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猫のしっぽ ~詩集~

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ふと思いついてアップした 詩たちをまとめてみました( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )
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記事一覧

一杯の珈琲

一杯の珈琲

「何かあったのかい?」

優しい香りをまとわせて
心地よい白い湯気が立ち上る

カチャッ
カップの取っ手に手をかけ
そのままそっと口に運ぶ

こくん

「良かったら話してみなよ」
「話を聞くくらいしか出来ないけど」

ふぅ、と突き抜ける薫り
あたたかいものがのどを通っていく

────にがい…

ふふ、と笑みが零れる
あたたかさが、香ばしい薫りが、
胸の中に広がる

程よい苦味が、
辛い気持ちに寄

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雲

ふわふわ
ゆっくり形を変えながら
空を流れる雲のように

悩みも、苦しみも、
悲しみも全て乗せて

風に乗ってどこまでも

ふわふわ

形を変えながら
流れてゆきたい

辛いことも全部
ゆっくりゆっくり
形を変えて

ふわふわ
いつかは幸せに変わるように

雨やどり

雨やどり

突然降り出した雨

慌てて軒下で雨やどり

小さなからだ
フルフル震わせ
雨が止むのをじっと待つ君

ホントはカバンに
折りたたみ傘入ってるけど

少しでも
君の傍にいたくて

少し距離おいて
君の隣りで雨やどり

からだ震わせる度
チリンチリン
鈴の音が響く

きっと君にはもう
君の帰りを待つ
愛してくれる人がいるんだね

雨は当分やみそうにない

僕はもう行くよ
カバンの中から
折りたたみ傘を

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夏

夏の陽射しよりも
キラキラ
眩しくて直視出来ない
君の笑顔

手の届かない太陽のような
だけど僕にとって
かけがえのない大切な君の存在

声を聞くだけで
僕の心は空を翔る鳥のように羽ばたいて
話しかけられたら
頭の中が台風のように荒れ狂って
上手く会話が出来なくて

夏の空のように
キラキラ
晴れ渡る爽やかな
君の笑顔

果てしなく広い海のような
だから僕にとって
誰よりも深く愛おしい君の存在

雨

突然降り出した雨
さっきまで晴れていたのに
地面を叩きつけるような土砂降り

ついさっきそこで遊んでいた子供たちや
野良猫のはどこかに消え
傘を持たず走る人や雨宿りする人

室内に入ると
天井を打ちつける音が響く

どうしてそんなに荒れているんだい
僕は空に問いかけた

悲しい歌が聴こえたから
みんなが泣けない代わりに
こうして時々涙を流すのさ

悲しい音が降り続く

そうかい
じゃあ今日は僕も泣

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シャボン玉

シャボン玉

まぁるいシャボン玉

ふわふわ
キラキラ

蒼い空に誘われて
白い雲とたわむれて

息を早く吹くと
ぽぽぽぽぽ
小さな泡がたぁくさん

ゆっくり吹くと、
ぽわぁあん
大きな泡がふわぁりと

ふわふわ
キラキラ

風にいざなわれて
太陽に導かれて

小さな女の子が
キラキラ輝く泡を
捕まえようと追いかけて

パンッ

キラキラ
はじけて消える

それは儚く
それは美しく

掴めそうで掴めない

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初恋

初恋

花がほころぶように
あなたが笑うと

鳥がさえずるように
川がせせらぐように
空がひろがるように

世界は輝いて

それを幸せというのなら
あなたがここにいることで

世界は輝きをまして

それは空に、川に、鳥に、
全てに広がって

花がほころぶように
あなたの笑顔で

私の心は幸せで満たされる

スランプ

スランプ

ふと私は立ち止まった

はて
ここはどこだろう

見渡すとそこは
全てが暗くて
でも足元は明るくて
行く先を示しているよう

それは安心感でもあり
急に不安にも感じられた

このまま進むのは正しいのだろうか
この先には何があるのだろうか
もし違う方へ進めばどうなるのだろうか

「すみません
誰かいませんか」

私以外、なにも見えない
問い掛けても、返事もない

どうしたのだろう
今まで何の疑いも

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向日葵

向日葵

届かなかったあの頃
夏の日の思い出

サワサワ
風に揺られてたなびく
黄色い花

空に浮かぶ大きな光にむかって
背を伸ばす姿は
まるでお母さんに手を伸ばす
子どもたちのよう

いつしか大人になり
久しぶりに会う彼らは
思っていたよりも身近に感じて

届かなかったあの頃
夏の思い出

キラキラ
ひまわり畑の中
隙間から漏れる太陽の光

空から差す光を覆い
それはまるで
届かない地上の太陽のよう

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音楽

音楽

音が弾む
流れる
止まる

そして
紡いでゆく
広がってゆく

音と音
そして
音から人へ

紡いだ音は
人と人を結び
人から人へ、人へ、人へ…

広がる
広がる
広がる

紡いだ音は
笑顔をつくる
笑顔は幸せをつくる
幸せは広がって
また笑顔をつくる

時に寄り添い
時に慰め、励まし
音はあなたの傍にいる

音は繋ぐ
音はつくる
音は寄り添う
そして広がる

音から音
音から人
人から人
色々な

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夜

月明かりが
優しく包み込むように
星明かりが
優しく微笑みかけるように
穏やかな輝きで
あなたに語りかける

落ち込んだ時は
寄り添い慰めるように優しく瞬き
嬉しい時は
寄り添い讃えるように美しく輝き

世界を覆い隠す漆黒の闇は
見方を変えるだけで
あなたを守る優しい光となる

星の見えない夜も
月の見えない夜も

そこにはあるから

あなたからは見えなくても
星も
月も
そこにはあるから

いつ

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空

「見てみて〜でっかいねこ‼」
「いや、あれはキツネだ‼」

小学校低学年くらいだろうか
ワイワイ楽しそうに
空を指さしている

ふと空を見上げると
いびつな形の雲が広がっていた

ああ

そう言えば、いつからだろう

空を見上げることをしなくなったのは
広がる雲を気にしなくなったのは

忘れていた、あの頃の自分
色々なものに、ワクワクして、
毎日が新しくて、新鮮だった

どんな些細なことだって

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妬み

妬み

じわ…

心の中に、小さな、
黒いものが広がる

いいな、羨ましいな、

じわり、じわり、、

いいな、ずるいな…

じわり、じわり、、、

心の中に、黒いものが
だんだん大きくなってゆく

自分であって、
自分でないもの
認めたくない、自分の闇

それは最初は小さくて
ほんのわずかな濁り
でも一瞬で心を侵食して広がってゆく

例えば、水の中に、
ほんの一滴、毒をたらすと
じわぁと一瞬で広がるよう

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夢

真っ白なキャンパスを前にして
どんな色を重ねたらいいのか
分からない
描きたいものが分からない

何も出来ず立ちすくむ

とりあえず何かしなきゃと
周りを見る

描きたいものが決まっていて
もう完成する人

自分の意思がなく
言われるままに描く人

色々な色を使って
綺麗に仕上げている人や
混ぜすぎて訳が分からなくなっている人

一つの色だけで描く人

描くことすら放棄している人

描く世界は人

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