マガジンのカバー画像

なんのはなしですか

131
なんのはなしかわからない。だけど、重要なものなんて判断は誰にも出来ないでしょ。そんなはなし。
運営しているクリエイター

記事一覧

初恋のロマンチックを誰かに預けることで私はロマンチックになりたい。

初恋のロマンチックを誰かに預けることで私はロマンチックになりたい。

私の人生で、そもそもロマンチックという言葉が適切な響きを得ているのかが謎だ。ロマンチックという経験を私は生を受けてから今まで本当に経験してきたのだろうか。まずその意味を知ることからはじめることにした。

現実離れで甘美で理想的な雰囲気や、なりゆきであるさまである。

これは、誰からの目線なのだろうか。こちらがそう思ってはいても、相手がそうは思っていないのが現実だったりする。周囲から見てそうだと言え

もっとみる
日記を書いたことがないと気付いた日に。

日記を書いたことがないと気付いた日に。

私は日記を書いたことがない。それに気付いたのは誰かの日記を読んだからかも知れない。

一日に起きたことを書けば良いのだろうか。書いてみようと思ってこんなに悩むとは思わなかった。

最近のことを考える。今したいことをじっくり考える。自分が書きたいものに思考出来る時間が少ない時には、無理に創作しないと決めている。

私は、人よりずっと遠回りだしゆっくりの人生だからだ。タイミングを待てばいい。さんざん焦

もっとみる
友人の孤独を陽気な天秤にかける。

友人の孤独を陽気な天秤にかける。

久しぶりの休日に友人の仕事を手伝うことにした。集められたのは別の友人と私の計二名だ。大きな工場の大きな音がする機械の試験を兼ねたメンテナンスをするという。私はもちろん機械を操作するでもなく、その試験の行方をもう一人の友人と精一杯声を出し応援する係だった。

応援とはいえ、時に囁き、時に叫び、時に頷くなど多種多様なリアクションを全力で空気を読み集中しなければならない。今どき「応援に来てくれ」と言われ

もっとみる
僕は「お兄さん」の達成を祝う日にすることを決めた。

僕は「お兄さん」の達成を祝う日にすることを決めた。

そうだとしても、これは実に厄介な問題だった。事実を事実として受け止めるには、誰だってきっかけが必要だからだ。

この日、僕は友人の誕生日を祝うことにしていた。とはいうものの、お互い仕事だからメッセージを送信するだけだ。「今は簡単にメッセージを送信出来るので楽になったもんだ」と口に出してしまう僕は「おじさん」なのだろうか。僕の高校一年の時代の時はポケベルだった。二年でPHS。三年で携帯だ。進化の翻弄

もっとみる
拝啓 読書様。これが私の遊びで、続く葉脈になります。

拝啓 読書様。これが私の遊びで、続く葉脈になります。

私が貸した星野道夫の「旅をする木」を手に持ち、後輩が私のもとにやって来た。

「お返しします」

私は、この後輩を密かに読書好きにさせるように遊んでいる。遊んでいるというよりかは、遊んでもらっているのかも知れない。本に興味があると言った後輩は、彼女が読んでいるという伊坂幸太郎を好きかどうかを私に聞いてきたことが始まりだった。

私は、朝会社でわざと読書をしている。わざとだ。いつか「窓際の読書さん」

もっとみる
昼下がりの故障は、僕を修復させた。

昼下がりの故障は、僕を修復させた。

しかしながら、僕の携帯がどうやらおかしいと気付いたのは画面をタッチしても反応しづらくなったからだった。僕が携帯に嫌われたのか、僕の存在が薄くなったのか。どちらにしても「のほほん」と生きようとしている僕に「のほほん」とはさせないこの事情は、到底好ましい状況ではなかった。

「『のほほん』としてんじゃねぇ」と、遠い日の部活で顧問の先生からおもいっきり怒られている友人を横目で見ながら、怒るには可愛い言葉

もっとみる
探せない過去最高に埋もれている日々へ

探せない過去最高に埋もれている日々へ

自作において、過去最高の作品というものに出会った人達は、一体どれくらいいるのだろうか。

私には、ハッキリとした過去最高の作品というものが存在する。厳密に言うと、その作品の記憶が無くなりかけていて文体や形も説明出来ない。だが、あの日の自分の頭の中で物語が勝手に浮かんだ感覚と、何を書いていても上手く行き着くという絶対的な自信と、それに準じた快感に襲われたのは、生まれて初めてのことであり、あれ以来味わ

