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がんばって、大人になって
読み終わったとき、この世にこんな物語があったのかと思い、同時にこの世にこんな物語を書ける人がいるのかと思う本。
それがかがみの孤城である。
私は小中高大と学校に通ってきて、いじめられたことや学校に行けなくなった経験はない。
平々凡々、ネットで「普通の人生」と検索したら、私の人生が紹介されていてもおかしくないような道を歩んできた。
ただ学生時代の苦い思い出といえば、スポーツと恋愛だ。私はこの2つ
愚者のエンドロール/米澤穂信〜読書感想文〜
神山高校の特別棟4階、その端っこにある
"古典部部室"。
今日も部員である折木奉太郎、千反田える、福部里志、伊原摩耶花はこの部室でそれぞれの色の青春を謳歌していた。
2年F組が自主制作したミステリ映画の試写会に行ったことをきっかけに、彼らの青春はまたしても、複雑な色に混ざり始める。
試写会に行きましょう!そんなえるの一言から、物語は始まる。
彼女の先輩にして幼い頃から家同士での付き合いもある
カラスの親指/道尾秀介〜読書感想文〜
詐欺を生業にして生きる、2人の中年男性がいた。
ひょんなことから彼らの生活に、色白で可憐な少女が加わることとなる。
さらにはその少女の姉、姉の恋人、変わった柄をした仔猫が加わり、いつのまにか5人と1匹に。
そんなみんなで楽しく平和な詐欺師ライフを送って生活、、なんてできるわけもなく、彼らの生活を脅かす"ある存在"が現れた。
見た目も特技もすべてバラバラ。
しかし出自を辿れば粒ぞろいのこのメ
傲慢と善良/辻村深月〜読書感想文〜
30歳をすぎた男女が、結婚相手が見つからずに焦っている。
それだけ言ってしまえば
「なんだそんなこと。よくある話だ」
「30歳なんてまだまだ若いよ」
という意見が聞こえてきそうだ。
では、その男女が
婚活で出会っている、いわば結婚前提のはずの2人組だとしたら?
恋愛に疲れ切っているのに、どうしても今の相手との結婚には踏み切れないでいるとしたら?
さらにはその相手が、忽然と姿を消したとしたら?
これは果たして記事なのか
いやもう、タイトルの通りである。
私は今記事を書いている。
しかしこれは本当に記事なのだろうか?
言っている意味がわからないかと思う。
ちゃんと説明しよう。
実は先日、noteからこのような通知が来た
なんて魅力的なことを言ってくるんだ。
こんなんもう書くしかないじゃん。
連続投稿3ヶ月って、人によっては当たり前のことかもしれないが私からしたらかなりの成果だ。
というのも私は普段、読書感
2022年秋、本だけで給料爆散〜小噺〜
こんにちは、暦です。
本日はちょっとした小噺をひとつ。
2022年9月、今この時になって欲しい本がめっちゃあります。
というのもぼくが推してる作家さんたちがこぞって新作や文庫版を出しまくってるからです。
ほんとに豊作です!!
もともと楽しみにしていた本から、売られることを知らずに書店で見て驚いたものまで多数!
ラインナップはこちら!
読みたすぎる。
とくに②!
大ファンである辻村深月さ
ペッパーズ・ゴースト/伊坂幸太郎〜読書感想文〜
悲観と楽観、教師と生徒、能力と暴力、猫と野球…
父の言葉、母の想い、自分の理想、だれかの期待、司会の煽り…
先行上映された猫を2人組の殺し屋で創作小説し、国語教師がニーチェのカンフーをヘディング…
私は今、なにを読んでいる??
