マガジンのカバー画像

「損切丸」-「日銀」編

544
「損切丸」が20年以上 ”お付き合い” させて頂いた「日銀」に関するより突っ込んだ記事をご紹介。
運営しているクリエイター

#円安

11年振り「国債買入」オペの "札割れ" ー 銀行は何を考えているのか

11年振り「国債買入」オペの "札割れ" ー 銀行は何を考えているのか

  "札割れ" を大分久しぶりに見た。通常だと「国債買入」の "札割れ" は「銀行が国債を持っておらず市場に足りない」≓「需給」の引き締まりから「金利低下」要因となる。だが今回はどうも様子が違う

 銀行が「損」を確定させるのを嫌がったからではないか

 2年JGBは概ね@0.33~0.34%で取引されているが、この水準は2年以内に日銀が+0.5%「利上げ」することを織り込んだ水準。「そんなに利上

もっとみる
「円安」が「円高」を呼ぶ ー 「キャリートレード」だって本当は怖い

「円安」が「円高」を呼ぶ ー 「キャリートレード」だって本当は怖い

 これは20年程前「損切丸」が勤め先のロンドン本社で行ったプレゼンの中の一節。当時はドル円が@80円を割れたり「円高」がまだ当り前の時代で、聞いている方は何だかキョトンとしていたが「円高」圧力で日本企業が生産拠点の海外移転を余儀なくされていた事が主題

 実際自動車なら販売先のアメリカやそれに近いメキシコ、それ以外の産品の工場は中国へと次々と移転。結果日本国内は労働力が余りデフレに突入した。幸か不

もっとみる
まるで ”蜜に群がる蟻” ー AIは「円安」パターンを学習してしまった(?)

まるで ”蜜に群がる蟻” ー AIは「円安」パターンを学習してしまった(?)

 前稿.遂に「ドル売り」転換? ー 怖いのは日銀の "心変わり" (再び)|損切丸 (note.com) を書いてドル円の動きを注視していたが、いやもう「円売り」が湧いてくるわ湧いてくるわ。 またもや 思ったより分厚い「円売り」 ー 「介入」と「外為特会」と「米国債」 |損切丸 (note.com) を思い知らされた

 これは最近の相場全般に言える事だが、特に「HFT」(高頻度取引)が席巻する株

もっとみる
遂に「ドル売り」転換? ー 怖いのは日銀の "心変わり" (再び)

遂に「ドル売り」転換? ー 怖いのは日銀の "心変わり" (再び)

 注目の4月米CPI。指標発表前に既にユーロドルを中心に「ドル売り」に転じていたが、変動の大きい食品とエネルギーを除くコアベースで前月比の伸びが6カ月ぶりに鈍化。NY FED指数も悪化し恰好の材料となった

 これで米国債は短期ゾーンを中心に急伸(金利は低下)。「利下げ」開始時期は9月、ターミナルレート(政策金利の到達点)は@4%まで低下した。 金利の ”着地点” と「中立金利」|損切丸 (not

もっとみる
金利の ”着地点” と「中立金利」

金利の ”着地点” と「中立金利」

 こうして時系列で「イールドカーブ」を追っていると、世界の国債金利、特に長期金利は随分収斂しつつある( ↑ 標題グラフ)。特に「円安」に見舞われているJGB(日本国債)の猛追は顕著で、30年JGBは遂に@2%を超えた。政策金利の「利上げ」も視野に入りつつある

 筆者は「中立金利」について「コロナ前」=「ディスインフレ時代」と「コロナ後」=「インフレ時代」に分けて金利の ”着地点” を想定 ↓

もっとみる
「ドル高」の死角 ー 「国」から「個人」の時代へ

「ドル高」の死角 ー 「国」から「個人」の時代へ

 日本の財政も大概だがアメリカも凄い事になっている。米政府の年間利払い額が▼1兆ドルを突破し1分間に換算すると約▼2百万ドル≓▼3.1億円

 これは「ディスインフレ」時代に低金利で財政のたがが外れた事に起因するが、「ゼロ金利」から一気に@5%台に「利上げ」した事によって問題が噴出している。単純に言えばこれが 燻る「インフレ」の ”種火” 。|損切丸 (note.com) であり、一般庶民がこの

もっとみる
(それでも)まだもの凄い「金融緩和」- やっと日銀が "動いた" 。大事なのは「数値」「データ」

(それでも)まだもの凄い「金融緩和」- やっと日銀が "動いた" 。大事なのは「数値」「データ」

 まだまだもの凄い「金融緩和」-まるで昭和の ”牛歩戦術” 的「利上げ」|損切丸 (note.com) の続編

 追い詰められてやっと日銀が "動いた" 。「5年超10年以下」の「国債買取」を4,750億円から4,250億円に▼500億円減額。これを受けて5~10年を中心にJGBが売られた(金利は上昇)

