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オリジナル短編小説「私の愛した犬たちへ」
私はこれまでに3匹の犬を飼ったことがある。
最後の子が死んでしまって、
もう5年は過ぎてしまったか…。
プライドが高くて凛々しかった柴犬
とても優しくて賢かったビーグル犬
わがままでチャーミングだったミックス犬
最初の柴犬は自分が幼すぎて
まだ少し犬が怖かったけれど
私はどの子も心から好きだった。
実は2匹目と3匹目の子たちは
今も私のそばにいてくれている。
あまり人には話さないけれど、
夏祭りの金魚のように
明日、学校に行くのがとても苦しい。
明日、玄関のドアを開けるのがとても苦しい。
でも、死んじゃダメ。
今、君の知っている世界が全てではないから。
今、君の住んでる世界は本当の世界のほんの一部でしかないから。
死ぬ必要が、ない。
狭くて息苦しいその世界は
夏祭りの金魚の水槽
今は自分で飛び出す術がないけれど
ほんの数年で気がつくはず
生きてさえいれば、どんな選択もできる
生きて