もっとみる
「なんのはなしです課」通信

「なんのはなしです課」通信

皆様、日頃から「なんのはなしですか」普及にご尽力いただきありがとうございます。私の所属なんのはなしです課より活動報告です。私、この課に配属されて三年くらい一人でしたが、泣きました。ついに使用してくれた方が増えてきたのです。ご紹介します。

睦月さんの記事ですが、私びっくりしました。プロ並みのというか、プロだろというお仕事。掃除なんですけど。「なんのはなしですか」と感動を伝えてください。

伊藤さん

もっとみる
薪ストーブのある家で、炎に挨拶をした。

薪ストーブのある家で、炎に挨拶をした。

海から程近い平野部の街には珍しく、近所でも目印になるような屋根に煙突が突き出た家がある。その家のリビングには煙突に繋がる薪ストーブがあった。河津桜は咲き終わり、春の主役がソメイヨシノに変わりつつある日。暖かくなるのをたまに忘れたりする季節のこの日は防寒着が必要なくらい寒かった。

訪問した友人の家に友人はいない。夜に訪問したのは、足を運ぶことを躊躇う気持ちがどこかに残っているからなのだろう。

もっとみる
神保町で「遥か高み」を追いかける決心をする。

神保町で「遥か高み」を追いかける決心をする。

文体を変換し、皆の共感を得るのは新生活が始まる今がチャンスだ。きっとそれこそが私を「遥か高み」へと誘うものだろうと考えていた。

「一つ聞いてもいいかい?なぜ私の好感度は高止まりなのだろうか。そこには、もう一段上があるはずなんだ。君は、その答えを知っているはずなんだ。そろそろ僕と君は会わなければならない機会だと思う」

自分の好感度ほど「自分調べ」で良いものはない。自分で高いと思えば常に私は幸せで

もっとみる
俺たちずっと忍者だったはずだろ?

俺たちずっと忍者だったはずだろ?

Xにこんなことを呟いたのは、節分過ぎた頃。

ONE PIECEという海賊ブームから我が家には、NARUTO -ナルト-に影響され忍者ブームがやってきた。これは偶然を装った私による必然なのだ。私は現代の忍者としてこの任務をうまく成功へ導いた。我が子らに海賊と忍者を好きにさせることに成功したのだ。

もう、私は一生子供との会話に困らん‼️

そう宣言する。海賊と忍者を好きになった我が子らは、これから

もっとみる
『約束の途中』という言葉を考えていたら生まれた物語

『約束の途中』という言葉を考えていたら生まれた物語

花火大会も近い夏前になると、必ず思い出すことがある。必ず、なんて誰にも言えないから、私はそんな素振りを見せたことがない。子供の頃、転勤族の友達「カエデ」と呼ばれる子がいた。三ヵ月しか一緒に過ごしていなかったのに、「いた」と確かに記憶しているのには理由があった。

私の父は、小さい頃から剣道をしていて、大人になった今でも続けているのが唯一の自慢だった。

「一つのことを継続するのは、自慢になるんだ」

もっとみる
サイトマップ《悠々として急げ》

サイトマップ《悠々として急げ》

初めましての方も、いつも読んでいただいている方も訪れていただき、本当にありがとうございます。コニシ木の子のサイトマップです。

☆noteについて

私のnoteは、『書き記したいこと』で構成されています。現実の話か、そうではないのか、その区切りはつけていません。自分から見た世界が必ずしも、他者からの本当の世界ではないと思っているからです。

その中で、『本当のこと』を書きたいと表現を追っています

もっとみる
そして私は行列に並んだ。

そして私は行列に並んだ。

行列に久しぶりに並んだ。待ち時間は一時間以上だという。三列にキレイに整列して並び、誰一人文句も言わずに指示に従っている。知らない人と横に並ぶ不自然さを隠すために、私は先日購入した短編集を鞄から取り出した。

この本の作者は、書くことが好きなのだと伝わってくる。どの短編もとても物語に誠実だ。真っ直ぐに文体に表現される誠実さは、私が書こうにも書けるものではない。ひん曲がった性根の私には、キレイな文章に

もっとみる