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【勉強系30】ビジネスマンが組織論・組織行動論を学びたいときのオススメ書籍10選(経営学書籍紹介)

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是非御覧ください。


はじめに

経営学の中でも経営戦略と同じくらい知名度がある「組織論」の分野。
しかし、その実態はとても学際的(複数の学問領域にまたがる分野)で、捕らえ所のない学問です😱
それゆえに難易度も若干高めです。

テキストや論文等で勉強しても、ふわっとした知識だけが入るだけで終わります。
実際に実務で使える知識かと言われると…
かなり怪しいです🤣

でも、知っていることによってヒントが得られることも確かです。
組織論の理論で考えるとこういう仮説が成り立つのでは?という思考の助けにはなると思います。

また、過去に起こった失敗事例等の研究をすることで、自組織の失敗を未然に防ぐこともできるかもしれません。
そのため、組織論を学ぶことにはある程度の意義があります。

そこで今日は、組織論の分野を学べる書籍を10冊ほどご紹介したいと思います。
若干難易度の高いものも含まれますが、読んでおくと何か学びがあるかもしれません😁


【組織論の分野の話】

書籍をご紹介する前に、組織論について少し学んでいきましょう!
組織論は、前述のとおり、複数の学問領域にまたがる学際的な学問です。
主なものでいうと、社会学、心理学、経済学、経営学などの分野でそれぞれ組織に関する研究がなされています。

着目する視点が異なるので、それぞれ名称が異なります🤔

例えば、単なる「組織論」と記載されている場合は、主に組織の構造的側面に着目した理論が多いです。
どういう組織構造にすればいいのかという点です。
ただ、その中でも組織の管理に着目した研究の場合、「経営管理論」「経営組織論」という名称になったりします。

また、組織の構成員の心理及び集団心理に着目した場合は「組織心理学」という名称になりますし、組織心理学の中でも産業分野に特化したものを「産業組織心理学」といったりします。
そして、行動の傾向や特徴などにも着目したものは「組織行動論」と呼ばれることがあります。

さらに、組織の中の様々な利害関係を経済学的に解明しようとする研究分野があり、その分野は「組織経済学」などと呼ばれたりします。

名称は様々ですが、それぞれの研究分野にはある程度重なる部分があって、それぞれが密接に関連しています。
そのため、私の中ではこれらすべてが「組織論」に包括されるものだと考えています。
どんな名称を使おうが組織について研究していることには変わりがないですからね。

そのため、組織論の中にいろいろなジャンルがあるのだと考えた方がわかりやすいでしょう😁
心理学を中心とした組織論は、組織心理学や組織行動論
経済学を中心とした組織論は、組織経済学
経営学を中心とした組織論は、産業組織論や経営管理論
そういうふうに覚えると全体像を把握しやすいと思います。

学者の皆さんからの異論はあると思いますが、そう考えた方が素人にはわかりやすいでしょう。
学問研究者にとっては「あそこと一緒にするな!」とかいろいろあるでしょうけど、このnoteはあくまでも実務で役に立つことを主眼としているので、お許しください🙇‍♂️

読者の皆様は、組織論には様々な分野があって、それぞれの分野で名称が違うよということだけわかっていればOKです👍


【入門編】

では、書籍紹介に移っていきましょう!

私は、新しい分野の勉強をする際は、とりあえず入門書をいっぱい読むことをオススメしています。
入門書は高校生が読んでもわかるように書かれていることが多いので、社会人であれば誰もが読めるレベルに抑えられています。

そのため、入門書を複数冊読み漁っておけば、その分野の概要、歴史、重要論点、重要理論等がざっと学べるのです。
その上で興味のある分野を深めていけば良いと思います😁

なので今回の書籍紹介は入門書多めです。
そして、組織論と組織行動論(心理学要素多め)に分けてご紹介していきます。



【組織論入門書】

1.はじめての経営組織論


著者:高尾義明教授
東京都立大学大学院経営管理研究科教授
京都大学博士号(経済学)


2.よくわかる組織論


著者:田尾 雅夫
京都大学名誉教授
京都大学博士号(経済学)


