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お金について考える その9 お金から平和へ(米国編) 当たり前過ぎて意識しなくなっていること

統一通貨=平和の固定化
〜南北戦争時には互いに独自紙幣を発行


経緯
 その1では、父が持って帰ってきた造幣局が作った貨幣の歴史に関する本がキッカケで、変動相場制、ニクソン・ショック(ドル・ショック)などをリアルタイムで経験しつつup to為替相場まで、これらの激しい変化も全てお金が仮想化されているからしなやかに吸収できているんだなぁと理解。そんな知識整理が人生の早い段階で整い始めたという経緯で、お金について考える時には仮想化ということを何時も意識する様になっているというお話でした。

 その2は、経済という切り口でのお金への理解。仮想化されたお金というパラメータが日常生活から世界経済まで等しく機能しているという理解のお話でした。

 そもそも経済とは市場が生産活動を調整するシステムこことで、古典ギリシア語の οικονομία(家政術)に由来するので日常生活からというのは当たり前過ぎなのですが、それこそ意識しなくなっていることでした。 

 その3は、お金について考え抜いたから基幹産業での人生を選び、その考え抜いた結果を確実に実践できたサラリーマン人生だったというお話でした。

 その4は、国という概念や民族という概念が厄介で、自国通貨も国という概念から出てきていて、国内的には各人の能力に応じて納税という形で社会貢献に使われることが最大の機能の1つだと理解して居るというお話でした。

 その5は、物理屋的な視点では、
お金について考える=為替について考える
ということというお話でした。

 その6は、物理屋からは、お金について考えと、世界経済が投機に委ねられているのは大きな課題だと見えているというお話でした。

 その7は、お金から平和へというEUの挑戦のお話でした。
本邦でも徳川家康が貨幣制度を統一し天下統一を固定化しました。統一通貨ユーロ導入も、経済を切り口に国というややこしい戦争の種をEUとなることで少しずつ潰すことに成功している人類にとってある意味でお手本かと。

 その8は、その7の裏側としてのユーロの課題のお話。経済的(お金)に弱かったギリシャ等の南欧諸国への配慮の必要性が顕在化。日本の北海道や沖縄の問題と同じで、今はより強い統合による政策の仕組み作りに苦しんでいるもののこのまま統合が深化すれば何れ解消するというレベル。なので今後に期待というお話でした。

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 今回は、当たり前過ぎて意識しなくなっていることですが、アメリカも連邦制で州(States)が連合した(United)国で、連邦であるが故(ゆえ)の通貨統一までの深い歴史が有るというお話です。

 とはいえ、お恥ずかしながら今回の事前調査で詳しく知ったのですが、アメリカ合衆国の“合衆”の由来は中国語だそうです。ラテン語の”E pluribus unum“(多数から一つへ)の中国語訳「合衆為一」からだそうです。米国に2回も駐在したのに… 

 正に「ボーッと生きてんじゃねーよ!」ですね~

 ということでEU同様にお金(通貨統合)という切り口で考察してみたいと思います。

 米国は新しい国で、先ず法律が有ってそこに移民としての国民がどんどん入っていったという唯一の大国です。

 通貨も始めはイギリス領植民地では、法定通貨はイギリス帝国のスターリング・ポンド、その後はスペイン・ドル等も流通。加えて個人や団体が自由に銀行を設立できる自由銀行時代だったので複数の銀行券が乱立しているという状態。 

 アメリカ独立戦争は1783年に終わり、

アメリカ合衆国が成立すると貨幣統一へと。1787年、アメリカ合衆国憲法の第1条第8項で
「貨幣を鋳造し、その価値及び外国貨幣の価値を定め、また度量衡の標準を定めること」
とし、通貨発行へと。

 通貨発行の為の中央銀行の創設には、州権を重視する南部が反対するなど、正にユーロ誕生前と似た状況が国ではなく州単位であったのでした。そして紆余曲折の末、通貨統一の第一歩としてアメリカ合衆国ドルとして1794年と1795年にフローイング・ヘア・ダラーが誕生したのでした。

 こうしてアメリカ合衆国ドルは発足しましたが、引き続きゴタゴタし、その様な中で南北戦争(The Civil War)

1861年4月12日から1865年4月9日にかけて、北部のアメリカ合衆国と合衆国から分離した南部のアメリカ連合国の間で行われた内戦

なんていう国を2分する内戦も有りました。
 戦費調達のために対立していた北部と南部はそれぞれ政府紙幣を発行したりもしました。通貨の統一が崩されたのです。

北部ではグリーンバック 
南部はグレイバック

(何れも紙幣で金との兌換は停止)

それどころか両政府は利子がついた紙幣まで発行する始末。
正にお金が平和と強く関連している事を示す事実ですよねぇ。

 ですが北部がインフレーション対策として1863年に全国通貨法を制定し、金ではなく国債を担保としての国法銀行券の発行が可能となり、グリーンバックを国法銀行券に置き換え通貨の統一が進んでいきました。
 一方南部のグレイバックは度重なる増刷によってインフレーションを引き起こし価値が下落。南部の戦況を大きく悪化させるのでした。

 とまぁその後の詳細は兎も角、因果関係の逆転等も目を瞑って、統一通貨が落ち着いてからは、その後大きな内戦もありません。

 現在でもアメリカ合衆国ドル紙幣の発券管理こそ連邦準備制度が集中的に行っているますが、法令上はアメリカ国内に12行ある連邦準備銀行が個々に紙幣を発行しているという状況です。アメリカのような新しい国ですら根が深いですね~。

まぁついこないだまで世界大戦まで行く事を2回もやって、今も3回目の危機と言われ…

たいがいにせい

と言いたい人類…
しょうもな…(今風に)

 お金から平和へという切り口でお金について考えると、連邦たる米国のケースでもEUの挑戦同様にお金の役割を深く考えさせられる歴史が見て取れます。

つづく


 





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