記事一覧

虚構新聞展に行ってきた

 労働と睡眠のほか、1日3局の三麻と週2のジム、週1の飲み会、少しの勉強しかしない私であるが、たまには社会や文化を涵養し、高潔な人格の形成に努めている。そのよう…

mu_mur_amo
1か月前
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2023年度下半期の恋愛を振り返る

0.プロローグ <いつ結婚するの>  タヒチの空からの問いかけに、Mは答えることができないでいる。 1.Mは原理を発見した  功利主義は、恋愛の論理の主流に位置…

mu_mur_amo
2か月前
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バーにて(乱数編2)

<語群> 加速度 泥酔 お茶の子さいさい 陸軍  錦鯉 労働時間 狂犬 馬鹿力  弟 呪術師 葡萄パン 真空蒸着  私はそのバーの柔らかい照明に照らされて光る、金…

mu_mur_amo
4か月前
1

乱数編1 虹について

※本件はアプリでランダムに表示された12の語群のうち8つを用いて、1,000~2,000字程度の文章を作る試みである。 <語群> 馬 倫理観 ゴムの木 不死鳥 青臭い 時系列…

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5か月前

合コンに参加した話(前編)

 もう2か月ほど前のことになる。人生で初めての合コンというものに誘われた。  誘ってきたのは大学時代のサークルで一回り以上も遠い男性の「先輩」である。合コンを誘…

mu_mur_amo
5か月前
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ダミー

9ヶ月連続のためのダミー投稿。

mu_mur_amo
5か月前

Dさんとの出会い(第4話)

 少し前、特に長かった今年の夏もようやく終わりが見えてきたころ、私は再びDさんに出会った。八王子の師が店を予約してくれたのである。  私は東京ドーム近くのJR駅に…

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6か月前
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人生の残り時間は体感でどれくらいか

生5,9,18,18,18,20,20,20,20,20,20,21,21,21,22,22,23,24,25,28,31,32,35,36,50,65死  今年の夏は特に厳しかったが、最近、すっかり朝晩は涼しくなり、秋めいてきた。職…

mu_mur_amo
7か月前
3

修論を読み返してみた

 前半は、修論を読み返すに至った経緯、読み返した感想を自分用にメモしたものです。後半は、修論を一部抜粋して掲載しています。どんな修論を書いたのかについて、人に説…

mu_mur_amo
7か月前
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最近のニュース記事について思うこと

0.はじめに  ニュースやメディアの劣化が叫ばれて長い期間が経過したように思う。新聞やテレビを筆頭として、かつてマス・メディア(大衆を介在するもの)と呼ばれた、…

mu_mur_amo
8か月前
3

芸術探訪――PRISM――

※以下は半年前の出来事につき書かれたものの冒頭部分を抜粋して掲載するものである。芸術について書くことの難しさに挑戦してみたかった。 私の青年時代は、言語で表現す…

mu_mur_amo
8か月前
1

境港妖怪検定(初級)に合格した話

 2022年、私は3年ぶりに実施された境港妖怪検定(初級)を受検し、見事合格した。一般的な資格であれば情報も多く出回っているのだが、この資格は初級の受検人数が昨年で2…

mu_mur_amo
10か月前
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Dさんとの出会い(第3話)

 店を出て2人は辺りをぶらぶらと歩いた。初夏の日差し、河岸に向かって並ぶベンチ、咲きわたる花、磯の香り、遠くかすかに何かの試合の応援、2人だけの海辺、2人だけの世…

mu_mur_amo
10か月前
7

Dさんとの出会い

 私はDさんと店に向かって歩いた。徒歩5分ほどのところに目的の店はあったので、簡単な個人情報の交換などをしているとすぐに辿り着くことができた。  付近の公園の木陰…

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10か月前
6

Dとの出会い

 朝。  快眠であった。もぞもぞとカーテンを少し開けると、直線的な光がピシャッと部屋の一角を照らす。決戦の日である。  私は、品数の多くはないビジネスビュッフェ…

mu_mur_amo
11か月前
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出会いをたずねて百三里

