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お寺のこと

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お寺の課題発見・解決を介して日本地域をよりよくするお仕事について。
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「変わらないこと」へのまなざし《後編》

「変わらないこと」へのまなざし《後編》


生きるなら優しい世界がいい日本の駅の階段でベビーカーに悪戦苦闘している母親がいても早足で通り過ぎる人。なんなら邪魔だとばかりににらみつけたり、舌打ちする人もいる。(もちろんそうでない地域もあるのは知っているが)

他方、教養として宗教思想が文化の下地にある国、例えば私が足を運んだことがあるフランスやイタリアでは、駅にエスカレーターやエレベーターがないことも多かったがベビーカーの親子がいればどこか

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「変わらないこと」へのまなざし《前編》

「変わらないこと」へのまなざし《前編》


20年来の親友とかなり久しぶりにゆっくり過ごした。

いつも感じるのは、数ヶ月、1年会わなくてもなんの違和感もなく素の自分で時間を過ごせるありがたみ。

それは親友が自分の状態を受け入れて、誰かのせいにせず、自分をしっかり持っているから、合わせ鏡のように私を映してくれることで得られる時間だとおもう。

目まぐるしく仕事や生活をして色々と変わっているようで、根っこは変わってないんだなぁと確認する。

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2023/10/20「碑文谷 創さんのお話を聞く葬送次世代の会in関西~次世代に心ある弔いを繋げるためには?~」を開催しての所感

2023/10/20「碑文谷 創さんのお話を聞く葬送次世代の会in関西~次世代に心ある弔いを繋げるためには?~」を開催しての所感

実行委員会として開催した上記の企画が無事終了。

Facebook投稿のために書いた文章。思うように言葉になったのでnoteにもバックアップがてら記載しておく。
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昨日、大阪は大蓮寺で「碑文谷 創さんのお話を聞く葬送次世代の会in関西~次世代に心ある弔いを繋げるためには?~」と題した企画を開催。

無事に終えてほっとしつつ、昨日の会場の熱気が凄まじくてまだ余

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名もなき課題と人をつなぐhubとしてのお寺に寄付をはじめた話

名もなき課題と人をつなぐhubとしてのお寺に寄付をはじめた話

国や自治体の制度では支えきれない課題、またはそもそも問題があると認識すらされていない課題、もっというと生きにくさは価値観の多様化や貧困格差、人口構造の変化に伴い増加している。

それらを私は「名もなき課題」と呼んでいる。

名もなき課題を抱えている生きにくい人と出会い、解決方法につなぐには1対1関係では限界がある。

かといって顔を合わせることができないような希薄な関係性では解決方法や支援につなぐ

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寺院と向き合う中で悲しいこと

寺院と向き合う中で悲しいこと

莫大な予算をかけて樹木葬や永代供養墓、イベントなど外向きの投資を行うお寺にかぎって檀家さんに向き合うためのお金はかけない。

檀家さんのために携帯電話代程度の費用で心を寄せていく仕組みづくりができる提案をしても、そこには「高い!」とおっしゃっるお寺に出会うとなんというか悲しい。

「こんなにすごいものをその価格で大丈夫なんですか?」
「こういうものが必要だとおもってた。そのくらいならありがたい!」

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クラウド管理寺務台帳のパンフレットができた

クラウド管理寺務台帳のパンフレットができた

当社が開発した特許出願中のクラウド管理「寺務台帳」のパンフレットができた!

そもそもは、自分たちが運営している青山霊廟と寺院の連携のために開発したシステムだったけれど、お知り合いの寺院のみなさんも使ってみたいとのことでテスト版の提供を開始。

