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旅と私

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旅から学んだいろいろなことを綴ってます
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海外旅行は楽しいが疲れるというつぶやき

海外旅行は楽しいが疲れるというつぶやき

旅行は楽しい。何故楽しいのかと言えば、放浪は人類の本能だからだ。
旅行は疲れる。何故疲れるのかと言えば、放浪の本能を持ちながらも定住生活に慣れているからだ。

特に海外旅行には、楽しさに疲労が常について回る。長時間、狭い飛行機の座席に座り、時差の分だけ長い一日を過ごさなければならない。到着と同時に旅行会社が組んだハードなスケジュールにより、朝早くから夜遅くまでの観光をする。夜中にホテルに着いた観光

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言葉の類似性kool エストニアの旅から

言葉の類似性kool エストニアの旅から

エストニアのタリン近郊の自然博物館を案内してくれた日本語ペラペラの現地ガイドさんが、学校をエストニア語でクール(kool)と言いますと教えてくれた。英語のスクールに似てますねと言うと、ちょっと微笑んで、似てますと言った。後で複雑な思いがした。在来語か外来語かということだが、学校という教育の根幹にあるものが、自国により創造されたものなのか、他の文明の影響で移入されたものなのか悩んだ。それは、文化的独

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「遠くに行きたい」を考える

「遠くに行きたい」を考える

「遠くに行きたい」というジェリー藤尾が歌った歌がある。同名の旅をテーマにしたテレビ番組の主題歌で、「知らない町を歩いてみたい」という歌が流れていた。この歌のように、人は、なぜ、遠くへ行きたいのだろう、知らない場所に行ってみたいのだろう。

人類が移住生活から農業という定住生活をするようになって、まだ1万年位である。危険はあるが、わくわくすることの連続である採集狩猟民から大変な労力を必要として、収穫

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人は不便で危険な旅に出る

人は不便で危険な旅に出る

海外旅行に行って、楽しい思いをして帰ってくるが、どの国に行っても住みたいと思うことはない。ある国は、キレイな街なみだが、冬は寒そうだし、自然が美しい国は、スーパーが遠くて生活しにくいし、豊かな風土で温暖な日本が一番良いと思う。

旅は、日常からの脱却、日常からの解放で、心がのびのびとしてくるが、それは、やはり旅だからだと思う。住むことと旅することは違う。旅に出ても、どこかにあるかも知れない幸せの青

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日本橋モンスターカーニバル

日本橋モンスターカーニバル

日本橋室町の大辻先生の診察が終わり、いつもの薬局で薬をもらった帰り道、福徳神社に寄り道した。福徳の森にはドラゴン・クエストのスライムやキラーパンサー等の数体のキャラクターが置かれていて、いつもとは違う雰囲気を醸し出している。

朝のテレビで、「ドラゴンクエストモンスター3」の発売を記念して日本橋室町でイベントがあると報道していたことを思い出した。これは日本橋の町おこしイベントなのだろう。コロナが収

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キヒヌ島の民族衣装クルト

キヒヌ島の民族衣装クルト

エストニアの離島キヒヌ島は、パルヌからフェリーで1時間と少しの場所にある、周囲16km程の小さな島である。

島の北東にある港に着いたら、現地ガイドのマーレさんがトラックで島を周ってくれた。2019年のこと、8月末とはいえ涼しい。皆長袖を着ている。ここでは、男性は、漁に出て数ヶ月家に帰らない。アザラシ漁が伝統的な漁業であったが、アザラシが保護対象になり、1980年代に漁が禁止されて、伝統的アザラシ

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観光は観光にすぎない

観光は観光にすぎない

課題

観光とは、その土地の光を観ることとされている。では、観光はその土地のよい面だけを見て、影を見ないので、観光からは、土地の真の姿を知ることはできないのではないか、というのがこの課題である。

海外からの旅行客が富士、桜、芸者、忍者に日本をイメージすることに可笑しさを感じるのと同様に、私たちも外国に歪曲したイメージを持っていて、それは観光がもたらしたものではないだろうか。

