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「さみしい赤い屋根」ー詩ー


隣りに 赤い屋根の
おしゃれな ヨーロッパ風の
お家が建ったのは
かなり 前のことだった

新しい家には
若い 大学生の
お姉さんがいた
長い髪に 透明な笑顔を
光らせてた

子どもの僕は
お姉さんが トロイメライの
ピアノを 弾き出すと 飛んで行って
縁側に 腰かけて 
お姉さんの曲に うっとりしてた

お姉さんの ご両親は
穏やかな目をした 春の陽ざしの
ような 人たちだった

お姉さんの お父さんは
僕を とても
可愛がってくれた
「ようきたなぁ 上がって
こっちおいで」
大阪弁が 柔らか。

遊びに行くと よく
ドロップをくれた
宝石を 取り出すように
奇麗な缶から ドロップを
取り出してくれる

僕の家は 貧しくて
なかなか ドロップは
買ってもらえなかった

一粒の ドロップの味は
一番の 憧れに似た 味だった

おじさんは 時間があれば
庭の植木を 手入れしていた
一番大事にしていたのは
庭の真ん中の 紅梅だった

春近くなると
近所の人たちを招いて
梅の木のしたで
ティーパーティが 開かれた
咲き誇る 紅梅は
参加者の 白い顔に
赤い 光の影を落とす

時は流れて
お姉さんは お嫁に行き
ご両親も 天国に旅立った
赤い屋根も 色褪せた

家は 空き家になった
数年 買い手がつかない
それでも おじさんの 梅は
毎年 優雅な姿で
花をつける

誰も 花を愛でる人はなく
雑草が 背高くしげる
梅の木だけが 昔のあでやかさを
伝えようと 懸命に咲いている

冬の 青い月の下で
紅色の 小袖を振りながら
梅の花は 舞い散っている
昔の華やかな時間は
もう遠くに去ってしまった

最後まで 読んでいただきありがとうございます。
これからも お心をなごますような詩を投稿して
まいりますので、スキ、コメント、フォローなどを
いただければ 子犬のようになつきます🐱🐱🐱🐱

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