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ペルー編2:Central 母なる世界メニュー前編

ペルー編2:Central 母なる世界メニュー前編

昨年夏から岡山、富山、ソウル、ハンガリー、沖縄・コザ、スペイン・ガリシア、バスク、イスタンブル、中国・佛山、ベトナムと出張や旅が途切れなく続いた。更に年末には11冊目の著書『マージナル・フーディー・ツアー』が刊行となった。そのため前回の投稿から半年も間が空いてしまったが、ペルー・リマのレストラン「CENTRAL」の食べ歩き記事を再開しよう。同店は2023年のThe World's 50 Best

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おもてなしのルール 2月27日(月)

おもてなしのルール 2月27日(月)

知人を通じて出会った方をお招きした。お招き…といっても「うちでお昼一緒に食べませんか?」といったごくカジュアルなお誘い。

おもてなしのときに、ひそかにルールにしていることがある。

それは「買い物をしないこと」。

つまり、あるもので作る。

料理はシンプルに、いつも通りに作るのがやっぱりいい。つい「せっかくだしカツオのタタキを買いに行こうか…」とか思ってしまうが、そこをぐっとこらえるが吉(県外

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台所の儀・食卓の儀

台所の儀・食卓の儀

土台レシピ16・野菜焼き

「儀」という字は「儀式、礼儀、祝儀、流儀」など、日常ではあまり使わない言葉が多く、あらたまったときによく使われるので、少し硬いイメージがあります。 日本の伝統文化である武道や茶道でかかせない「礼儀作法」が比較的イメージしやすいでしょうか。

「儀」を辞書で引くと、
・ 美しく形のととのっているもの。
・ 基準となるもの。お手本。
・ 正しい筋道(物事

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セロリという野菜は不思議。
幼少時の記憶で生で食べるくらい大好物。
何故か好みが変わり食べられなくなり、
気づけば大好きになっていた。
行きつ戻りつ野菜。
旬の時期がもはやわからないけど、茎はポタージュスープのベースに麻婆豆腐や坦々麺にセロリの葉を刻んで乗せるのが大好き。

奇跡の油


奇跡の油


ワインは葡萄ではない。
そしてギーもミルクではない。

結婚式や様々な儀式で焚いてある火にギーを少したらす。繁栄や潤い、幸福を祈ってすることらしい。ワインも様々な儀式などで使われていることを思えばギーとワインは似ているのではないだろうか。

ギー(Ghee)とはインドを中心にアフリカや南アジア、中東などで広く使われている油の一種で原料は牛や水牛のミルクである。バターともよく似ているがバターと違うと

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お菓子の島、平戸へ|長崎 異国菓子ものがたり

お菓子の島、平戸へ|長崎 異国菓子ものがたり

 平戸は「お菓子の島」だ。はるかな歴史に育まれた、甘い記憶にたゆたう島。

 それは砂糖の記憶である。平戸の菓子はとろけてしまいそうなほど、甘い。なぜならその甘さこそが、経済力と文化、そして先進性の証だったから。かつて砂糖は遠い外国から運ばれてくる、高価で貴重なものだった。400年以上もの昔にその砂糖を受け入れる玄関口になったのが、平戸だ。

 遣隋使・遣唐使のころから海外との重要な交通拠点だった

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vol.25「手前味噌」立春2/3〜2/17

vol.25「手前味噌」立春2/3〜2/17

 今年もそろそろお味噌を仕込む時期がやってきた。お味噌は一年中どの季節に仕込んでも作ることはできるけれど、一〜二月頃の、寒さが一番厳しい時期に仕込むいわゆる「寒仕込み」が良いと一般的にいわれている。寒仕込みだと雑菌が繁殖しづらいのでカビが生えにくく、低温でゆっくりと発酵が進み、旨味が十分に引き出されるということが理由らしい。しかも材料となる大豆や麹に使うお米も収穫後の新鮮なうちに使うことができるの

