強化から創造へ。近畿大学の同窓会コミュニティ支援から考える、これからのホームカミングデイの役割

愛校心の強化から創造へ。近畿大学の同窓会コミュニティ支援から考える、これからのホームカミングデイの役割

大学の秋の風物詩といえば、やっぱり学園祭?いえいえ、それもありますが、もう一つあります。そうホームカミングデイです。卒業生たちが大学に訪れるこのイベント、なんで秋に多いんでしょうね。やっぱり気候がいいからでしょうか。今回、近畿大学のホームカミングデイを伝えるプレスリリースを見つけて、ここまでやるのかと驚いてしまいました。卒業生とのつながりづくりは、大学にとってやはり重要トピックなようです。

まる

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卒業生とのコミュニケーションを根本から変える!?追手門学院大学の「OIDAIアプリ」のポテンシャルを考える

卒業生とのコミュニケーションを根本から変える!?追手門学院大学の「OIDAIアプリ」のポテンシャルを考える

高校生、在学生、卒業生とどのようにコミュニケーションをとるべきか?こんな問いをされると、自然と大学広報にかかわる問い(=課題)だと受け取ってしまうのは、私が広報関連の仕事をしているからなのか、それとも一般的にそうなのかは気になるところです。とはいえ、今回、追手門学院大学のプレスリリースを見て、実は広報的なアプローチ以外でも、この問いに応えられるかもしれないことがわかり、ちょっとドキドキしています。

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駒澤大学の「Amazonほしい物リスト」の取り組みに見る、大学に寄付文化を根付かせる大きなポテンシャル

駒澤大学の「Amazonほしい物リスト」の取り組みに見る、大学に寄付文化を根付かせる大きなポテンシャル

18歳人口が確実に減ってきているなか、新たな財源をどう確保するかは、すべての大学に共通する悩ましい課題です。今回、見つけた駒澤大学の取り組みは、この課題の解決策の一つとなる「寄付」に関わるものになります。寄付関連のプロモーションに関わるといつも感じていたジレンマが、この取り組みだとうまく解決できそうで、すごく可能性を感じました。

「Amazonほしい物リスト」を使って現物寄付を募る

駒澤大学の

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限られた私立学校法人のみに与えられたアドバンテージ。長期的な一貫教育をどう捉え、どう活かすのか。

限られた私立学校法人のみに与えられたアドバンテージ。長期的な一貫教育をどう捉え、どう活かすのか。

小中高大、場合によっては幼稚園や大学院までを含めた長期的な一貫教育が行えるというのは、限られた私立学校法人にしかできない大きな強みです。学校法人聖学院は、この長期的な一貫教育を伝える新たな取り組みをはじめたようです。聖学院のリリースを見てあらためて思ったのですが、一貫教育の価値をどうアピールするのかって、実はこの先けっこう大事になってくるのかもしれませんね。

組織ごとに異なる一貫教育の価値をどこ

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VCは、大学に何をもたらすのか?早稲田大学の決断から考える、資金獲得だけではない大学発VCの役割と可能性。

VCは、大学に何をもたらすのか?早稲田大学の決断から考える、資金獲得だけではない大学発VCの役割と可能性。

大学発ベンチャーキャピタル(VC)は、大学の新たな財源確保の手段として、またイノベーションを産む場として注目が集まっています。これまでは政府が出資して国立大学で設立されるイメージが強かったのですが、私立大学でも慶應義塾大学に続き、早稲田大学で大学発VCが設立されるようです。

いきなり余談なのですが、先日、発売した月刊中央公論2月号に寄稿する記事の執筆のため、数ヶ月前に早稲田大学の田中総長を取材し

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コロナパンデミックが学生文化を断裂させる?近大の調査から考える、コロナによる地味で大きな大学の影響と変化。