とにかく、私は、他人の未来が見えるんです。〜檀千郷〜中学校国語教師の檀千郷。
彼は、ある条件下で他人の明日が少しだけ見える特殊能力を持っている。
父から受け継いだ
猫のお告げは樹の下で/青山美智子〜読書感想文〜
失恋した相手を忘れられない美容師
中学生の娘と仲良くなりたい父親
なりたいものが分からない就活生
夢を諦めるべきか迷う主婦…
なにかをしたい。でもなにをすればいいかわからない。そんな想いを持つ人々が、ふらっと訪れるとある神社。
お尻に星のマークがついた猫、「ミクジ」から渡されたお告げで、彼らは自分自身の世界を変えていく。
悩みと劣り恋、お金、友人、家族、仕事
人が悩む理由なんていくらでもあ
ソロモンの犬/道尾秀介-読書感想文-
天気予報にもなかった突然の土砂降り。
雨宿りのために、秋内はカフェに立ち寄る。
マスターにコーヒーを注文し、旧型のテレビを眺めた。
ニュースが流れている。
ちらつく画面でも、口の動きだけで何を言っているのかわかる。
秋内には、わかる。
するとそこに、大学の同級生である京也、ひろ子、智佳が偶然にも来店した。
4人でテーブルを囲むと、京也が囁く。
なにも言葉を返さないひろ子、智佳に代わって、
マリアビートル/伊坂幸太郎〜読書感想文〜
東京駅から北上する東北新幹線。
車内では〈殺し屋〉たちによる静かな死闘が繰り広げられていた。
幼い息子の仇討ちを企てる、元殺し屋「木村」。
優等生の裏に悪魔のような心を隠し持つ中学生「王子」。
闇社会の大物から密命を受けた、腕利きの二人組「蜜柑」と「檸檬」。
とにかく運の悪い、気弱な殺し屋「天道虫」。
狙う者と狙われる者が交差する車内。
新幹線という限られた空間で、〈殺し屋〉たちの運命が動きだ
氷菓/米澤穂信〜読書感想文〜
岐阜県のとある進学校・神山高校。
珍奇な部活が多く、毎年の文化祭に全力を入れている、曰く"普通の学校"。
特別棟4階の端にあるのは古典部部室。
4人の高校1年生が、今日もここを舞台に
薔薇色か、あるいは灰色の高校生活を謳歌する。
やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことは手短に。上記をモットーにかかげるのは
主人公・折木奉太郎。
同校の卒業生でもある姉・折木供恵の勧めで、
ただいま神様当番/青山美智子〜読書感想文〜
「わし?わし、神様」
「お願いごと、きいて」
目の前に謎の老人が現れ、突然そう言われたら。
しかもじぶんの腕にデカデカと神様当番なんて文字が書かれていて、お願いごとを聞かないとそれが消えないと言われたら。
私ならたぶん、「なんで自分ばっかり!」なんて言って、すごく落ちこむ。
何かが欲しい、誰か。1番目の主人公・水原咲良。
彼氏はおらず、友人は結婚し、合コンに呼ばれてもあくまで数合わせ。
大好
琥珀の夏/辻村深月 〜読書感想文〜
夏と言われれば、何を思い浮かべますか?
という質問を、過去に何度かされたことがある。
私は去年から、この質問に「琥珀の夏だ」と答えることにした。
夏の終わりを感じたときの、あのなんとも言えない切なさ。
この後の人生、あと何十回も夏を体験するだろうに、まるでもう二度と会えないものとの別れ告げるかのような寂しさ。
その寂しさを感じる前に、
夏がまだまだ終わらないうちに、
琥珀の夏を読みたいのだ
読書感想文 "medium 霊媒探偵 城塚翡翠"
ああ、ぼくは今いい本を読んだんだな。
感想を一文で書くならこれだけで十分だ。
本を読み終わり、閉じ、裏表紙のあらすじを改めて読む。話の内容を全て知ってから読むあらすじは、また一味違う。
それからもう一度表紙を見直す。
本を閉じ、あらすじを読み直し、表紙を眺める。
この一連の動きは、読書に満足したぼくがよくとる行動だ。
本格ミステリが好きなぼくにとって、タイトルの時点で「霊媒」と入っているとど