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vol.44  小雪「ゆべし」11/22~12/6

vol.44  小雪「ゆべし」11/22~12/6

 東京でお店を構えていた頃から今も、なぜか食べ物をよくいただく。それは甘いお菓子やパンのこともあれば、お惣菜ということも。祖母譲りの食いしん坊が顔にでも書いてあるのだろうか?
 三春では季節の野菜や果物も多く、しっとりとした畑の土をつけた採れたてのものだったり、スーパーではなかなか出回ることのない土地ならではのものだったり。初めて出会ったサツマイモの茎は、簡単に調理できるようにと下茹でまでした状態

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vol.33  「梅干先輩」芒種 6/5〜6/20

vol.33 「梅干先輩」芒種 6/5〜6/20

 
 今年も梅農家を営む知人に梅干し用の南高梅を注文した。梅が届いたらすぐさま大きなザルに広げて黄色くなるまで追熟を待つ。数日経つと、青梅は次第に色づき、ポッと頬を染めたように赤みを帯びてくるものもある。そうなってくると、部屋中が甘酸っぱいような、なんとも言えない芳しい香りに包まれていく。
 
 梅干を漬け始めるようになったのはいつ頃からだろう?震災があった年は途切れてしまったけれど、それを除けば

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ゆで落花生

東京へ来て初めて知った食べものの一つに、ゆで落花生がある。
30年くらい前だろうか。居酒屋のお通しでそれが現れた時は、何かの間違いかと思った。

カラカラの殻(さや)を割ってポリポリッと食べるのが醍醐味、の落花生が見る陰もなく濡れているではないか。
なんて罪深いことをするのだろう。

こわごわと、ぬるっとした殻を剥き、水を滴らせつつ実(種子)を薄皮ごと口に放り込む。すると、しっとりの中にほこほこし

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わがままになる

わがままになる

食材ひとつ料理3「麻辣豆腐」

ずいぶん前の話ですが、私が大病をしたとき、イギリスに住むある友人がこんな話をしてくれました。 彼女が通っている鍼灸治療院の先生がこんなことを言ったというのです。

健康になりたいとは誰しもが思うこと。しかし「なりたい」は「なっていない」の裏返しで、そのことへの不安があるということで、その思い(念)が病気に向かわせるというのです。
「病は気から」といいますから、この話

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玉味噌から”すまし”を作って見えたこと

玉味噌から”すまし”を作って見えたこと

南部地方の味噌作りは春先に味噌玉を吊るし天然のカビを麹として作っていました。玉を作ってから仕込むので玉味噌。              米麹を使わない先人達が命を繋いできた味噌の味を知りたくて冒険の旅へ。
そして玉味噌から生まれた調味料の“すまし”とはどんなものなのか。
3度の夏を経てようやく完成した自家製玉味噌を使って“すまし”を作ってみました。

玉味噌の口開け初めて作ろうとした時には味噌玉を

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岩手県野田村・白礼干さんの南部玉味噌 

岩手県野田村・白礼干さんの南部玉味噌 

今もなお南部玉味噌を作るおばあちゃんを訪ねた時の記録です。
思えば沿岸の白礼干さんに出会ってから3月11日に味噌玉を吊るすようになりました。

南部玉味噌作りのおばあちゃんを知る野田塩で有名な野田村は岩手県北部の沿岸地域。NHKの朝の連続ドラマ「あまちゃん」の舞台となった久慈市の近くに位置します。
岩手日報の一面に季節の風物詩的として吊るされた味噌玉と共に映るおばあちゃん。北田白礼干(ハレニ)さん

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とうもろこしから唐黍糖水飴

とうもろこしから唐黍糖水飴

自家製の緑豆もやしがあまりにも美味しいので、他でも出来ないかなと吊るしポップコーンに目が止まり、とうもろこしでもやしを作ってみることにしたんです。
昨年ビオファームカメガモリで育てた丸いポップコーン用のとうもろこしです。この子でもやしが出来るかなぁとやってみました。
豆じゃなかったんですよね笑。
でも命のスタートボタンは押されました。

もやし作りは乾燥豆を水に漬けて戻し、日々腐らないよう日光を遮

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