理由

観光が人々

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日比谷御門と外堀の関係

日比谷御門と外堀の関係

日比谷公園を日比谷通りから入ると石垣があり、その向こう側に心字池がある。江戸城の日比谷御門の跡というのだが、城の縄張りの中でどういう位置にあるのだろうか。

この疑問の前に、そもそもこの辺りの外堀の跡そのものが分かりにくい。
外堀の跡を左回りに歩くと、大手町から外堀通りに出て、日本橋川沿いに水道橋に至り、そこからJR総武線・中央線沿いの外堀に沿って行き、四谷から上智大学を見ながら左に曲がり、弁慶堀

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謂城朝雨と中国出張

謂城朝雨と中国出張

中国に出張したときに、ずっと私たち一行の通訳をしてくれた中国人のKさんから「日本人は漢字は読めますか」と聞かれた。漢字を使う日本人が漢字をどう読んで(発音して)いるのか不思議だったのかも知れない。日本人は、漢字を中国人が読むようには、読めない。音読みは当初は中国風の読み方だったのだろうが、時代とともに双方変わったようだ。日本は何度か漢字を取り入れたため、呉音、漢音、唐音と3種類の読み方をするように

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日常生活のなかの旅

日常生活のなかの旅

日常生活のなかに変化を求めれば、人生の旅人になれるのでは、とそんなようなことを考えた。

数年前にリフォームのため東京の真ん中の飯田橋に仮住まいしことがある。同じことを繰り返す日常から解放され、次々と新しいものに出会った。

近くにスーパーがない。まずスーパー探しから始めた。当初は後楽園前のドン・キホーテで用を済ましたことも。遠く小石川にあるスーパーのダイエーに行ったこともあった。そして、なんとか

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吉野ケ里遺跡の前漢鏡の銘文「久不相見 長毋相忘」

吉野ケ里遺跡の前漢鏡の銘文「久不相見 長毋相忘」

2012年の夏、吉野ケ里遺跡を訪ねた。熱い日だった。入口にあるミストのシャワーが火照った体を暫し冷やしてくれた。公園内をバスが走っていた。それに乗り終点で降りて、遺跡内を散策した。

いくつか印象的な光景が目を引いた。復元された楼閣や倉庫等があったが、そんな中で、あれっと思ったもののひとつが、環濠の堀と柵の位置関係だ。通常、城の堀と石垣の関係は、堀が外側にある。が、吉野ヶ里遺跡は、柵の内側に空堀が

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水天宮とのご縁 東京から久留米に

水天宮とのご縁 東京から久留米に

1 水天宮に安産祈願

東京三田の東京専売病院で、妻は長男次男を出産した。そこは赤羽橋の南側にあり、その頃は大江戸線赤羽橋駅がなかったので、日比谷線神谷町駅から歩いた。今は国際医療福祉大学三田病院に変わっているが、この辺り一帯に有馬藩上屋敷があった。錦絵にも描かれている藩邸内の火の見櫓と水天宮が江戸っ子に人気があった。約9mの高さを誇る火の見櫓は、有馬藩が大名火消しの任務を負っていたことによる。水

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エーゲ海クルーズの船内にて

エーゲ海クルーズの船内にて

エーゲ海の紺碧の色に魅せられたことがあった。そして、一度だけ短いエーゲ海クルーズをしたことがあった。もう数十年も前のことだからほとんどが忘却の彼方にあるのだが、行ったという思い出を形に残したい。何のために、初めての異国の地がギリシャだったから、新婚旅行だったから、そんな理由からだ。

それは、エギナ島、ポラス島、イドラ島の3つの島を巡る小さなクルーズだった。エギナ島ではギリシャ神殿の遺跡を見学した

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母の描いたモンマルトルの丘のサクレ・クール寺院

母の描いたモンマルトルの丘のサクレ・クール寺院

母の描いたサクレ・クール寺院を見ながら、新婚旅行で行ったモンマルトルの丘のことが思い出された。数十年も前のことなので断片的な記憶が残っているだけだが、ボソボソと話すように思い出がボソボソと蘇った。

春、肌寒いと思っていたら和らいだ日だった。セーヌ川沿いのホテルに泊まり、ツアーのフリーの日に夫婦でイエナ橋を渡りエッフェル塔へと歩いた。ふたりともスプリングコートをまとっていた。どこをどう行ったのか覚

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