東樹 詩織 / Shiori Toju
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まさに完璧な日|ヴィム・ヴェンダース監督『PERFECT DAYS』
憧れている人がおすすめしていたから、という理由で、予備知識もなしに『PERFECT DAYS』を観た。結果、自分史上1、2を争う素晴らしい映画だった。
映画は、人生への向き合い方を変えてしまう力を秘めているんだな、と改めて思わされるような。
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まず、一つひとつの音がいい。まるで耳元で聞いているかのような衣擦れ、ため息、東京の音。
冒頭は、役所広司さん演じるトイレ清掃員の「平山」が出勤
無邪気さと決別した私たち|土井裕泰監督『花束みたいな恋をした』
はじまりは、おわりのはじまり。
恋の生存率は、恐ろしく低い。
それなら、傷つくことのないように、恋愛を器用に避け続けることはできるだろうか。
愚問。恋が死ぬ度に「そんなもんだ」って思いながらも、私たちは懲りずに落ちてしまう。やがて悲しみに着地する穴に。
生き延びた恋が奇跡的に穏やかな愛に変わったとしても、生物である限り、別れは必ず訪れる。
だったら、結末のことなんて忘れよう。どれだけ言葉を
ほんのちょっと前の台湾 | 2022.12.30 高雄・台南
年末年始に訪れた台湾のことを書こうと思っていたら、怖いぐらいあっけなく半年が経ってしまった。だからこれは、「ほんのちょっと前の台湾」のアルバム。
旅をした6日間、私たちは、2人で3,574枚もの写真を撮った。
久しぶりに吸った台湾の空気。初日の感動は、以前書き留めた。
今日書くのは、滞在2日目の記録。写真はたくさんあるので撮って出し。
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2022年12月30日(金)
台南 → 高雄
一つのお別れがあって、そして
今日、祖父を見送った。92歳だった。
最後に一緒に食事をしたのは、一昨年の秋だったらしい。信じられないぐらいの速さで時が過ぎてしまった。久しぶりに目にした祖父の顔は、とても小さかった。それでも、私の名前を呼ぶ祖父の大きな声は、耳元で聞こえるかのようにありありと思い出せた。
美しい柩の中、色とりどりの花に彩られて横たわる祖父の姿には生の名残があって、そのことは私を少しだけ安心させた。もう何も話す
いまの台湾 | 2022.12.29 台南
これは、久しぶりに触れた「いまの台湾」をひたすら貼っていくアルバム。
旅をした6日間、私たちは、2人で3,574枚もの写真を撮った。
3年という長い時が過ぎたけれど、台湾はそれほど変わってはいなかった。
思いがけず変わっていたのは、私たちの方だった。
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2022年12月29日(木)
台湾桃園国際空港 → 台南
肌寒い台北を素通りして、南へ向かう。
台南。
古さと新しさが無秩序に入り交