3.組織論 有斐閣アルマ


主な著者:桑田耕太郎、田尾 雅夫
桑田教授は、東京都立大学大学院教授



組織論といえばこの3冊かなと思います。
田尾教授の本を読んでいればとりあえず基礎的なところはバッチリです😁

それにしても、組織論の有名テキストの著者は京大出身の先生が多いんですよね。
上記1・2においては、著者二人共京都大学で経済学博士号を取得しています。

もしかしたら京大は組織論(経済学より)が強いのかもですね。
あ、組織論「も」ですね。
京大は全般的に学問に強い大学なので😱



【組織行動論入門書】

4.はじめての組織行動論


著者:開本浩矢
大阪大学大学院経済学研究科教授
経営学博士号(神戸大学)


5.組織行動 組織の中の人間行動を探る


主な著者:鈴木竜太、服部泰宏
鈴木教授:神戸大学大学院経営学研究科教授、経営学博士号(神戸大学)
服部教授:神戸大学大学院経営学研究科准教授、経営学博士号(神戸大学)



組織行動論についてはこの2冊で十分かと思います。
組織論の入門書に書かれている論点も記載されていると思いますが、それを心理学的側面から解説してくれていたりするので興味深く読めるかもしれません😁
両方に出てくる論点はより重要度の高い論点ということです。

ちなみに、組織行動論については神戸大学が強いんですよ。
有名な学者さんや若手の研究者で名前が上がってくる人の神戸大学出身率は高めだと思います。
もしかしたら組織行動論専門の研究室があるのかも?
なお、神戸大学は経営学全般に強い大学として有名です。
たしか日本で一番最初に経営学部を作った大学だったような気がします🤔(たぶん)


【中級~上級】

上記の入門書を楽しく読了した後は、若干難しい内容の書籍も読んでみましょう!
ただし、上記入門書で「これは自分には合わないな」と思った方はこれ以降で紹介する書籍を読む必要はございません。

組織論は好き嫌いがかなり分かれる分野です。
抽象度が高く、人間の心を扱う部分が多いので理論が実践で役に立つかどうかはその人のマネジメント能力次第なところがあります。
どんなに素晴らしい理論でも、他人に関心がない人では活かせません。

そのため、人間という生物に興味があり、他人の心を理解した上でマネジメントを行いたいという方だけお読みいただければよいかと思います。



6.学習する組織



組織論が好きな方はほぼ全員が読了済みだと思いますが、一応ご紹介しておきます!
ピーター・M・センゲ (Peter M. Senge)教授の書籍で、ベストセラーにもなっているので、かなり有名な書籍です。
センゲ教授は、マサチューセッツ工科大学(MIT)経営大学院の教授で、現在は上級講師という役職に就いています。

この書籍では、組織学習という分野を主に扱っていますが、この「組織学習」というテーマがここ10年くらいの大きなトレンドで、組織の学力(学習力)をどれだけ高められるかが好業績を出し続けるカギだと考える学説です。

その方法論を説いた書籍なのですが、海外書籍あるあるで非常に読みづらいです🤣
本文がそもそもおかしいのか、翻訳が難しかったのかはわかりませんが、もっと短くわかりやすく書けたでしょ!と思える部分が多々あります。
ただ、重要なところだけを要約すれば役に立つ理論ではあると思うので、一度読んでみると良いかもしれません。



7.組織行動の考え方



続いては、こちら!
皆さんは「一橋ビジネスレビュー」という雑誌をご存じですか?
東洋経済で出版されている雑誌です。

経営学大好き人間はたまに読んでいるかもしれませんが、おそらくマイナーな雑誌です。
一橋大学の研究者がよく連載を担当している雑誌ですが、この書籍も一橋ビジネスレビューの連載を書籍化したものです。

主な著者は、金井寿宏 教授(神戸大学名誉教授)高橋潔 教授(立命館大学総合心理学部教授)のお二人です。

一般向けの雑誌に掲載されていた連載なので、学術書特有の堅苦しさは若干抑えられています。
組織行動論をちょっと深めに学んでみたい、考察してみたいという人には最適な書籍だと思います。
入門書で基礎的な論点を抑えておけば更に深く理解できるので中級者向きです😁



