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#288 「ビジネス頭の体操」 今週後半のケーススタディ(4月29日〜4月30日分)

はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
その日にちなんだ過去の事象をビジネス視点で掘り下げています。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための豊富な一次情報やデータもご紹介。

 →部分は、頭の体操する上での自分に対する質問例、です。


4月29日(木) 畳表はほぼ全て○○県で作られている!?

京都府京都市南区に本部を置き、畳産業振興のための戦略的なPR事業の企画及び推進などを行う「全国畳産業振興会」が制定した「畳の日」です。
日付は、い草の緑色から制定当時「みどりの日」であった4月29日としたもの。


やっぱりあると落ち着きます。
が、今は畳の部屋ない方が多いみたいですね。

というわけで生産が減っているであろう畳を調べてみました。

とその前に、畳の生産工程を簡単に確認したいと思います。
と言いますのも、私、漠然と畳屋さんで作るものだと思っていたのですが、いわゆる「畳表」というものは、いぐさを栽培した地域で収穫して畳表の状態まで加工して出荷するのだそうです。
畳屋さんでは、それをサイズに合わせてカットした畳床(たたみどこ)という土台(?)と合わせ、畳縁(たたみべり)という縁どり(?)を施して完成、という工程になります。

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詳しくはこちらの畳店さんのHPがわかりやすかったのでご興味おありでしたらご覧ください(上の図もこちらから引用しました)。国産と中国産とで素人目にも分かる差があるんですね。


では、農林水産省の「いぐさ(畳表)をめぐる事情」(令和2年6月)という資料から、いくつかデータをご紹介します。

まず、供給量です。
畳表の国内供給量(輸入と国内生産の合計)は平成17年頃まで3千万枚程度ありましたが、その後はほぼ一貫して減少、令和元年では1,124万枚と実に3分の1に縮小しています(下図、縦軸の単位:万枚)。

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また、畳表の自給率ですが、平成8年には7割ありましたが、平成12年には41%14年には27%と急減、令和元年には22%、250万枚となっています。

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次に、国内生産の動向です。
驚いたのですが、畳表、そしてその材料となるいぐさはほぼ全量が熊本県産となっていて、先ほどの令和元年の250万枚のうち、実に247万枚が熊本県産です(残り3万枚は福岡県)。

いぐさ農家の数も、799万枚の生産があった平成14年には1,340戸ありましたが、令和元年では熊本県に399戸、福岡県に7戸という状況です(下表)。

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このため、農林水産省ではいぐさ・畳表農家に対して経営安定化対策事業を行っており、国産畳表の価格が下落した際に補填金を交付しています(下図)。

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こうした縮小し続けている市場ですが、畳メーカーの中には成長を果たした企業があります。

詳しくは記事をご覧いただくとして、個人的にポイントと思った点は伝統ある業界だからこそ染み付いた常識を世の中の常識で上書きした点です。以下2点だけ印象に残ったエピソードをご紹介します。

☑️ 需要を探し、和食レストランに畳替の需要があることを掴む。ニーズは売上に響かないよう、レストランを閉めた後、夜(深夜)に作業をしてほしい、というもの。なぜどこもやらないかといえば、職人気質から、夜になってとんでもない、ということ。そこに商機を見つけ、たった1人で深夜の畳張替作業を開始。売上大幅増。
☑️ 畳屋が減る中、どこに頼めばいいか分からない個人が多いことを把握。思い切って人が集まるショッピングセンターに出店、隠れた需要を掘り起こす。

最後に、いぐさを栽培し、収穫、加工し畳表ができるまでを紹介した、熊本県いぐさ・畳表活性化連絡協議会のHPをご紹介して終わります。こんなふうに作られていたなんて知りませんでした。

→畳。市場としては縮小するも、大きなプレーヤーは存在せず、多くの中小畳みメーカー(町の畳屋さん含む)で構成されている。こうした市場に自社があったとした場合、どのような戦略が考えられるだろうか?


4月30日(金) ジャズは大人の趣味、は割と最近!?

フランス・パリで開催された2011年(平成23年)11月のユネスコ総会において制定された「国際ジャズデー」です。
翌2012年(平成24年)から実施。国際デーの一つ。英語表記は「International Jazz Day」


ジャズ。
音楽のカテゴリとしては(想像ですが)小さいもののしっかりとしたファンに支えられているイメージがあります。

そんな想像と合っているでしょうか?
というか、そんなデータありますでしょうか?