 たった▼500億円と侮ることなかれ。「量」の側面からは月4回 × ▼500億円=▼2,0

もっとみる
続・もう「円安」だけで「日経平均」は買えない - 「円安・株安・債券安」の最悪の展開も

続・もう「円安」だけで「日経平均」は買えない - 「円安・株安・債券安」の最悪の展開も

 もう「円安」だけで「日経平均」は買えない - 「円安」を止める "鍵" |損切丸 (note.com) の続編

 どうもマーケットの流れが変わってきた

 せっかくFRBの「利下げ」期待再燃で155円台前半まで戻したドル円も、東京時間に 思ったより分厚い「円売り」 ー 「介入」と「外為特会」と「米国債」 |損切丸 (note.com) 気が付けばもう@156円寸前。湧き出てくる「円売り」はまる

もっとみる
先に手を出せ! ー 最後は「科学」と「合理性」

先に手を出せ! ー 最後は「科学」と「合理性」

 東京ドームにおけるボクシング興行はあのマイクタイソン戦以来実に34年振りという。それもこれも井上選手というスターが出てきたからで、日本ボクシング界も随分苦労してきた。久々に生中継を見たが良い試合だった

 派手な逆転KOシーンに目が行きがちだが、筆者が最も感銘を受けたのが1回に逆にダウンを取られたシーン。試合後井上選手が:

 今まで一度もダウンを喫した事がなかったのにカウント8まで片膝をついて

もっとみる
マーケットは「円」を中心に回っている?

マーケットは「円」を中心に回っている?

 最近こういう動きに気付いた。BTCは円建てで900万円を下値抵抗線にして1,000万円を軸に動いているように見える(標題グラフは6ヶ月チャート)。WTI(NY原油先物)然りで、こちらは@12,000円絡み。どちらも年初来の円建て運用成績はダントツの1.2位

 マーケットは「円」を中心に回っている?

 確かに様々な兆候はある。まずはFX。FRBに金融政策の歩調を合わせているユーロ、ポンドのボラ

もっとみる
続・FXの「需給」ー「円買介入」も「利上げ」「テーパリング」も市場の「円」を吸収する効果は同じ

続・FXの「需給」ー「円買介入」も「利上げ」「テーパリング」も市場の「円」を吸収する効果は同じ

 FXの「需給」ー「外国為替特別会計」とは何者なのか|損切丸 (note.com) の続編

 ゴールデンウィーク中の「円買介入」警戒もあって先週末(5/3)の弱い米雇用統計後には@151円台まで突っ込んだ「ドル円」だが、連休最後の今日(5/6)、気が付けばまるでゴムのように@154円台まで戻った。まさに  思ったより分厚い「円売り」 ー 「介入」と「外為特会」と「米国債」 |損切丸 (note.

もっとみる
米国経済本当は強い?弱い?Ⅲ

米国経済本当は強い?弱い?Ⅲ

 米国経済本当は強い?弱い?|損切丸 (note.com)
 続・米国経済本当は強い?弱い?|損切丸 (note.com) の続編

 昨日(5/2)東京時間早朝、意表を突いた「ドル売円買介入」で▼4円程急落した時、置いておいた買いオーダーがついて喜んだトレーダーもいただろう。その後@157円台まで戻して喜んだのも束の間、ドル円はジリジリ値を下げ翌日(5/3)には一時@153円割れ。「なぜ上がらな

もっとみる
「金利」より「量」ー 「ドル高」の脅威に対処する ”国際協調” の枠組み

「金利」より「量」ー 「ドル高」の脅威に対処する ”国際協調” の枠組み

 政治的配慮が強すぎて 2021年12月の パウエル議長の "心変わり" 。|損切丸 (note.com) まで「利上げ」が遅れて以来、あまりパウエル議長を信用していない「損切丸」。だが今回のFOMCの決定には頷ける点が多い

 メディアは議長の「利上げ」否定をヘッドラインに持ってきた(その方が分かり易いから)が、今回のポイントはQT(量的引締)の減額 ↓

 FXやドル円では「金利差」「金利差」

もっとみる
思ったより分厚い「円売り」 ー 「介入」と「外為特会」と「米国債」

思ったより分厚い「円売り」 ー 「介入」と「外為特会」と「米国債」

 「介入」の有無を調べる時に日本では便利な方法がある。コール市場等の取引を媒介している短資会社は毎日精緻な「日銀当座預金」の増減予想を出しているが、5/1の「財政要因」は従来の▼2兆円から▼7.5兆円に修正。これにより5.5兆円規模の「介入」があったと推定されている

 財務省管轄の「外為特会」は150兆円程( ↑ 標題添付)だが、このうち「介入」にすぐ使える「ドル」は「外貨当座預け預金」の11兆

もっとみる