たなかです

ぼくのりりっくのぼうよみを辞めてボルダリングにめちゃくちゃ取り組んでいます! http…

たなかです

ぼくのりりっくのぼうよみを辞めてボルダリングにめちゃくちゃ取り組んでいます! https://twitter.com/aaaaaatanaka

記事一覧

自由を棄てて、縛られる

ことさらに持て囃される概念のひとつに、自由がある。何かから解き放たれていること。縛られていないこと。あらゆる選択を、自分で行えること。自由をあらためて定義するの…

たなかです
8か月前
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死に接近する文化

久々に外岩に行ってきた。でかい岩を登りまくってきた。ボルダリングというのはそもそも、そのスペルがBoulder(巨岩,石ころ)ingであるように、岩を登るものである。それの…

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かさばる人々

冬場の人間ときたらとにかく嵩張る。ダウンやコートの重さがつねに肩にのしかかり、体積だって増えてしまう。なんでかわからないが冬になると荷物だって増える。気温が低い…

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暮らしを

暮らしを良くしたい、という気持ちがほとんどない。単調な暮らしを送っていることに焦燥感を抱いたりはするが、現在ある暮らしそのものに飽きたりすることはあまりない。 …

398

一番最初の推理小説 #日記

ってなんなんだろうとふと思った。ほんとうに最初に書かれた推理小説には新鮮な驚きと喜びがあったはずだ。アリバイという概念くらいは当然あったんだろうか? 巧妙なトリ…

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超のんびり、そして「お願い」について #日記

母方の祖母の家に帰って超のんびりしている。それでいうとまあ普段からのんびりしてるのだが、輪をかけてのんびりしているということだ。無限に寝ていた。返信しなければい…

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世界にひびを入れてしまえ

 無数の問題を抱えながら、今日も世界は回っている。明日も変わらずそこにあるんだろうと思っている。世界は自分が何をしようが変わらない。そういう意味で、世界は安定し…

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歌うという行為はあまりに奇妙で

あまたの芸術がある。絵画や彫刻、映像、踊り、小説、詩、すべてを列挙することは難しいが、とにかく無数のやり方がある。 そのなかで自分は詞を書いて歌うという行為に取…

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わたしはいつも一人だった。

わたしはいつも一人きりで立っていた。立ち尽くしていた。悠々と生い茂る緑に、美しい水をたたえる泉に目を奪われながら、わたしの周りには顔のない亡霊しかいなかった。目…

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あまりに簡単に生まれ、永く生きる言葉たちよ | 日記

Diosというバンドを結成した。その新曲の歌詞をずっと書いているのだが、なかなか進まない。書いては消してを繰り返している。これはぼくりりの頃にはなかったことなので、…

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ずいぶん永い眠りと評価することの意味、逃避行

ずいぶん長い間休んでいたような気がする。たなかになる前はぼくのりりっくのぼうよみというのをやっており、かれこれ4年くらいは熱心に活動していた。そして終わった。新…

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階段を降りろ

世間の波に流されたくない、俺は無知蒙昧な民衆とは違うんだ。あいつらは何も考えていない。誰かに指し示された流れに従うだけなんだ。そんな思考停止人間にはなりたくない…

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たなかの読書感想文#1 安部公房「砂の女」

中学生の頃かな?父親に手渡された本が安部公房の「箱男」だった。どういう意図だったのかはわからない。なにか大事な教訓を得させようとしたのか、単に趣味を共有したかっ…

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砂浜に描いた線は、波にさらわれ消える。

こんにちは、ホテルに泊まるとなんだかそわそわして寝付けなくなるたなかです。一昨日は鎌倉の歴史ある古民家をまるまる使って同時多発的に展開する不思議な舞台(オンライ…

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美意識の奴隷であり続けること、あるいは白線を踏み外すと死ぬアレ

たなかです。noteを毎日書くぜ!と思っていましたが早速何日か空いてしまいました。まあそんなものです。高い目標をもってエンジン全開!!みたいな感じで早々に挫折するより…

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自分から型にはまっていく、という善

長い文章が書けない!最近の悩みはもっぱらこれで、頭のなかには誰もが驚き感動し涙が止まらなくなる一大スペクタクルがどどんと鎮座しているのだが、どうにもこうにも表に…