 八O子の奥深くに野猿峠というのがある。野猿峠は治外法権の地であり、ケッペンの気候区分で局地的なAfを示している。鬱蒼とした森の中、独自の生態系の中で進化を遂げた…

mu_mur_amo
11か月前
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虚構新聞展に行ってきた

 労働と睡眠のほか、1日3局の三麻と週2のジム、週1の飲み会、少しの勉強しかしない私であるが、たまには社会や文化を涵養し、高潔な人格の形成に努めている。そのような趣旨から、先日4月3日の15時から16時、後ろ指をさされながら年度始早々に時間休暇を取得して大阪・中之島で開催されている「虚構新聞展」に行ってきた*ので、概要をまとめる。
*2024年3月27日から4月8日まで開催(4月2日を除く)。前売

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2023年度下半期の恋愛を振り返る

0.プロローグ

<いつ結婚するの>

 タヒチの空からの問いかけに、Mは答えることができないでいる。

1.Mは原理を発見した

 功利主義は、恋愛の論理の主流に位置づけられてはならぬ。

 愛し合う2人の平等が倫理とされ、しかし2人が不平等な資質を持つことが互いを補完し惹きつけ合うという恋愛の矛盾。これを乗り越えるために、「2人の最大幸福」に着目した「相性」がことさらに強調されてきた。2人の価

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バーにて(乱数編2)

<語群>
加速度 泥酔 お茶の子さいさい 陸軍 
錦鯉 労働時間 狂犬 馬鹿力 
弟 呪術師 葡萄パン 真空蒸着

 私はそのバーの柔らかい照明に照らされて光る、金色のウイスキーに舌をつけた。ふわりとした蒸留の香りが広がった。敗因など一言で表せるものではなかろうと思った。

 クリスマスの煌びやかなときめきから正月の暖かな家族団欒へと、世間の中心は踵を返す。平日と休日は、日没前のブルーモーメントの

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乱数編1 虹について

※本件はアプリでランダムに表示された12の語群のうち8つを用いて、1,000~2,000字程度の文章を作る試みである。

<語群>
馬 倫理観 ゴムの木 不死鳥 青臭い 時系列 漫画 
離職者 動画配信サービス 青虫 色彩 運動会

 虹は何色だろうか。これは色彩に関する割と難しい問いではないかと考えている。
 先日の旅で、私はコペンハーゲンの現代美術館に入ってみた。そこでは常設展のほか、ロマン派

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合コンに参加した話(前編)

 もう2か月ほど前のことになる。人生で初めての合コンというものに誘われた。

 誘ってきたのは大学時代のサークルで一回り以上も遠い男性の「先輩」である。合コンを誘うくらいであるから、もちろんメロディーを担当するような楽器の人である。先輩は、一方で私が恋愛というものに諦念を抱き、その虚構性を暴こうと下らぬ腐心をしており、他方で私の友人である「田原君」が恋愛に果敢に挑みつつも、ベーリング海並みに浮沈の

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ダミー

9ヶ月連続のためのダミー投稿。

Dさんとの出会い(第4話)

 少し前、特に長かった今年の夏もようやく終わりが見えてきたころ、私は再びDさんに出会った。八王子の師が店を予約してくれたのである。

 私は東京ドーム近くのJR駅に降り立った。Dさんは地下鉄で来ていたから、どこかで落ち合わなければならない。ここは紳士に相手のいる近くで待って遣るのがマナーであろう。

 しかしここで私は自らの陰キャを嘆いた。私は生粋の陰キャであるから、東京に10年居たというのに東京

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人生の残り時間は体感でどれくらいか

生5,9,18,18,18,20,20,20,20,20,20,21,21,21,22,22,23,24,25,28,31,32,35,36,50,65死

 今年の夏は特に厳しかったが、最近、すっかり朝晩は涼しくなり、秋めいてきた。職場の同僚と、秋は短いからねと話しながら、私は去年もその前の年も、毎年同じように秋の短さを嘆いてきたことを思い返す。私はきっと来年も、再来年も、秋の短さを嘆き、そして