いろいろ調べた結果、一般社団法人日本レコード協会が毎年行っている「音楽メディアユーザー実態調査」というのを見つけました。

同調査の2019年版に「よく聴く音楽のジャンル」を聞いたアンケート結果がありましたのでご紹介します(下図)。

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ちょっと表が小さいのですが、ジャズは全体では12.4%がよく聴く音楽のジャンルに挙げています。
男女差、世代差が顕著で、男性が14.9%、女性が9.8%、そして、男性でも50代が17.8%、60代が22.9%となっています。

格好良い大人が聴く音楽、という感じでしょうか(個人のイメージです)。

すぐマーケットとして捉えてしまうのですが、高齢化が進んでいるマーケットとも言えそうです。

これは昔から変わらない傾向なのでしょうか?

同調査は2001年から公表されているのですが、毎年ちょっと内容が異なります。2002年に「現在よく聴くジャンル」というアンケート結果がありましたので比較してみましょう。ジャズ単独のカテゴリはなく、「ジャズ・フュージョン」になっている点が異なります。

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全体では11.3%が挙げていて、やはり男性が14.5%、女性が8.1%と男性が多くなっています。

異なるのは年代です。
年齢の括りが異なるのですが、40〜55歳の最も年齢層が高い男性が19.8%と高いのは変わらないのですが、大学・専門学校生が16.7%と2番目に多くなっています。さらに女性でも20代、30代の社会人が10%台と多くなっています。

フュージョンが入っているせいかもしれませんが、昔は今より若い世代もジャズをよく聴いていたということになりそうです。


これで終わってしまうとなんなので、同調査にいくつか面白いデータがありましたのでジャズとは関係ないのですがご紹介します。

まず「音楽との関わり方」の変化です。

具体的には、この半年間で、
☑️ お金を払って音楽を聴いた
☑️ お金は払っていないが新たな音楽を聴いた
☑️ 既存の音楽は聴いた(お金は払ってない)
☑️ 音楽は聴いてない

の4つのカテゴリに分け、それぞれの割合の変化を見たものです(下図)。

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ちょっと驚いたのですが、お金を払って音楽を聴く人ってもう3割しかいないんですね。もちろんお金を払う対象にはサブスクも入っています。

では、何で音楽を聴いているのか?
「音楽聴取方法」を見てみましょう(下図)。

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なるほど、1位はYouTube。約半数の人が挙げています。そして2位がテレビ。歌番組とかですかね。3位が各種定額音楽配信サービス、となっています。

なんと、音楽CDはこの3年間だけみてもどんどん落ちて4位ですね。まぁ確かにあんまりCD買わないかもしれないですね。

これを年代別に見たのがこちら。

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YouTubeは50代60代でも聴いている人多いんですね。
年代で差がつくのは定額制音楽配信サービスですね。

そして、音楽にどれくらいお金を使っているか、「音楽への支出額」の時系列データがこちら(下図)。

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やはり感染症の影響が出ているようで、2020年は19年の9,394円から5,842円に急減しています。カテゴリ別でみると、CD購入が千円以上減少して最大です。


最後に、いかにネット社会が急激に進んだかがわかるアンケートを2001年の同調査(調査の名前も今と違い「音楽パッケージソフトユーザー白書」です)からご紹介して終わります。

インターネットの利用経験を質問しているのですが、2001年時点でなんと40%が利用したことがない、と答えています。

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そして音楽関係でインターネットですることは、音楽を聴くことではありません。音楽関係のホームページを見ているかどうか、を質問しているのです。いやぁ技術の進歩と浸透ってすごいですね。

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ジャズ関係なくなってますが、すいません…

→なぜ20年前はジャズを聴く学生も多かったのに今は減ってしまったのだろうか?単なる好みの変化、以外にマーケティングや流通などで考えられることはあるだろうか?


最後までお読みいただきありがとうございます。

何か頭の体操ネタになったものがあれば嬉しいです。

「畳」。そもそもよく知らなかったです。勉強になりました。そして熊本県すごい。
「ジャズ」。半分以上ジャズ関係ないのですがご容赦ください。


昨年7月から続けてきています。だいぶ溜まってきました。以下のマガジンにまとめていますので、よろしければご覧ください。


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