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自由を棄てて、縛られる

自由を棄てて、縛られる

ことさらに持て囃される概念のひとつに、自由がある。何かから解き放たれていること。縛られていないこと。あらゆる選択を、自分で行えること。自由をあらためて定義するのならだいたいそんなところだろう。

しかし実際のところ、自由は、もう終わっている。おれは自由になったところで何も成し遂げられない。無限に広がる草原に寝転がって、太陽に焼かれることしかできなかった。何をしてもよい、もちろん何もしなくてもよい。

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死に接近する文化

死に接近する文化

久々に外岩に行ってきた。でかい岩を登りまくってきた。ボルダリングというのはそもそも、そのスペルがBoulder(巨岩,石ころ)ingであるように、岩を登るものである。それの模倣から派生したのが現在流行っているボルダリングジムであり、たなかが週に3回くらい通っているやつである。

そしてこの前、3年ぶりくらいにほんとうの岩を触りに行った。御岳という都内にある山で、さまざまな岩があり、さまざまな課題(

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かさばる人々

かさばる人々

冬場の人間ときたらとにかく嵩張る。ダウンやコートの重さがつねに肩にのしかかり、体積だって増えてしまう。なんでかわからないが冬になると荷物だって増える。気温が低いというだけで、生きることははるかに面倒になる。

電車に乗るのもちょっとした仕事くらいの疲労感がある。膨張した人間たちが狭い箱に押し込められ、運搬される。Amazonで買った商品がプチプチに包まれてうちに届く光景を連想せずにはいられない。荷

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暮らしを

暮らしを

暮らしを良くしたい、という気持ちがほとんどない。単調な暮らしを送っていることに焦燥感を抱いたりはするが、現在ある暮らしそのものに飽きたりすることはあまりない。

ここではないどこかに行きたいという気持ちもほとんどない。柔らかく伸びる海岸線を切り取る車窓はもちろん歓ばしいものだが、わざわざ日程を組んで旅行する気力は特にない。

同じもの/ことを繰りかえすことに心地よさを感じる。新鮮な光景への欲望がそ

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一番最初の推理小説 #日記

ってなんなんだろうとふと思った。ほんとうに最初に書かれた推理小説には新鮮な驚きと喜びがあったはずだ。アリバイという概念くらいは当然あったんだろうか? 巧妙なトリックを仕掛ける犯人とそれを見破る探偵という構図が変わらずあったのか? 新しいジャンルの創造というのはとてつもないことで、きっと最初はある種の気まずさみたいなものがあったんじゃないかと思う。作者にも読者にも。新たな世界との遭遇を果たしたときの

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超のんびり、そして「お願い」について #日記

超のんびり、そして「お願い」について #日記

母方の祖母の家に帰って超のんびりしている。それでいうとまあ普段からのんびりしてるのだが、輪をかけてのんびりしているということだ。無限に寝ていた。返信しなければいけないLINEがあるのでその中身を考えたりしている。まだ告知はされていないがプロデュースを担当させてもらっている仕事があり、水面下でじわじわと動いているのだ。

基本的に自分には実務の能力があまりないので、誰かに何かのお願いをしなければもの

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世界にひびを入れてしまえ

世界にひびを入れてしまえ

 無数の問題を抱えながら、今日も世界は回っている。明日も変わらずそこにあるんだろうと思っている。世界は自分が何をしようが変わらない。そういう意味で、世界は安定していると言っていい。沢山の輝きを閉じこめた球体。
 安定した世界の表面はなめらかで艶を帯びている。俺はそれを机の上に載せて眺める。両手でそっと触れて、持ち上げる。奥まで見えるほど透き通っているし、同時に深く濁った何かが渦巻いてもいる。沢山の

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歌うという行為はあまりに奇妙で

歌うという行為はあまりに奇妙で

あまたの芸術がある。絵画や彫刻、映像、踊り、小説、詩、すべてを列挙することは難しいが、とにかく無数のやり方がある。
そのなかで自分は詞を書いて歌うという行為に取り組んでいるのだが、歌は、とても、奇妙だ。

自分の部屋の机に向かい、DAWを開き、音量を調整して、C414に向かって歌う。納得いくテイクが出るまで何度も歌ってはそれを録る。
DAWというのは、デジタル・オーディオ・ワークステーションのこと