8.組織行動論の考え方・使い方



こちらの書籍は服部泰宏 准教授(神戸大学大学院)の作品で、服部教授は多分今40歳くらいだと思うので、研究者の中では若手です。
40歳で若手というのは皆さんにとっては違和感があるかもしれませんが、40歳は全然若手です🙄
しかも、有名な国立大学院の准教授に30代の頃になれている時点で凄いので、服部教授は若手の有力研究者の一人ではないかと思います。

組織行動論の2020年時点の最先端がある程度学べる書籍です。
若干難易度は高めなので中上級レベルだと思います。




9.組織の経済学



今回ご紹介する書籍の中で難易度は最高レベルです🙄
元々経済学って難易度が高いんですよね。
そもそも文系の学問というよりは理系に近い学問で、数学や数式を多用する学問です。
こちらの書籍も数式を用いて説明されています…
その時点で9割くらいの読者が読めないかもしれません。

頑張ってわかりやすく書いてくださってはいますが、最後まで読了できる人は10%いるかどうか…
その上で実務で役に立つかは怪しいという感じです😁

経済学が実務で役に立つことって少ないですからね。
役に立たせられるまで学ぶこと自体が難しいので。

でも、名著であることは間違いないですので、数学が好きだった人は是非読んでみてください。
なお、著者は以下の3名です。

伊藤秀史 教授(早稲田大学ビジネススクール)
小林創 教授(関西大学経済学部)
宮原泰之 教授(神戸大学大学院経営学研究科)




10.知識創造企業(新装版)



最後はこちらの書籍です。
ある意味、難易度は上記の組織の経済学と同レベルです。
抽象度が高く、かつ、理解が難しいです。

著者は日本の経営学者の最高位にいる野中郁次郎 教授竹内弘高 教授の両名です。

お二人の説明は不要だとは思いますが、念のためご紹介させていただきます。

野中郁次郎先生は、一橋大学名誉教授で、SECIモデルの生みの親です。
博士号(経営学)はカリフォルニア大学バークレー校で取得されています。
SECIモデルは組織論の中でも最も実践難易度が高いモデルではないかと個人的には思っていますが、言わんとしていることは実務的にも理解しやすく、かつ、有効だろうと思われる理論です。
上記書籍は主にこのモデルのことが記載されています。

組織の中で「知識」をどのようにしてマネジメントしていくのか、どう活用していくのかについて研究する「知識経営」というジャンルを作った先生です😁
形式知・暗黙知というたまにビジネスでも使われる言葉を作ったのも野中先生です。

一方で、竹内弘高先生は、同じく一橋大学名誉教授であり、かつ、ハーバード大学経営大学院教授です。
元々はMBAだけを獲りにカリフォルニア大学バークレー校に行ったそうですが、在学中に野中教授と出会って研究者を志したそうです🤔
運命の出会いというやつですね。
現在は国際基督教大学理事長をされています。

この2人が書いた書籍ですから、簡単なわけがないですが…やはり難しいですSECIモデル!
一度読んで理解したつもりになることは簡単なのですが、実践となるとほぼできないと思います。
この理論が提唱されてから20年以上が経っていますが、未だに企業は組織内の知識を上手く管理できていませんし、個人が持っている「ノウハウ」の多くを組織内に落とし込めておりません。

極めて難しい分野を研究している書籍と言っていいと思います。
だからこそ価値があるし、現にこの書籍(元々は1995年に英語で発表された論文)は多くの学術論文で引用され、各種の賞も受賞しています。

会社の経営者、組織を統括する立場のすべての人がSECIモデルをある程度理解すべきだと思います。
もし実践レベルまで落とし込めたら、その組織はほぼ勝ちです😏



おわりに

今日は組織論に関する書籍を10冊ほどご紹介させていただきました。
組織論は幅広い学問なので、細かい分野まで分けると多岐に渡るのですが、とりあえずは組織論と組織行動論と組織経済学の基礎をそれぞれ学んでおくとある程度概要を理解できるようになると思います。

もしここでご紹介した書籍だけでは物足りない!という猛者がいらっしゃれば、是非大学院で研究をしてみることをオススメいたします。
海外の大学院の方がリターンが大きくなりやすいので、お金に余裕のある方はそちらをご検討ください。

ではまた次回!


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【著者情報】

著者:瀧田 桜司(たきた はるかず)
役職:株式会社WARC 法務兼メディア編集長
専門:法学、経営学、心理学
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