あっという間に要望が集まって半年間で100以上の機能改善・開発をしてできあがったのが今のクラウド「寺務台帳」。

いわゆる業界初のSaaS型コミュニティ管

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浄土真宗本願寺派で若いお坊さんにお話して感じたこと

浄土真宗本願寺派で若いお坊さんにお話して感じたこと

先日、浄土真宗本願寺派にて布教師課程講座講師として「葬儀問題」をお話をさせていただいた。

私などに白羽の矢を立ててくださった専任講師のみなさんには頭が下がる。

オーダーは供養現場で僧侶と遺族の間に立っている私の経験からみた葬儀問題と僧侶への提言だった。

普段、住職や奥様、檀家さんに向けてお話することが多いのでまだ20代の僧籍をもったばかりのみなさんにお話する機会はめったいにないし、3時間にわ

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1週間で「檀家って何?」と3人に聞かれた話

1週間で「檀家って何?」と3人に聞かれた話

自分の仕事を説明したら・・・業界の方から「何の仕事をしているの?」と聞かれると「寺檀関係を深める支援をしてます」とお答えするようにしている。

お寺と一般の方の間に立って、供養にまつわるいろんな黒子的な仕事をしすぎて自分がなにをしているのか?一言で言えないので端的に言うにはこれくらいしか思いつかない。

ただここ1年、SaaS型でお寺と檀信徒の関係向上サービス「クラウド管理寺務台帳」をせっせとお寺

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お寺のDX:書き起こし編

お寺のDX:書き起こし編

DXの意味が誤解されていることが多い昨今、仏教会でもDXを推進する動きが専門誌などや実際のお寺の声でも聞こえてくる。

ただ、「それはDXの定義から外れてるなぁ」ということも実際には横行しているけれど盛んにメディアや業者から「お寺もDXですよ」と言われると耳を傾けたくなる気持ちも分かる。

ではDXとはなにか?は別の話で書くとして、今回はDXを実施したい寺院が避けて通れない「現在帳・過去帳デジタル

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「築地本願寺とお寺のDX」の登壇備忘録

「築地本願寺とお寺のDX」の登壇備忘録

葬送業界の年1度の展示会、エンディング産業展が8月31日~9月2日の3日間今年も無事に開催された。

今年は9月2日の「築地本願寺とお寺のDX」をテーマにしたセミナーにコメンテーターとして登壇。

当日は築地本願寺の方のお話を中心に、お寺のDXについて考えてみる時間になればと思っていたが時間が足りなかったので事前に考えていたことを書き留めておく。

「お寺とDX」に感じる違和感ここで私のお寺とDX

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終活への違和感

終活への違和感

私が葬儀・お墓の相談員として

身内が亡くなりそうだ

身内が亡くなった

遺骨が手元にある

お墓を引っ越したい

といったお悩みを受けて、葬儀社、石材店、寺院、法要施設を紹介する事業部に関わり始めたのは2010年のこと。

終活という言葉は、2009年に週刊朝日の特集で使われたのをきっかけに広まった。とされているので、この言葉の誕生とほぼ同時期にあたる。

日々、自分や大切な人の「死」と向き合

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納骨堂・霊園の破綻はなぜおこるか

納骨堂・霊園の破綻はなぜおこるか

またお寺が納骨堂経営に失敗、つまり破綻した。

私自身は、葬儀・お墓・納骨堂の相談員を務めたうえで現在は寺院の活動支援(納骨堂・永代供養墓の運営、情報管理など)を主軸にした事業を運営している。

業界に10年以上もいると霊園・永代供養墓・納骨堂の倒産は実は珍しくなく、ここ10年の間にも何件もあった。

今回の事件に当社も私もまったく関与していないし、実際のところは分からないが報道が事実だとすると、

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五感で祈る

五感で祈る

念願の日本天然木材のみで制作された納骨壇をお寺に納めることができた。

今まで何千件という葬儀・お墓に関する相談を経験し、さまざまな霊園やお寺に足を運んで来た。

その中で考えてきたこと。

大切な人を弔うために、相応しい弔いの場とは?

新しいこと?
斬新なこと?
豪華なこと?

どれもしっくりこない。

かといってよく見られるアルミの壇はあまりにも無機質で自分の中で祈りの場に相応しいとは思えな

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目立たずに社会に貢献している僧侶がたくさんいるからこそ頑張れる。という話。

目立たずに社会に貢献している僧侶がたくさんいるからこそ頑張れる。という話。

檀信徒の葬儀が直葬と聞いて無償でいいから読経させてほしいと駆けつける僧侶。

学校で教わらない、ニュースでもあまり取り上げられない社会課題を地域に伝える場を提供する僧侶。

都心で月1000円で遺骨の一時預かりをされている僧侶。

月参りで暮らしや健康に心配があれば、声をかけ、行政につなぐ僧侶。

喪主がいない方から相談あれば葬儀社手配から読経、拾骨、納骨、納骨式まで対応する僧侶。

死にたいと相

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