コロナパンデミックが学生文化を断裂させる?近大の調査から考える、コロナによる地味で大きな大学の影響と変化。

新型コロナウイルスが大学にどんな影響を与えるのか。とても興味深いテーマではありますが、現在進行系で状況が変化しているため、なかなか落ち着いて考えにくいようにも思います。そんななかでも、なんとなく予想がつくのが、オンライン化による学びの変化ではないでしょうか。今回、見つけた近畿大学の調査結果は、そういったオンライン化による学び……ではなく、あまり深く考えていなかったけど、あーこういう変化も起こりうる

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立命館大学新聞社の学生調査から考える。インパクトのある情報によって議論が単純化することの怖さと難しさ。

立命館大学新聞社の学生調査から考える。インパクトのある情報によって議論が単純化することの怖さと難しさ。

先日、立命館大学新聞社の学生調査で、4人に1人が休学を視野に入れているという調査結果が発表され、ニュースで大きく取り上げられました。1大学のみの調査なうえ、有効回答数も1,414件と少ないので、大学生全体の声とはいえませんが、それでも衝撃的な結果であることには違いありません。

この立命館の調査の続報で、秋学期に希望する授業形態を問う質問項目の回答状況が紹介されました。こちらの調査結果では、「WE

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大学のビジョンが「生きた言葉」であり続けるために、大学人がたぶんこれからしなくてはいけないこと。

大学のビジョンが「生きた言葉」であり続けるために、大学人がたぶんこれからしなくてはいけないこと。

コロナパンデミックによって世の中の状況が大きく変わったというのは、わざわざ言うまでもない事実です。今は渦中でそれどころではないかもしれませんが、もう少し目処がたってくると、このコロナによって狂った計画を調整するという作業が、いたるところで出てくるように思います。今回、見つけた千葉商科大学のお知らせは、この調整をいち早く着手した事例のように感じました。

千葉商科大学のお知らせは、消費エネルギーと同

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長引くオンライン授業が、大学広報を根本から変える?コロナが大学に与える、ポジティブな機会を考えてみた。

長引くオンライン授業が、大学広報を根本から変える?コロナが大学に与える、ポジティブな機会を考えてみた。

7月初旬から後期授業の方針を発表する大学がパラパラと出てきており、そのほぼすべてがオンライン授業に軸足を置く授業体制のようです。新型コロナの第2波ともいえる感染者数の急増を考えると、まだ発表をしていない大学も含め、ほとんどの大学が後期もオンライン授業を中心にせざる得ないのかなと思います。

私は大学の広報支援を仕事にしていることもあり、この件も大学広報、とくに入試広報にどんな影響を与えるかという視

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急速なオンライン化のなかで置き去りにされそうな、言語化されにくいけど大切な授業以外の大学の価値、を考える。

急速なオンライン化のなかで置き去りにされそうな、言語化されにくいけど大切な授業以外の大学の価値、を考える。

大学=勉強をするところ、というと、正しくはありますが、ほとんどの学生は少し不満気な顔をするのではないでしょうか。クラブやサークル活動であったり、友達との会話であったり、それにゼミの飲み会や大学祭、さまざまな出来事があってこそ、学生たちが期待する“大学”になるからです。

今回のコロナパンデミックで「学びを止めるな」と方々から声が挙がり、大学を含む教育機関の関係者たちが尋常ではない努力をし、その姿が

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未知なるものを捉える“ものさし”を提供する。京大の対談シリーズから、学問の府がやるべき情報発信を考える。

未知なるものを捉える“ものさし”を提供する。京大の対談シリーズから、学問の府がやるべき情報発信を考える。

オンライン授業や独自給付金、学費や施設利用料の減免など、新型コロナに関わる大学の動きとして取り上げられるのは、教育や学生支援に関わることがほとんどです。いかに教育を止めないかは、大学としてとても大事なミッションであり、社会もこれに注目しています。

一方、大学には教育機関とは別の側面があります。研究機関、学問の府という側面です。医学関係の研究者は、積極的に情報発信をしています。でも、医学だけでなく

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