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映画「世界最速のインディアン」夢の追い方と豊かに生きる哲学を学ぶ

「あぁ、人生の答えを見せられた気がする…」

観終わった後の正直な感想です。「世界最速のインディアン」は実話をベースにした心温まるヒューマンドラマです。最近改めて観てその素晴らしさを再認識しました。

インディアンと言ってもアメリカ原住民のインディアンの話ではありません。インディアンとはバイクの名前。

「自分のバイクが世界最速だ」と豪語する一人のおじさんが夢に挑戦するロードムービーです。人生の教訓がぎっしり詰まったこの作品の魅力を見ていきましょう。

「世界最速のインディアン」とは

ニュージーランドの小さな町に住む63歳のおじいさんバート・マンロー。無類のバイク好きの彼の夢はスピードの聖地で世界最速記録を作る事。その聖地は地球の裏側のアメリカ・ユタ州ボンヌヴィル。マンローは家を抵当に入れ全財産を投げ打ってレースへのエントリーを決意する。レースに出る以前に、潤沢ではない手持ちのお金で地球の裏側までバイクを運んで行けるのか。その道中、数々の苦難が。果たしてバートの夢は叶うのか?

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2005年公開のこの映画。当時スクリーンで見て心から感動したのを覚えてます。主人公を演じるのはアンソニー・ホプキンス。1962年、バート・マンローが初めてボンヌビルの塩平原(ソルトフラッツ)に挑戦した実話を元に、ニュージーランド出身のロジャー・ドナルドソン監督が30年間あたため続けた企画を映画化した作品です。

30年の時を経て世に生まれるモノには情熱が宿り重みがあります。素晴らしい作品に仕上がっているなと、今見ても全く廃れない凄さがあります。

この映画のココがすごい

人に支えられながら生きる素晴らしさ
時代は1962年。63歳のおじさんが一人で地球の裏側に行くだけでも大変な時代です。案の定トラブルが続出しまくります。それを一つ一つ問題解決していくプロセスにはバートを取り巻く人々の協力があります。

バートは、とにかく憎めないキャラクターで数々の非常識な行動も、屈託のない笑顔と無邪気な人柄で周りから許されてしまうタイプ。60を超えているのに少年のような彼は、社会の常識より自分の中のマイルールを大切にしながら生きています。

そのキャラクターから「しかたねーな、おっさん。俺が何とかしてやるよ」と次々に協力を引き出します。言い換えると63歳にして男性からも女性からもモテまくるのです。そのためにバートがやっている事があります。

①自分の名前を名乗り握手する
②自分がしたい事をストレートに言う
③困っている人を助ける

何度も名前を名乗るシーンがあるのですが、バートがマイルールの中でブレずに生きている象徴的なシーンです。しっかりと自己紹介する。人間関係の基本中の基本ですが、疎かにしがちですね。名前の力を改めて感じます。

そして「情けは人の為ならず」。人を助けると恩返しが自分に返って来ます。急いでいる旅の道中でも人助けをしてはそれ以上の協力を得て目標に一歩一歩近づく。そのプロセスにとても心が温まります。

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知恵と工夫で問題解決する
作品の中では今の情報社会では考えられないようなトラブルが連続します。なんせバートは出場規約ひとつ読まず事前登録もせずに、泊まる場所も決めず、全財産をはたいて地球の裏側を目指します。かなり向こう見ずな大胆な人ですが、レースに出るという気概は本物です。

そんなバートはどんな問題が発生しても逃げません。自分で考え、知恵と工夫で解決していきます。バイクを運ぶキャリアまでもとんでもない方法で現地調達していきます。常識で考えると「そりゃ無理だ」と思う事も、できない理由を考えるのではなく、できるために今何がやれるのかを考え抜く姿勢は学ぶところが多いです。

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自分の人生を肯定する
人の人生は有限です。バートにとってそれを自覚したのは「狭心症」を告げられた瞬間です。でもそれは自然なことだと彼は言います。

「人間の一生は草に似ている。春が来ると元気に伸びて中年を迎えて実り、秋風が吹くと枯れ尽きてもう生き返らない。死んだらそれで終わり。昔からそう思っている」

このセリフはあるがままを肯定して生きるバートの人生哲学です。だからこそ、自分の命の限界を悟ったとき、すべてを投げ打ってレース出場を決意できたのかもしれません。

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夢は人も周りもイキイキさせる
この映画の中のバートは63歳。でもバートの心は少年のときのまま。かたくななまでに夢を追い続けています。

「夢のない人間は野菜と同じ」
「このマシンでスピードに挑む時は、5分が一生に勝る。 一生よりも充実した5分間だ」

バートの中では夢を追う事が価値観の中心にあります。夢の実現に向けて自分を追い込むことが生きる充足感につながっています。そのひたむきさが最終的には感動のラストに繋がっていきます。

そして、そんな夢に生きるバートは周りの人々をもイキイキさせていきます。個人の夢は伝染して、多くの人を幸せにするという幸せの連鎖を感じさせてくれます。

観終わった後「君は夢を持っているかい?」と問われているような感覚を覚えます。

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疾走する爽快感
主人公が駆るマシン、インディアン・スカウトの爆走シーンもこの映画の魅力です。道中、いろんな所をぶつけながらボンヌビルに向かうインディアン。観ている側もこのインディアンに愛着が宿っていきます。

流線型のハイテクマシンが続々と走る中、おじいさんが跨がるレトロ極まりない一台のバイク。場違い感満載のインディアンが疾走するシーンはギャップの効果からとてつもない興奮に包まれます。抜群の疾走感描写は飛び切りの爽快感を届けてくれます。

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まとめ

「世界最速のインディアン」はとにかく爽快で、カッコよくて、ホロリと泣かされ、優しい幸福感にあふれる傑作です。人生の教訓が詰まった生き方の指南書のような映画です。

本作品の監督、ロジャー・ドナルドソンは、30年間もこの作品のアイディアを練り、バート本人のドキュメンタリーも制作したほどバートに魅了された人物です。

そして、彼が映画学校時代に共に学んだメンバーがそれぞれにキャリアを積み、再結集して作り上げた作品です。その製作陣の友情と情熱込みでこの映画を見ると、さらに感慨深いものがあります。

この映画の根底に流れるのは「人が人に惚れ込む」という事。作中では登場人物がみなバートに惚れ込んでいきます。そんな映画を、実際のバート・マンローに惚れ込んだ監督が、友情に惚れ込んだ旧知のメンバーで作り上げた情熱の結晶です。

さらに、エンドロールに流れる言葉で驚愕の記録が明かされます。その瞬間、感動が倍増する事間違いなしです。これほど実話というものが感動の説得力になっている映画は珍しいかもしれません。

この連休最終日。全国的に天気が良くない模様ですが、自宅で是非観賞されてはいかがでしょうか。きっと人生に必要な何かに出会えると思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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