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swimmer―mi
2019年4月11日 04:17
いっけん無秩序に見えますよね?ふふ。そうなんですが、ここは完璧に管理された法則性によって動いているんですよ。私たちも、最初はとても驚きました。この膨大なとても把握しきれないようなパターンが完璧に管理されているんです。どうぞ心ゆくまで楽しんでくださいね。そう言って、ガイドの声は切れた。ここの世界はとても例えられない。例えてしまうと、それが途端に凡庸な味気ない世界へと、急降下しながら
2019年4月8日 22:11
お前さん、ちょっとそこのお前さん。んん?そうさ、お前さん以外に此処には誰も居ないだろう?お前さん、もしかしてその風船を割ろうっていうのかい?んえ?そうさ、お前さんのその水風船だよ。どこにある?だって?ハッハッハハハハ!お前さん、それは正気かい?お前さん以外にどこに水風船があるっていうんだい。そうとも。お前さんたちは、歩く水風船だろう?それ以外になんて云うのだよ。私は知らな
2019年4月2日 20:02
集中すればするほど、この神経が衰弱していくのは、それほど僕が君と向き合う時間をナーバスなものにしているからだと思う。頭の中で自動的に記憶されていく数々の君の残像を、僕は都合よく解釈しないように、出来るだけ正確に。君の引く手札と同じカードを自分は一体どこまで記憶することが出来るのか。何度目かの失敗でゲームオーバーを迎える、その前に、僕はすべてを記憶する。正解が、いつも君の気分次第で変
2019年3月18日 17:05
《赤》きみがぼくの手をひっぱって愉しそうに駆けるからかかとを踏んだままのスニーカーがそのまま麗らかな光の世界へ飛んでいきそうで「さて、どこでしょうかっ?」天真爛漫を開花させた満面の笑みでいつもぼくを真っ直ぐみつめる「なに?なにが?」「この白木蓮の中に1つだけお花じゃないものが、かくれんぼしてます。さて、どこでしょうかっ?」見上げると、純真無垢な純白たちが眩しい青空に輝きわた
2019年3月12日 02:57
「ほらほら、ごらんなさいよ。」天女のひとりが足をくずしながらそう言いつつ、下界を指さしました。薄紫の雲は、駆けよった幾人の天女たちで溢れていて、凛と佇む梅花の眼福にみなが微笑み合い、風が纏った紅い芳しさが、天女たちの歌声をさらに悦ばせました。智の梅花、咲き乱れるは、百花斉放。麗の今日、待ちわび続け、はや幾年。此方に咲くは、天花乱墜、智の扇。解語之花よ、錦上添花の、満願成就。
2019年3月4日 13:34
自分には縁がない。そんな風に思っていたから、いつも僕は君を遠くから見ていることしかできなかった。君は、この季節になると必ずあの揺れる金色の夢の世界の下で、静かに座って本を読んでいたね。君は知らないかもしれないけれど、君がそこにいるだけで、まるで幻想的な絵画のような空間が現れていたんだよ。僕は、この眼に焼きつけようと必死だった。輝く金色の揺れるフレームが、君の美しさを際立たせて、
2019年2月15日 03:00
不思議なものですね、あなたさまがそのようにお思いになるなんて。いつもなら、それでもまた繰り返し繰り返し、その光る銀の糸をたらしておやりになるのでしょう?ほら、御覧くださいませ。潸潸たるあのこもごも蠢く光景を。わたくしに至っては、そのようなお立場ではまず御座いませんから、これでもめっぽう困惑しているのですよ。いえ、あなたさまがそのようにお思いになることは、少しも可笑しいことでは御座いません
2019年2月13日 17:50
ながい。ながい、ながい。嗚呼、永い。ぐにゃりぐにゃりと繰り返される白濁と暗鬱の明暗意識。足どりはふらつき、この真っ暗な世界でどれくらい彷徨っているのだろうか。遠くのほうに幽かに灯る外灯はいまにも消えてしまいそうで。緩やかに栄える易しいはずのこの坂道のほんのすこしの傾斜たちが確実にこの身の生命を削っている。何処にむかっているのかもわからず何故こ
2019年1月12日 05:05
目の前を覆うように垂れ下がる一面の蔓には、ところどころ美しい紫色の小さな花が咲いていた。雨粒の雫が、葉をつたいつたい、繋がりながらも、静かにしたたりおちていた。この先へは、進ませない。かつて、そう結界が張られていたのだろう。私は、持っていた大剣を差し出し、たくさんの蔓を傷付けないようにソッと右に寄せた。中をのぞいて、息を飲んだ。まるで別世界のまるい空気とはじける色彩たちが、