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記事一覧

夢のような魔法の恋をした 第15話

夢のような魔法の恋をした 第15話

『佐野へ、太田の花火大会』

8月

彼女は再び、サプライズで彼の佐野宅に訪問した。
土日を使ってもいたが、彼女の情熱は
金曜日の仕事後に、彼のいる場所に向かうことは簡単だった。
もう、佐野の静かな夜の道でも、迷わなかった。

それよりも
佐野の暑さは、一言でいえばすさまじい。
昼間 エアコンを消して、出掛けてから帰宅すると
部屋の温度計は40度を越えていた。

2人は
太田市の花火大会に行ってみ

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夢のような魔法の恋をした第11話

夢のような魔法の恋をした第11話

『リラックスしたい、刺激し合う2人』

残暑の中
2人は新橋から、ゆりかもめに初めて乗る。
新しい電車はもちろん、駅もきれいだった。
「お台場海浜公園」についた。

当時までは
「晴海」と呼ばれていた場所が、その頃
新しく「お台場」という施設や街並みに生まれ変わっていた。
人工の砂浜と海。潮風の香りのする場所にいるだけで
彼女は、胸が騒いだ。

2人のようにカップルで海岸沿いを歩いたり、座ったりす

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夢のような魔法の恋をした第9話

夢のような魔法の恋をした第9話

『恥ずかしさを越えれば、成長する(〇慰禁止令)』

池袋のジュンク堂のカフェに2人はいた。
約束通り、彼女は彼に自分の絵を見せるために
描きためている、デッサンのカルトン=画板を持ってきていた。

絵の時系列順では、
ラボルト・ヘルメス・ブルータス・マルス
だっただろうか?
彼女の絵は、描く度に上達していたはずだった。

マルスの講評時、
建築の先生から初めて注意がほぼなく、褒められた。
デッサン

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夢のような魔法の恋をした第10話

夢のような魔法の恋をした第10話

『初めての水着と2人の涙』

海に行く日。
この日の為に、彼女は奮発してスカート付きの
ビキニを買っていた。

幼年時代の習慣で、現地に着いたら
直ぐに海に入れるように、
水着は洋服の下にスカート以外、既に着ている。

待ち合わせをして、電車に乗る。
「この音楽、一緒に聴かない?」
彼が、カセットテープの
ヘッドフォンの片耳を彼女に差し出した。

初めて2人で聴く音楽。

流れてきたのはドラムの音

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夢のような魔法の恋をした第8話

夢のような魔法の恋をした第8話

『花火大会と膝枕(彼女の持病)』

隅田川花火大会・神宮外苑花火大会

「夏ぴあ」を見ながら、2人で下調べした。
彼女は焦っていた。日々のタスクをこなしながら、
仕事で忙しい母親の時間を見つけては
初めて、浴衣の着方を教えてもらっていた。

母親は、着物が好きな人だ。
浴衣の着方を教えることなんて、造作ない。
練習を繰り返す内に、彼女は要領をつかんだ。
浴衣を着るのが、好きになった。

後はヘアス

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夢のような魔法の恋をした第7話

夢のような魔法の恋をした第7話

『男性の性を知った彼女』

彼女の悩みは、止まらなかった。
真剣に考えていた。彼の未来のために。

ある日
久しぶりに逢った2人は、
彼のアルバイト先のアパートの部屋で
オールをすることになった。
勿論、誰にも秘密だ。

ジュースとお菓子を持ち込んで、
2人はただ、楽しく面白く、真面目に話をしていた。
「今日、俺 ホントにアホだったんだ。」
「えー?」
「アイドルタイムでボーッとしてたのか、
炒飯

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夢のような魔法の恋をした 第6話

夢のような魔法の恋をした 第6話

『軽くないファーストキス』

手を初めて繋いだ直後のお誘いメールに、彼女は即返信した。
「忙しいのにありがとう!行くね!」

7月1日 曇り空の日
夕方から、2人は逢った。
池袋のファミレスで、面白楽しくディナーをする。
相変わらず、話は尽きない。

「Mちゃんのお父さんて、八百屋さんだったんだ!2人もお兄さんいて、楽しそうだね!」
「うん。小さい頃、真ん中の兄貴と似てたからよく間違われたよ(笑)

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夢のような魔法の恋をした 第2話

夢のような魔法の恋をした 第2話

『逆告白と告白(いじめと病気の背景)』

彼女は非常に好奇心旺盛だった。

ある日、彼女はこの王将でのアルバイトを辞めることを決めた。

コンビニでのアルバイトをして、ゆくゆくは喫茶店のアルバイトを掛け持つことになる。

16歳の彼女には、計画があった。
18歳から始められる事務系の仕事を手がかりに、
DTPオペレーターを経て、グラフィックデザイナーになりたいのだ。
そのためには、DTPを学ぶため

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夢のような魔法の恋をした 第3話

夢のような魔法の恋をした 第3話

『一世一代の告白と感動の反省会とリセットボタン』

「Aさん。」
彼女は右隣のAさんを向いた。
「うん?なあに?」
Aさんは、いつもの穏やかな微笑みでこちらを見る。

「わたし。Aさんのことが、好きです。」
彼女は告白しながら、
その告白の言葉を伝えることと、
伝えるときの表情を見られるのが
恥ずかし過ぎて、うつむいた。

電車のガダンゴトンという音と
走り抜ける振動で揺れる窓の音
時折聴こえる、

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夢のような魔法の恋をした 第5話

夢のような魔法の恋をした 第5話

『パンチラと、はじめてまともに手を繋いだ日に、愛は勝つ』

その日は、Yさんの提案で
久しぶりに王将のアルバイト先の仲間
(彼、彼女、Kくん、Yさん、Tさん、Dさん)が集まった。

彼とはつながりがあったが、
告白されたKくん(20歳)、
福山雅治さんのアルバムを貸してくれたYさん(23歳)、
洗い場から鍋をふって料理をして、店を回すことまで
オールラウンドに活躍するバイトリーダー的なTさん(22

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夢のような魔法の恋をした 第4話

夢のような魔法の恋をした 第4話

『初デート(彼女の背景)』

待ち合わせ当日
彼は、いつものやせ型の身体に
デニムのジーンズ。Tシャツで現れた。
相変わらず、ニコニコしている。

それを観た彼女は、
ニキビを帽子で隠し、うつむきながらも
歓喜の笑顔で見つめた。

今日は話題の【タイタニック】を観に行くのだ。
映画をみるのは、小学生時代以来だ。
彼が左、彼女は右に席に着いた。

映画館の暗さが
彼女のニキビを丁度よく隠してくれる。

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