ばる|専業読書家(人文学)
記事一覧
昨日の記事の参考文献。とりわけ『中国山水画の誕生』は緻密な考証から背面の思想的傾向を丁寧に炙り出してて良かった。松岡正剛がこれを千夜千冊で取り上げてるけど、ふわっとした昔話に終始してて面白い。
独学考#4:読みながら索引を作る
普通に読んでもさっぱり読めない難しい本というのが世の中にはたくさんあって、それでも内容を少しでも理解する必要がある場面というのもたくさんある。
眼の前のテクストに真正面からぶち当たって無理そうなときは、読者の側で読解のためにアレコレ策を弄するよりほかにない。足場を組んでみたり、手すりを設置してみたり、分解して調べてみたり、遠くから見たり。
「自前の索引を作る」というのもそういう手段のうちのひと
君は「ドラえもんひみつ道具レビューサイト」の存在を知っているか
つい先日、R-1の決勝メンツが発表されてたので眺めていると、史上初のアマチュア決勝進出者「どくさいスイッチ企画」とある。興味が湧いたのでyoutubeとかでネタ動画を漁ったら、これがかなり面白い。
典型的な一人コントではあるんだけど、どのネタにも風刺的/批評的にしっかりとした幹があって、主題えらびと構成の妙から生まれる構造的な裏切りがじわじわと効いてくる仕掛けが心地よい。社会人落語の実力者でもあ
夕暮れを待ち望む~カミュ『異邦人』
ちょうど先日記事にした『適切な世界と適切ならざる私』において、詩人は私と世界の再構成の実験をしていた。翻って、20世紀フランス文学を代表する本作の著者はむしろ、精神生活において正しい秩序への従属を日々演じることの耐えがたさの告発と内在的な正しさへの問いへと向う。それも一歩一歩が震えるように重く、地中に沈み込むような足取りで。
カミュが主人公のムルソー氏の目を通して表現した違和感は、社会への鋭い問
"でも、ここでしょうか。 この世間の荒波、都の嵐のただなかでしょうか、 私が竪琴の響きに和した言葉を紡ぐのにふさわしいのは。"
―ホラーティウス『書簡詩』,講談社学術文庫,Kindle版位置番号. 2,143
独学考#3:その理想主義を捨てよ
およそ人がなにか物事に取り組み始めるとき、圧倒的な作品や才能や努力に触れて感動し、それ自体が持つ熱気に当てられて行動を起こすということがあると思う。その熱量が自分に乗り移り、同じように素晴らしいなにかを成し遂げたい、そのために同じように頑張ろうと決意することがあると思う。
自分も、「5万冊の本を読んだ人」とか「図書館に3年寝泊まりして資料編纂した人」とか「毎日20時間ものを書き続けてる人」とかの