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修論を読み返してみた

 前半は、修論を読み返すに至った経緯、読み返した感想を自分用にメモしたものです。後半は、修論を一部抜粋して掲載しています。どんな修論を書いたのかについて、人に説明するのが面倒なうえ、今の自分に聞かれても分からんという気持ちなので、尋ねられたときに答え(てドン引かれ)る用です。

 先日、データの整理整頓をしていたら、捨ててしまったと思われた修士論文データが発掘された。私はデジタルデバイドであるから

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最近のニュース記事について思うこと

0.はじめに

 ニュースやメディアの劣化が叫ばれて長い期間が経過したように思う。新聞やテレビを筆頭として、かつてマス・メディア(大衆を介在するもの)と呼ばれた、まさに時代を形作るものとしての覇権は影を潜め、今や情報へのアクセス方法や媒体は多様化した。また、メディアによる不正確な情報の発信やフェイクニュースの存在が前面化し、さらに、誰もが発信者となることのできる現代にあって、受け手のメディアリテラ

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芸術探訪――PRISM――

※以下は半年前の出来事につき書かれたものの冒頭部分を抜粋して掲載するものである。芸術について書くことの難しさに挑戦してみたかった。

私の青年時代は、言語で表現することと非言語で表現することを往還していたといえる。

若いころから、一方でスピーチや日誌、語学の習得を通して、自らの言語や論理を錬成し、他方で音楽や旅を通して、自らの情動や野心の源泉を模索した。
言語についていえば、中学のスピーチでは親

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境港妖怪検定(初級)に合格した話

 2022年、私は3年ぶりに実施された境港妖怪検定(初級)を受検し、見事合格した。一般的な資格であれば情報も多く出回っているのだが、この資格は初級の受検人数が昨年で231人※ということもあり、情報があまりに少なく、2023年に行われる第16回検定への参加に足踏みしている人も多いと思われる。検討の一助となれば幸いであると思い、ここに記録を残すこととする。
※境港妖怪検定の公式HP(以下、単にHPと記

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Dさんとの出会い(第3話)

 店を出て2人は辺りをぶらぶらと歩いた。初夏の日差し、河岸に向かって並ぶベンチ、咲きわたる花、磯の香り、遠くかすかに何かの試合の応援、2人だけの海辺、2人だけの世界。この情景ならきらめく水面の奥から良い感じの魚が顔をのぞかせているだろうと思い、Dさんと共に海をみた。そこには過日の雨で増水し、濁りきった水ばかりがあった。まあ登場人物が濁った人生とエノキダケであるから仕方あるまい。

 駅へ向かう途中

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Dさんとの出会い

 私はDさんと店に向かって歩いた。徒歩5分ほどのところに目的の店はあったので、簡単な個人情報の交換などをしているとすぐに辿り着くことができた。
 付近の公園の木陰にはインスタ用のサングラスと帽子をかぶった芸能人もどきのマダムと、インスタ用に交雑された小型犬のペアが等間隔に並んでいる。自分を半音背伸びさせるかのようなハッシュタグに動画や写真を結びつけ、自己顕示を充足させようとする人々の群れ。サブクス

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Dとの出会い

 朝。

 快眠であった。もぞもぞとカーテンを少し開けると、直線的な光がピシャッと部屋の一角を照らす。決戦の日である。
 私は、品数の多くはないビジネスビュッフェを食べ、熱めのシャワーを浴び、早めのチェックアウトを済ませ、さっそくS川駅に向かった。
 S川駅は休日の朝だというのに人が多い。平日は会社員であふれているばかりでなく、休日であっても主要な乗り継ぎ駅としての機能を果たしている。私は東京に数

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出会いをたずねて百三里

 八O子の奥深くに野猿峠というのがある。野猿峠は治外法権の地であり、ケッペンの気候区分で局地的なAfを示している。鬱蒼とした森の中、独自の生態系の中で進化を遂げた多様な生物が、個々主張して一つの環境を作っている。一つ一つの生物は鮮やかな原色でありながら、決して全体として調和することがないため、遠目に見ると補色が混ざり合ってドブのようなグレーをした塊がモゾモゾと蠢いている、そんな環境が野猿峠であり、

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