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わたしはいつも一人だった。

わたしはいつも一人だった。

わたしはいつも一人きりで立っていた。立ち尽くしていた。悠々と生い茂る緑に、美しい水をたたえる泉に目を奪われながら、わたしの周りには顔のない亡霊しかいなかった。目に映るものすべてが美しかった。すべてを愛していた。そこに嘘はないと断言できた。
真上からそそぐ太陽は暖かくわたしを包んでくれたし、その光を反射した水面のきらめきは不規則に揺れる葉に翳って、わたしを魅了した。
わたしは只管歩いた。この感動を誰

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あまりに簡単に生まれ、永く生きる言葉たちよ | 日記

Diosというバンドを結成した。その新曲の歌詞をずっと書いているのだが、なかなか進まない。書いては消してを繰り返している。これはぼくりりの頃にはなかったことなので、その変化が新鮮で面白い。

これはどこから生じた変化なのかというと、ソロからバンドになったことが一番の要因だと思われる。自分はバンドの一部だし、バンドは自分の一部でもある。だけど、バンドは自分じゃない。メンバーやスタッフで作り上げていく

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ずいぶん永い眠りと評価することの意味、逃避行

ずいぶん永い眠りと評価することの意味、逃避行

ずいぶん長い間休んでいたような気がする。たなかになる前はぼくのりりっくのぼうよみというのをやっており、かれこれ4年くらいは熱心に活動していた。そして終わった。新しくDiosという名前のバンドを始めた。

ものごとには大体終わりがくる。終わらないと始められないから、当たり前のことだ。睡眠はきっとそのためにある。漫然とつづく連続を眠りで強制的に切断することで、一日という単位が生まれる。終わると、評価す

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階段を降りろ

階段を降りろ

世間の波に流されたくない、俺は無知蒙昧な民衆とは違うんだ。あいつらは何も考えていない。誰かに指し示された流れに従うだけなんだ。そんな思考停止人間にはなりたくない。なってたまるものか。だから、俺は奴らとは逆のことを信じる。

……。

それでは何も変わらない。一歩降りなくてはならない。階段を降りることが必要だった。ひとつひとつの事柄が起きている階段から、知らない間に上がってしまっていた。観察者の視点

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たなかの読書感想文#1 安部公房「砂の女」

たなかの読書感想文#1 安部公房「砂の女」

中学生の頃かな?父親に手渡された本が安部公房の「箱男」だった。どういう意図だったのかはわからない。なにか大事な教訓を得させようとしたのか、単に趣味を共有したかったのか。他にも小説をレコメンドされた記憶があるような気がするが、作品名を覚えていないので特に刺さらなかったんだと思う。

まあとにかく、自分にとって「箱男」はなにか特別な意味が付与された小説として存在している。それは小説の中身とは別の、自分

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砂浜に描いた線は、波にさらわれ消える。

こんにちは、ホテルに泊まるとなんだかそわそわして寝付けなくなるたなかです。一昨日は鎌倉の歴史ある古民家をまるまる使って同時多発的に展開する不思議な舞台(オンラインで鑑賞する)に主演で出演してました。
前日の早朝から全体リハだったので、前々日から前乗りしてすこし不思議なホテルに泊まった。

んで例のごとくうまく寝付けなかったのですが、そういう時はぐるぐるといろんなことを考えてしまうので、せっかくなの

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美意識の奴隷であり続けること、あるいは白線を踏み外すと死ぬアレ

たなかです。noteを毎日書くぜ!と思っていましたが早速何日か空いてしまいました。まあそんなものです。高い目標をもってエンジン全開!!みたいな感じで早々に挫折するよりも、のんびり低空飛行を続けていたほうが気づけば遠くにいけてたりします。

そもそも今のぼくがどこに向かって飛んでいるのかというのはめちゃ謎なのですが、まあ人生はとにかく移動することが大事ですのでね、今日もやっていこうと思います(この話

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自分から型にはまっていく、という善

長い文章が書けない!最近の悩みはもっぱらこれで、頭のなかには誰もが驚き感動し涙が止まらなくなる一大スペクタクルがどどんと鎮座しているのだが、どうにもこうにも表には出てこない。

書きたいものはいくつかあって、とりあえず小説がやりたくてこの前ようやく書き始めたのだが、なんかすぐに筆が止まってしまった。他には、現在の自分の思想を文字にして残しておきたいなと思っている。思想と呼べるほど大層なものじゃない

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